ところが幼稚園ようちえんの中なかでも規模きぼなどが小ちいさい「幼稚園ようちえん類似るいじ施設しせつ」と呼よばれる施設しせつは今回こんかい、無償むしょう化かの対象たいしょうとなりませんでした。

国くにはその詳くわしい施設しせつの数かずを「精査せいさできない」として、明あきらかにしていませんが、ＮＨＫえぬえいちけいが全国ぜんこくの教育きょういく委員いいん会かいなどに取材しゅざいした結果けっか、その数かずは全国ぜんこくで少すくなくとも100か所かしょ以上いじょうあり、園児えんじの数かずは2000人にんを超こえることが分わかりました。

これらの施設しせつは地元じもと自治体じちたいから助成じょせいを受うけ、通常つうじょうの幼稚園ようちえんと変かわらない教育きょういくを行おこなったりしているだけでなく、少しょう人数にんずうという特性とくせいを生いかして、障害しょうがい児じを積極せっきょく的てきに受け入うけいれたりしているところもあります。

幼児ようじ教育きょういくに詳くわしい保育ほいくシステム研究所けんきゅうじょの吉田よしだ正幸まさゆき代表だいひょうは「無償むしょう化かの対象たいしょうを決きめる際さい、施設しせつの大おおきさやスタッフの人数にんずうだけで判断はんだんするのは難むずかしい。地域ちいきごとに、さまざまな事情じじょうの子こどもたちがいる。無償むしょう化かの恩恵おんけいが行き渡いきわたらず影かげができていないのか、幼児ようじ教育きょういくの質しつが保たもたれているのか、評価ひょうかできる制度せいどが必要ひつようだ。国くには実態じったい把握はあくに努つとめて、これら施設しせつへの支援しえんを検討けんとうすべきだ」と話はなしています。

無償むしょう化か対象たいしょう外がいの“幼稚園ようちえん”では

埼玉さいたま県けん蕨わらび市しにある「ひかり幼稚ようち舎しゃ」は、無償むしょう化かの対象たいしょうとならなかった「幼稚園ようちえん類似るいじ施設しせつ」です。

３さん歳さいから５ご歳さいまでの36人にんの子こどもたちが通かよっています。

昭和しょうわ39年ねんに、住宅じゅうたくを改装かいそうしてスタートしたこの施設しせつ。

規模きぼが小ちいさいことを利用りようして、異ことなる年齢ねんれいの子こどもたちを交流こうりゅうさせたり、障害しょうがいのある子こどもも受け入うけいれたりするなど、きめ細きめこまかい教育きょういくが評判ひょうばんとなり、これまでに2000人にん余あまりを卒そつ園えんさせてきました。

施設しせつに通かよっているダウン症だうんしょうの高橋たかはし寛ひろし太ふとしくん、４よん歳さいです。

ここに入はいるまで、いくつもの幼稚園ようちえんに難色なんしょくを示しめされたといいますが母親ははおやは、この施設しせつで同おなじ世代せだいの子こどもたちと触れ合ふれあうなかで、息子むすこの成長せいちょうを実感じっかんできるといいます。

ここで働はたらく幼稚園ようちえん教員きょういんは全員ぜんいん正規せいきの資格しかくを持もっていますが、施設しせつの面積めんせきが、埼玉さいたま県けんが幼稚園ようちえんの基準きじゅんとする1000平方メートルへいほうめ-とるに満みたないため今回こんかい、無償むしょう化かの対象たいしょう外がいとなりました。

これにより、子こどもたちの家庭かていの中なかには負担ふたんが軽かるくなる無償むしょう化かの施設しせつに移うつることを検討けんとうしているところもあり、施設しせつは入園にゅうえん者しゃが減へってしまうと運営うんえいに影響えいきょうが出でるのではないかと懸念けねんしています。

寛ひろし太ふとしくんの母親ははおやは「大おおきくなる前まえに、健常けんじょう者しゃの子こどもたちと一緒いっしょに過すごさせてあげたいと思おもっていた。園えんが無なくなると居場所いばしょを失うしなってしまうので何なんとか存続そんぞくできるよう願ねがっています」と話はなしていました。

森上もりあげ創そう副ふく園長えんちょうは「困こまったなというのが率直そっちょくな感想かんそうです。地元じもと自治体じちたいが対応たいおうを検討けんとうしてくれていますが、国くにには『すべての子こどもに無償むしょう化か』という理念りねんに立ち返たちかえり、実態じったいに即そくした対応たいおうをお願おねがいしたいです」と話はなしていました。

自治体じちたい「制度せいど納得なっとくいかない」改善かいぜん求もとめる

無償むしょう化かの対象たいしょうとならない幼稚園ようちえん類似るいじ施設しせつを財政ざいせい的てきに支援しえんしてきた自治体じちたいも、国くにに対にたいして制度せいどの改善かいぜんを求もとめています。

「ひかり幼稚ようち舎しゃ」がある、埼玉さいたま県けん蕨わらび市しの福田ふくだ望のぞむ児童じどう福祉ふくし課長かちょうは「本来ほんらい、幼児ようじ教育きょういく・保育ほいくの無償むしょう化かは少子しょうし化か対策たいさくとして子育こそだて世代せだいの経済けいざい負担ふたんを減へらすことが、目的もくてきの１ひとつのはずだ。今回こんかい、国くにの制度せいどで長年ながねん地域ちいきの子育こそだてを担になってきた幼稚園ようちえんに準じゅんずる施設しせつが対象たいしょう外がいになることは自治体じちたいとしても納得なっとくがいかない。自治体じちたいも財政ざいせい的てきに余裕よゆうはなく、地域ちいき間かん格差かくさも生うまれることから、国くには制度せいどの趣旨しゅしに照てらして幼稚園ようちえん類似るいじ施設しせつも無償むしょう化かの対象たいしょうにすべきだ」と話はなしています。