フォーブスが8月に発表したフィリピン版の長者番付で9位にランクインしたルシオ・コーが創業した酒類の流通会社、キーパーズ・ホールディングスがBooze Online(ブーズオンライン)を買収し、現地の急成長するビール市場に参入する。
フィリピン市場に上場するキーパーズは、1億6000万ペソ(約4億1700万円)以下の価格でブーズオンラインを買収すると当局への提出書類で発表した。最終的な価格は、現在進行中の交渉やデューデリジェンスを経て決定されるという。
ブーズオンラインは、ヒューガルデンやベックスなどの約100種類の外国ブランドビールの輸入業者で、売上高でフィリピン最大のビール輸入業者だとされている。
「キーパーズの商品ラインナップは、この取引によって完成する」と、現地の証券会社大手、ルナ・セキュリティーズで会長を務めるジョン・ガトマイタンは述べている。「輸入ビールの市場は、小さなセグメントではあるが、地元のビール市場よりも速い成長を遂げている。プレミアムビールの需要が高まり、それに伴って安定したファン層が拡大している」と彼は指摘した。
キーパーズは、フィリピンのワインやブランデー、ハードリカーの輸入市場の75%のシェアを持つ国内最大手の酒類の輸入業者であり、スペインの「アルフォンソ・ブランデー」を製造するボデガス・ウィリアムズ&ハンバートにも出資している。同社は、今年1月から9月までの売上高が前年同期比15%増の117億ペソ(約307億円)に達したと発表していた。
フィリピンにおけるビールの消費量は、昨年の26億リットルから2027年には38億リットルに増加すると予測されている。この市場は、地元のビールメーカーであるサンミゲルが支配しているが、近年はビールの輸入が増加している。
フォーブスは、コーとその妻の保有資産を23億ドル(約3550億円)と推定している。夫妻のビジネスには、金融や石油小売、不動産、再生可能エネルギー分野が含まれている。