混乱を避けるため、東証株価指数=トピックスの先物取引では、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置がとられました。
先週2日に発表されたアメリカの雇用統計の結果が市場の予想より悪かったことからアメリカの景気減速への懸念が一段と強まったうえ、日銀の追加利上げをきっかけに進んでいた円高ドル安の動きにも拍車がかかり、売り注文が膨らんでいます。
先週2日の東京株式市場では日経平均株価が終値で2200円あまり値下がりし、史上2番目の記録的な下落幅となりましたが、5日も株価の急落に歯止めがかからない状況です。
市場関係者は「このところアメリカで公表された経済指標が相次いで悪かったことで、利下げのペースがはやまるという見方が広がっている。さらに、外国為替市場で円高が急速に進んでいることも下げ幅が拡大する要因となっている」と話しています。
「サーキットブレーカー」の措置も
日経平均株価が一時、2600円を超える急落となる中、東証株価指数=トピックスの先物やオプション取引でも大量の売り注文が出て、大阪取引所では午前9時16分から10分間、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置がとられました。
「サーキットブレーカー」は取り引きの混乱を避けるため、取引所が一時的に売買を止める措置です。
トピックスの先物取引などで発動されるのは、東日本大震災のあと、株式市場が大荒れの展開となった2011年3月以来、およそ13年ぶりです。
このほか、5日は長期国債の先物取引などでも取り引きが一時、中断されました。
林官房長官「市場動向を注視 万全を期す」
林官房長官は記者会見で「株価は経済状況や企業の活動などさまざまな要因により市場で決まるもので、日々の動向にコメントすることは差し控えたい。緊張感を持って市場の動向を注視し、経済財政運営に万全を期していく」と述べました。
その上で「今回の株価急落や日本経済について市場でさまざまな評価があることは承知しているが、岸田政権としては物価高に負けない賃上げの実現や企業の稼ぐ力の強化に引き続き取り組む。国内外の資金を呼び込み、力強い日本経済の実現につなげることも重要で、資産運用立国に向けた取り組みを進めたい」と述べました。