世界中に点在する「死火山」で発見されたマグマには、レアアース(希土類)が豊富に含まれている可能性があることが分かった。24日に発表された報告書で明らかになった。ランタン、ネオジム、テルビウムなどのレアアースは電気自動車(EV)、風力タービンなどのクリーン技術に不可欠な原材料とされる。地球温暖化を進行させる化石燃料との関係を断ち切る上で世界にとって極めて重要だ。
レアアースは実際にはそれほど希少ではないが、低濃度で見つかることが多く、抽出が難しい場合がある。現在レアアースのサプライチェーン(供給網)を支配しているのは中国だ。その需要が高まるにつれ、多くの国は中国への依存を断ち切るべく新たな供給源の獲得を急いでいる。
この研究は、昨年スウェーデンの最北に位置する都市キルナで巨大なレアアース鉱床が発見されたことをきっかけにしている。キルナは鉱山の町で、約16億年前に激しい火山活動によって形成された巨大な鉄鉱石の塊の上に位置している。
オーストラリア国立大学と中国科学院大学の科学者らは、この発見に大きな疑問を抱いた。なぜそこにレアアースがあったのか。
しかし、この種の火山は非常に珍しいため、研究者らは実際に現地に出向いて謎を解明することはできなかった。そこで、こうした火山のものと似た組成の人工岩石を使って研究室でマグマだまりを再現し、加圧炉に入れて超高温に加熱した。
研究によると、岩石が溶けて「マグマ状」になると、鉄を多く含むマグマは周囲の環境からレアアースをすべて吸収するため、通常の火山から噴出するマグマよりもレアアースを濃縮する効率が最大200倍に達する。