パキスタン東部とインド北部で先月から記録的な水準の大気汚染が続いている。米航空宇宙局(NASA)の衛星画像は、パキスタンのパンジャブ州からインドの首都ニューデリーにかけての一帯を覆う巨大な灰色のスモッグをとらえた。
大気汚染の悪化を受けてパキスタンでは学校や公共の場が閉鎖され、有害スモッグによって数千万人の健康が脅かされている。
パキスタンのラホールやムルタンなどの大都市では、スモッグに覆われて街が暗くなり、視界が遮られて建物は見えなくなった。
パキスタンでは農業廃棄物の焼却や石炭を燃焼させる火力発電のほか、交通量の多さや風のない日が続くことなどの影響で、冬になると大気汚染が悪化する。
特に第2の都市ラホールは過去最悪の大気汚染に見舞われている。世界の大気質を調査しているスイスの「IQエア」によると、ラホールの大気質は11日、「危険」とされる1200を超えた。大気質は300を超えると危険とされる。
人口1億2700万人とパキスタンで最も多いパンジャブ州は、過去1週間で何度も大気質が1000を超えた。
同州ムルタンでは11日、微小粒子状物質(PM2.5)の値が世界保健機関(WHO)の定める許容基準の110倍超に達した。
各地の病院や診療所は患者であふれ返っている。AP通信によると、パンジャブ州の保健当局は、スモッグ発生地域で3万人以上が呼吸器系疾患の治療を受けたことを明らかにした。
学校や政府・自治体などは17日まで閉鎖が続く。パンジャブ州の18地区では公園や遊び場、博物館、動物園、歴史地区などが8日から10日間の閉鎖となった
11日からはラホールなど4地区で屋外の活動が全て禁止された。市場や商店などは、薬局やガソリンスタンドなどを除いて午後8時で閉店となる。