池袋いけぶくろ暴走ぼうそう事故じこ 遺族いぞくが事故じこ起おこした受刑じゅけい者しゃと初はじめて面会めんかい

2019年ねん4月つき、東京とうきょう 池袋いけぶくろで車くるまが暴走ぼうそうし、松永まつなが真菜まなさん（31）と、長女ちょうじょの莉子りこちゃん（3）が死亡しぼうしたほか、9人にんが重軽傷じゅうけいしょうを負おった事故じこでは、車くるまを運転うんてんしていた飯塚いいづか幸三こうぞう受刑じゅけい者しゃ（92）が過失かしつ運転うんてん致死傷ちししょうの罪つみで禁錮きんこ5年ねんの実刑じっけいが確定かくていしました。

29日にちは、事故じこで亡なくなった真菜まなさんの夫おっとの松永まつなが拓也たくやさんと、父親ちちおやの上原うえはら義教よしのりさんが受刑じゅけい者しゃが収容しゅうようされている刑務所けいむしょを訪おとずれ、初はじめて面会めんかいしました。

松永まつながさんによりますと、「責せめたり、謝罪しゃざいしたりしてほしいわけではなく、再発さいはつ防止ぼうしのために社会しゃかいにことばを伝つたえる目的もくてきだ」と伝つたえたうえで、受刑じゅけい者しゃとおよそ40分ふんにわたって、ことばを交かわしたということです。

松永まつながさんは、どのようにすれば事故じこを防ふせげたと思おもうかなどを尋たずね、受刑じゅけい者しゃは「高齢こうれいドライバーに早はやく免許めんきょを返かえすよう伝つたえてほしい」などと答こたえたということです。

受刑じゅけい者しゃは車くるまいすで刑務けいむ官かんに付き添つきそわれた状態じょうたいで面会めんかいに応おうじ、表情ひょうじょうの変化へんかはほとんど無なかったものの、上原うえはらさんの言葉ことばに対にたいして目めに涙なみだを浮うかべる様子ようすも見みられたということです。

今回こんかいの面会めんかいは、刑務所けいむしょの職員しょくいんを介かいして被害ひがい者しゃや遺族いぞくの心情しんじょうを加害かがい者しゃに伝つたえることができる新あらたな制度せいどを使つかって、受刑じゅけい者しゃとやり取やりとりをし実現じつげんしました。

面会めんかいを終おえた松永まつながさんは「2人にんの命いのちは戻もどってこないという事実じじつに5年間ねんかん向き合むきあい続つづけ、今回こんかいの面会めんかいが、再発さいはつ防止ぼうしにつなげるための集大成しゅうたいせいだと感かんじている。彼かれを糾弾きゅうだんするのではなく、彼かれのことばをヒントにして、同おなじような加害かがい者しゃや被害ひがい者しゃ、遺族いぞくを生うまないために一人ひとりひとりに何なにができるのか考かんがえてほしい」と話はなしていました。

その上うえで、「今後こんごも再発さいはつ防止ぼうしの観点かんてんから対話たいわを重かさねたい。被害ひがい者しゃと加害かがい者しゃ、それぞれの立場たちばでしかわからない視点してんを伝つたえ合あってことばのキャッチボールをしていきたい」と話はなしました。

また、上原うえはらさんは「正直しょうじき会あいたくはなかったが彼かれのことばを聞きいて反省はんせいしていると感かんじたので会あえてよかった。『2人にんのことを忘わすれないでください』と言いうと、『はい』と答こたえた。悲かなしみ苦くるしみは変かわらず、死しぬまで背負せおっていくが、少すこしでもこうした事故じこが少すくなくなってほしい」と話はなしていました。