米国西海岸発の独特なメロディーなどで一世を風靡(ふうび)したロックバンド「ビーチ・ボーイズ」の共同創設メンバーのブライアン・ウィルソンさんが、米ロサンゼルスの地方裁判所の判断を受け、成年後見制度の対象となったことが12日までにわかった。
裁判所文書によると、地裁判事は同制度の適用が必要との明白かつ納得し得る証拠があると説明。「認知症により日常生活上の処理が自力でできない状態にある」とし、治療面で承諾を与える判断力にも欠けているとした。
その上で後見人に対し健康管理上の決定事項に関しては、ウィルソンの子どもと相談するよう命じた。
ウィルソンさん自身も後見制度の適用に同意しているという。
ウィルソンさんの家族によると、後見制度の適用は妻メリンダさんが今年1月に死去したことがきっかけとなった。同氏は当時、自らのサイト上で「妻以上の存在だった。救済者でもありこれまでの人生で必要としていた感情的な安らぎを与えてくれる女性だった」などとしのんでいた。
メリンダさんの逝去を受け家族は今年2月の声明で、ウィルソン家の代表を長い間務める人物2人を共同後見人とすることを決めたと発表してもいた。
ウィルソンさんはビーチ・ボーイズが脚光を浴びると共に、私生活面ではストレスを募らせ、うつ症や薬物中毒となる苦難の時期に遭遇した過去も持つ。1964年には神経衰弱が原因で同バンドのツアー公演から離れたこともあるが、バンドのための作詞などは続けてもいた。
ウィルソンさんとビーチ・ボーイズは1988年に「ロックの殿堂」入りを達成。2001年にはグラミー賞の特別功労賞生涯業績賞も授与された。ウィルソンさんはグラミー賞の個人アーティスト部門も2度受賞している。