橋はウクライナへの軍事侵攻でロシアが補給路として重視してきただけに、今後、軍の兵力の維持に大きな影響を与える可能性が高いとの見方も出ています。
ロシアが8年前一方的に併合したウクライナ南部のクリミアと、ロシア南部を結ぶ唯一の橋で8日、爆発とともに大きな火災が起き、橋の一部が崩落しました。
ロシアの治安機関などで作る「国家反テロ委員会」は「橋の自動車道路でトラックが爆発し、近くを走行していた列車が運搬していた燃料タンクに引火した」と発表しています。
ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は、トラックの所有者を特定し、走行ルートや自宅の捜査を進めるとともに、9日は、ダイバーが現場付近を潜って損傷の状況を調べるということです。
爆発についてウクライナ政府は直接の関与には言及していませんが、ウクライナの有力メディアは8日、情報筋の話として「ウクライナの情報機関が行った特別作戦だ」と伝えています。
一方、ロシアの独立系のネットメディア「メドゥーザ」は8日、プーチン政権が損傷が深刻だと受け止められないように、ロシアの国営メディアに対して「破壊されたのではなく部分的に損傷した」と伝えるよう助言したと報じました。
また、イギリス国防省は9日、ロシアにとってこの橋はクリミアなどに物資を運ぶ戦略的に重要な補給路だとし、「通行が再開されたことはほぼ確実だが、供給量は大幅に低下する」などと指摘し、ロシア軍の兵力の維持に大きな影響を与える可能性が高いとの見方を示しています。
プーチン政権は戦況で劣勢となる中、クリミア支配の象徴としてきた橋の爆発に神経をとがらせているものとみられ、今後の出方が焦点となっています。