適度な量のカフェイン摂取は、心代謝性多疾患併存(CM)の発症リスクの低下と関連があることが分かった。ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズムに17日に掲載された研究で明らかになった。適度な量は1日3杯程度のコーヒーまたは紅茶の摂取と定義される。
CMとは、冠状動脈性心疾患、脳卒中、2型糖尿病など、少なくとも2つの心代謝性疾患が併存する状態を指す。
この研究の筆頭著者は「コーヒーとカフェインの摂取は、ほぼすべてのCMの進行過程で重要な保護的役割を果たす可能性がある」と述べた。
研究者らは約18万人のデータを分析。対象者は当初、心代謝性疾患を患っていなかった。
データには参加者が自己申告したコーヒー、紅茶、緑茶によるカフェイン摂取量と、病院記録などに基づく心代謝性疾患の発症歴が含まれていた。
カフェインの適量摂取者は、心代謝性多疾患併存の新規発症リスクが低かった。カフェインを全く摂取しない人や1杯未満の人と比較して、1日3杯摂取した場合はリスクが48.1%、1日200~300ミリグラム摂取した場合は40.7%低下した。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学教授グレゴリー・マーカス氏は、この研究はサンプル数が多く、複数のバイオマーカーを使用して研究結果を裏付けているため、カフェインが心臓の健康に及ぼす影響について説得力があると述べた。同氏はこの研究には関わっていない。
一方でマーカス氏は、この研究について観察研究であるため、カフェインと心臓の健康のつながりを示すことしかできないと述べ、心臓の健康状態が改善した要因は別にある可能性があると指摘した。
「たとえば、これらを摂取する可能性が高い人は、より健康的な食事をしたり、より身体的に活動的だったりする傾向があるかもしれない」(マーカス氏)
またこの研究では、炭酸飲料やエナジードリンクに含まれるカフェインの影響も考慮されていないため、これらも肯定的な効果があるかどうかは分からないという。