731部隊ぶたいなど“細菌さいきん戦せん”部隊ぶたいの記録きろく 旧きゅう日本にっぽん軍ぐん陸軍りくぐん幹部かんぶの名簿めいぼに

旧きゅう日本にっぽん軍ぐんで細菌さいきん戦せんなどの研究けんきゅうを行おこなっていたとされている部隊ぶたいについては、終戦しゅうせん時じに軍ぐんによって関連かんれん文書ぶんしょが処分しょぶんされ、詳くわしい実態じったいは明あきらかになっていません。

明治めいじ学院がくいん大学だいがく国際こくさい平和へいわ研究所けんきゅうじょの松野まつの誠まこと也研究けんきゅう員いんが、国立こくりつ公文こうぶん書しょ館かんで保管ほかんされていた旧きゅう日本にっぽん軍ぐんの名簿めいぼを調しらべたところ、所属しょぞくした軍医ぐんい将校しょうこうの記録きろくが残のこされていることが分わかったということです。

名簿めいぼは太平洋たいへいよう戦争せんそう末期まっきにまとめられ、旧きゅう厚生省こうせいしょうなどが戦後せんご処理しょりのために使用しようしたとみられるもので、戦時せんじ中ちゅうの経歴けいれきのほか、復員ふくいんした時期じきなど1950年代ねんだいまでの記録きろくが記載きさいされています。

中なかには石井いしい四郎しろう部隊ぶたい長ちょうをはじめとする「731部隊ぶたい」のおよそ50人にんのほか、中国ちゅうごくやシンガポールで活動かつどうしたとされる4つの部隊ぶたいのおよそ60人にんの記録きろくが含ふくまれています。

このうち、南京なんきんにあった「1644部隊ぶたい」に所属しょぞくしていた軍医ぐんい将校しょうこうの人事じんじ記録きろくが確認かくにんされたのは、初はじめてだとみられるということです。

松野まつの研究けんきゅう員いんは「旧きゅう日本にっぽん軍ぐんによる細菌さいきん戦せん研究けんきゅうの全体ぜんたい像ぞうを洗い出あらいだすための基礎きそ資料しりょうとして非常ひじょうに意義いぎがある。名前なまえが明あきらかになった隊員たいいんを調しらべることで、関かかわったすべての人ひとを把握はあくする有力ゆうりょくな根拠こんきょにもなるので、丁寧ていねいに分析ぶんせきする必要ひつようがある」と話はなしていました。

識者しきしゃ「軍医ぐんいたちの戦後せんごのポジション 追跡ついせきするうえで重要じゅうような資料しりょう」

今回こんかいの資料しりょうについて、731部隊ぶたいを長年ながねん研究けんきゅうしている慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくの松村まつむら高夫たかお名誉めいよ教授きょうじゅは、「731部隊ぶたいのほかに細菌さいきん戦せん研究けんきゅうに関かかわったとされる部隊ぶたいについて、どういうメンバーで構成こうせいされていたのか分わかっていなかった部分ぶぶんも多おおかったが、今回こんかいの名簿めいぼでかなりクリアになってきた。これまで名前なまえが表ひょうに出でずに責任せきにんを問とわれることのなかった軍医ぐんいたちが、戦後せんご、医学いがく界かいでどのようなポジションを得えていたのかを追跡ついせきするうえで、重要じゅうような資料しりょうの発見はっけんだと思おもう」と話はなしていました。

また、731部隊ぶたいに所属しょぞくした一部いちぶの軍医ぐんい将校しょうこうの経歴けいれきに、進軍しんぐんする日本にっぽんの兵士へいしたちの感染かんせん症しょうの予防よぼうや飲のみ水すいの確保かくほにあたる部隊ぶたいに所属しょぞくしていたことが記録きろくされていることに注目ちゅうもくし、「731部隊ぶたいは細菌さいきん戦せん研究けんきゅうばかりが注目ちゅうもくされるが、もうひとつの目的もくてきとして、細菌さいきん戦せん研究けんきゅうとともに、感染かんせん症しょうや水みずが原因げんいんで亡なくなっていく兵士へいしを守まもることがあったことを示しめす資料しりょうとしても、大おおきな意味いみがある」と指摘してきしました。