新型コロナウイルスの感染拡大を受けた現金10万円の一律給付は、郵送のほか、内閣府が管理するサイト「マイナポータル」を通じたオンラインでも申請でき、関西の2府4県でもすべての自治体でオンラインでの受け付けを始めています。
しかしマイナポータルは同じ人が何度も申請をやり直した場合や給付金を受け取れる世帯主以外の人が申請した場合でも受理する設計になっているため、自治体側はそのつど、内容に誤りや重複がないか確認しなければなりません。
兵庫県川西市では19日までに3000件を超えるオンライン申請がありましたが、二重申請のほか振り込み先の口座や氏名などの誤りなど半数に何らかの問題があったということです。さらにマイナポータルと自治体のシステムが直接は連動していないため、住民基本台帳との照合を手作業で行う必要があり、19日も対策チームが作業に追われていました。
一方、市が18日に各世帯に郵送した手書きで行う申請書には家族構成などの情報があらかじめ記載されているため確認の負担が少ないということで市では郵送での申請を呼びかけています。
異例の呼びかけについて川西市の越田謙治郎市長は「ICT化を進める中、アナログな方法をお願いして申し訳ないが、郵送の方がよりスムーズに作業ができるのでオンライン申請はなるべく控えてほしい」と話しています。
高松市 オンライン受付中止へ
現金10万円を一律に給付する「特別定額給付金」について、高松市もオンラインで申請した人が郵送でも手続きしてしまうと、二重払いを防ぐための確認などに時間がかかり、給付が遅れるおそれがあるとして、今月24日を最後にオンラインでの受付を中止することを決めました。
大阪市長「申請の半分くらい 打ち込み間違いある」
現金10万円の一律給付のオンライン申請について、大阪市の松井市長は記者団に対し、「申請の半分くらいは、打ち込みが間違っているところがある。その結果、打ち直してもらうから、よけいに時間がかかる。ほかの半分はきちんと申請されているので、やめるという話にはならないが、オンライン申請をするときはダブルチェックしたうえで送信してもらいたい」と話しました。
オンライン申請 設計上の問題点は
現金10万円の一律給付はマイナンバーカードをもっている人は内閣府が管理する「マイナポータル」というサイトを通じてオンラインで申請することができます。
このサイト上で振込先の口座番号や家族の氏名など必要な項目を入力して送信するだけで各自治体に情報が届き申請の手続きが完了するため、国は迅速な給付が可能になるとしています。
ただ、このサイトはすでに申請を終えた人が再び手続きをやり直した場合や、世帯主ではない人が手続きした場合も受け付けてしまう設計になっています。
このため、きちんと申請できているか不安になった人が何回も手続きを繰り返したり、誤った内容で申請されたりしたケースでも各自治体に新規の申請として送信され、自治体側はその都度、住民基本台帳と照合して内容に誤りや重複がないか確認する作業が必要になっています。
こうした状況が起きていることについて内閣府は「マイナポータルはあくまで自治体と利用者をつなぐ導管の役割で、国は個人情報を管理していないため入力内容が正しいかどうかをシステム上で判断することは出来ない。利用者に申請段階で誤りが無いか確認を徹底してもらうしかない」としています。