翻訳: Takahiro Shimpo 校正: Takafusa Kitazume

皆さん こんにちは

私は赤ずきんです

先ほどオオカミに食べられました

アイム ア 主人公

だから多少の無理はしても大丈夫

で 家ごと動けば 帰りたいとき すぐそこ

アイ ワナビー ヤドカリ　ホー

ムシック知らず

今のは愛読書 イージーゴーイング姫の一場面

こんにちは 私 マチルダ

しがないOLよ

りりしい姫と真逆の私は 毎日が絶望そのもの

今日も上司に言われたわ

「あなたの肩書きって何？

給料泥棒？」

そしてその帰り道

追い打ちのように クルマに水を かけられる この災厄っぷり

もうこれは前世からの呪いとか

そういうレベルの話なのかもしれない

そう思って今日は占いにやってきました

こんにちは

私は占い師のウーピー

私には才能がある気がする

ここはひとつ デビューしてみよう

(拍手)

こんにちは井上 涼です

今ご覧いただいた作品の作者です

これらの作品の作詞―

作曲、歌、アニメ

脚本、出演まで

全て一人でやっているという アーティストです

そんな私ですので この作品群に対しては

「独特だね」とか「個性的だね」

という感想をいただくことが多いです

そんな私が

今日 皆さんの前でお話ししたいことは

分かち合えないことのメリット というお話を

させていただきたいと思います

さて皆さんにも

人とちょっと分かち合えないな と思う部分が

何かしらあるんじゃないかな と思うんですけど

まあ人によってそれは 様々であると思います

例えば

左利きの方って いらっしゃいますか?

はい ありがとうございます

その左利きの方にも

色んな苦労があると 思うんですけど

そういった苦労が 分かってもらえなかったりだとか

２つ目は

帰国子女の方が

帰国子女の方だと 例えば

昔流行った日本のテレビ番組の話に

ついていけないとか

もしかしたら埴輪が 大好きな人がいたとして

周りにはあんまり 同じような人がいないから

一緒に博物館に 行ってくれる人がいないとか

そういうレベルは様々で

何かしら人と 分かち合えないなぁって思うことが

人によっては あると思います

私にもそういう部分がありまして

それというのは 私が実は

ゲイだからという理由であることが

ゲイであることによって

ゲイだから起こることが多いです

ゲイというのは日本では

やはり少数派ですので

何かしら

人々の中で

ちょっとつらい思いをしたりとか することが

やはり 今の世の中でもまだ あります

でもその中で私は アーティストですので

自分のクリエイティビティにとって

良い影響を与えた ということが何かないかなと

今回 考えたときに

３つありました それに気づきました

１つ目

「特等席が得られる」ということを 思いつきました

どんな特等席かというと

例えば映画館の場合 この絵のような

客席 みんなが座っている 客席の下から覗くような

みんなとは違うアングルで

物事を見ることができるということ

身近な例で言いますと 星占い

そこには大抵

こういうことが書かれています

「ふたご座のあなたは10月 彼のクールな態度にお手上げ状態！

思い切ったタイトミニで オンナ度アップ！

攻めてみて！」ですとか

またまた

「火星とのパワーバランスが激変！

突如マドンナ登場の予兆が！

シルバーアクセで 男らしさに磨きをかけて

チャンスをうかがえ！」とか

そういうことが書かれています

そういったことは全て

男女の恋愛を前提として 書かれていることが多いですね

で そういったものを 見たときにゲイである私は

少し自分が 仲間はずれになったかのような

モヤモヤした気持ちを覚えます

で 雑誌の星占いというのは

気にする人もいるでしょうが 大半の人がスルーしていくものです

些細なことなんですけど

その一つ一つに私は

立ち止まって 少し「うーん」って考えてしまう

そういう人生を私は歩んできました

ただ「うーん」って なってしまうんですけど

そのことが積み重なると

自分の見方っていうのは ひとつユニークな

アーティストにとって必要な

オリジナリティを持った見方だ

ということに 思い至ることができました

アーティストにとって オリ ジナリティっていうのは

やはり不可欠なものです

ですので

ゲイでよかったなと思っています

っていうのが１つ目

２つ目は

「モヤモヤを外に出さないパワー」

というのを得られたことです

例えば先ほどの 星占いの例のようなモヤモヤを

私は あの―

人に言うことがあまり出来ませんでした

というのも

周りを見渡してみると

ゲイじゃないっていう人の方が 多いからです

だから共感が得られないような気がして

言うのが恐いから 言えなかったです

で そんなモヤモヤを

自分の中に長年積み重ねてきて

溜め込んできました

それを年月と共に

こう どんどん重ねてくると

なんか嫌な気分だったモヤモヤも

やはりオリジナリティを持った

独特の形に

変えていくことができました

それは やがて

自分の作品という表現の仕方で

消化することができるようになりました

それは人に 言わないということによって

自分の中で「ああでもない こうでもない」と

考えることによって

ようやく得られたものだと思います

そして外に出さないように

溜め込んできたものなので

逆に外に出ようとする パワーの源にもなりました

アーティストにとって

やはりあの 作品を作っていく上で

そういうパワーの源というのは とても重要です

溜め込んだパワーが外に出ようとする

それがアーティストとしての 動力源になりました

ですので

ゲイでよかったなと思って います

これが２つ目

最後になるんですけど

３つ目は

「ここにはない視点が きっとあるはずだ」

と思って物事を 考えるようになったことです

ここで手前味噌なんですけど

自分の書いた歌詞を 読んでみたいと思います

アイムア主人公

だから多少の無理をしても 大丈夫

すぐには飲み込めない状況も ハッピーエンドへの道

『赤ずきんと健康』という作品に

出てくる歌の歌詞なんですが

読んでいただけると分かる通り

私の書く歌詞というのは 文章として読んでも

意味が理解できるものが多いです

共感する共感しないというのは さておき

意味は理解できる それは何故かと言うと

どんな人が見ても 一定の意味を理解できるような

言葉を選んで書いているからです

独自のアングルから見たものを

独特の育て方で育んできた私が

ある種の客観性をキープできた

持つことができた ということが

持つことができました

っていうのも

ゲイであるということが影響して

物事には色んな見方がある

色んなアングルがあるんだよ っていうことを身をもって

理解することができたからです

色んな見方があるというのは

地球に私がいたとして 月を見たら

ああ うさぎがいるな思う

けれども

もしかしたら裏側の人は

女性の横顔が見えるかもしれない

そういう意味で

また別のアングルがあるっていうことを

考えることができました

マジョリティーの大多数の見方が

全てではないというのを

私は身をもって体験した

だからもっと他にも そういう人がいるはずだっていう風に

考えることができました

それが独自の育ち方をしつつも

ある種の客観性を持つことができた

で その客観性を 作品にも もたらすことができた

自分がゲイだったからこそ

客観性を持った作品をつくることが

できたと思います

なので

そのバランスが取れたという意味で

とても良かったなと思っています

さて 分かち合えないということは

まあまあ ええっと

残念なことだとか

悲しいことだと思いがちですが

私の場合は

むしろその方が 良かったんだろうと思います

そのアングル

パワーの育て方

もしくはそのパワーそのもの

そして客観性というものを得られたのは

私がある種

世の中の大多数の中に 当てはまらなかった

人と分かち合えないものを 持っていたからこそ

そういった３つのものが 得られたのだと思っています

分かち合えないことも それはそれで素敵なことです

というところで 以上でございます

(拍手)