タイ不動産開発大手のアセット・ワールド・コープ(AWC)は、バンコク中心部の複合オフィスビル、エンパイア・タワーの最上階と屋上デッキに、世界的に有名な日本食レストランのNobu(ノブ)をオープンし、観光ブームの恩恵を受けようとしている。
9月にオープン予定のNobu Bangkok(ノブ・バンコク)は、エンパイア・タワーの57階から60階に位置し、Nobuのチェーンの中で最も高い位置にある店舗になる。同レストランの親会社であるNobu Hospitality(ノブ・ホスピタリティ)を率いる著名な日本人シェフの松久信幸は、俳優のロバート・デ・ニーロと手を組み、世界中で数十軒のレストランやホテルを経営しているが、タイへの進出はこれが初めてだ。
「当社とノブ・ホスピタリティとのパートナーシップは、タイのホスピタリティ業界に新たな基準を打ち立てる」と、AWCのワラパ・トライソラットCEOは声明で述べている。
AWCとノブは、タイの国内外で別のプロジェクトも進めており、そこにはノブホテル・バンコクやニューヨークとアテネのホテルプロジェクトが含まれている。
タイのホテルや商業ビル分野における最大手の1社であるAWCは、パンデミック後の観光ブームの恩恵を受けるために、事業基盤の拡大を進めている。同社は、2023年末時点で22軒のホテルを運営しており、客室数はパンデミック前の約2600室の2倍以上となる6000室を突破している。同社のホテルは、マリオットやインターコンチネンタル、オークラ、ル・メリディアン、バンヤンツリー、ヒルトン、シェラトン、メリアなどのグローバルブランドによって運営されている。
AWCの親会社で財閥のTCCグループを率いるチャローン・シリワダナパクディは、昨年フォーブスが発表したタイの長者番付で3位にランクインし、保有資産は100億ドル(約1兆5800億円)とされた。彼は、チャーンビールで知られるタイビバレッジやスーパーマーケットチェーンのビッグC、シンガポールの飲料・不動産複合企業フレーザー・アンド・ニーブの支配株主でもある。