わずか5ポンド(現在のレートで約988円)で購入され、ドアストッパーとして使われていた彫像が250万ポンド(約4億9400万円)を超える値段で売却される可能性が出てきた。英スコットランドの裁判所が売却を承認した。
売却の可能性が出ているのは、18世紀前半にフランスの彫刻家エドメ・ブーシャルドンによって制作された「ブーシャルドンの胸像」で、地主で政治家のジョン・ゴードンをかたどったもの。彫像の運命が決まるまでには何年もかかっていた。
しかし、彫像を所有する地元自治体がスコットランド・ハイランド地方の裁判所に売却の許可を求めたところ、7日に行われた審理で反対が出なかったという。ハイランド評議会が11日、CNNに明らかにした。
インバーゴードンの町議会は1930年、19世紀に発生した城の火災で焼け残ったこの彫像を購入した。ジョン・ゴードンは「インバーゴードンの創設者と目されている」(当局者)ためだ。その後、議会は町役場に彫像を設置することで合意した。
しかし結局、彫像は展示されることなく、間違った場所に置かれる結果になった。ハイランド評議会によると、1998年、工業団地の小屋の扉を開けっ放しにしておく目的で使用されているのが見つかったという。
売却の提案に関する5月の報告書でハイランド評議会が明らかにしたところによると、海外の民間人の買い手が競売会社サザビーズに連絡し、250万ポンドを超える値段で買い取ることを提案。身元非公表のこの買い手は、地域に展示する美術品並のクオリティーのレプリカに支払いを行うことも提案した。
評議委員会のメンバーは今年行われた公開協議を経て、彫像は売却されるべきだとの方針を勧告した。報道官がCNNに明らかにしたところによると、6月までに売却の提案に同意したという。
報道官はまた、裁判所の許可を先週取得したことを受け、国外輸出が禁じられる「国宝」に当たるかどうかを判断する法手続きが「ほぼ確実に」発動されるとの見通しを示した。
CNNは競売を実施するか尋ねたものの、報道官は明言しなかった
2018年には、セントラル・ミシガン大学で30年にわたってドアストッパーとして使われていた岩が隕石(いんせき)だったことが判明し、7万5000ドル(現在のレートで約1160万円)で落札される出来事があった。