Japanese News: 日本被団協きょうノーベル平和賞授賞式田中熙巳さんが会見

ノーベル平和へいわ賞しょうの授賞じゅしょう式しきが日本にっぽん時間じかんの10日にち夜よる、ノルウェーで行おこなわれます。

式しきで演説えんぜつする日本にっぽん被団協ひだんきょう＝日本にっぽん原水爆げんすいばく被害ひがい者しゃ団体だんたい協議きょうぎ会かいの田中たなか煕ひろし巳み代表だいひょう委員いいんは原爆げんばくによって5人にんの親族しんぞくを亡なくした体験たいけんなどをもとに、核兵器かくへいきの廃絶はいぜつを世界せかいに訴うったえることにしています。

ノーベル平和へいわ賞しょうの授賞じゅしょう式しきは、ノルウェーの首都しゅとオスロで現地げんち時間じかんの10日にち午後ごご1時じ、日本にっぽん時間じかんの夜よる9時じから行おこなわれ、被爆ひばく者しゃの立場たちばから核兵器かくへいきの廃絶はいぜつなどを訴うったえてきた日本にっぽん被団協ひだんきょうが受賞じゅしょうします。

被爆ひばく者しゃや支援しえん者しゃなど30人にんが出席しゅっせきし、いずれも代表だいひょう委員いいんの田中たなか煕ひろし巳みさん（92）、田中たなか重光しげみつさん（84）、箕みの牧まき智之としゆきさん（82）の3人にんが登壇とうだんしてメダルや賞状しょうじょうを受け取うけとります。

そして田中たなか煕ひろし巳みさんが演説えんぜつを行おこない、13歳さいのときに長崎ながさきで被爆ひばくし、伯母おばや伯父おじなど5人にんの親族しんぞくを亡なくした自身じしんの体験たいけんなどをもとに核兵器かくへいきの非ひ人道じんどう性せいや被爆ひばくの実相じっそうを伝つたえることにしています。

日本にっぽんのノーベル平和へいわ賞しょう受賞じゅしょうは50年ねんぶり2度目どめで、核かくの脅威きょういが高たかまるなか、核兵器かくへいきの廃絶はいぜつなどを改あらためて世界せかいに訴うったえることにしています。

授賞じゅしょう式しき前まえに会見かいけん「改善かいぜんへの前進ぜんしん期待きたい」

授賞じゅしょう式しきを前まえにノーベル研究所けんきゅうじょで開ひらかれた記者きしゃ会見かいけんに田中たなか煕ひろし巳みさんが臨のぞみました。

田中たなかさんは「核かくが軽かるく語かたられる、核兵器かくへいきを使つかうことが軽かるく語かたられるような時代じだいになったことは大変たいへん、私わたしたちにとって遺憾いかんで、悲かなしい思おもいがします。受賞じゅしょうはうれしいことで、後退こうたいしつつある核兵器かくへいき情勢じょうせいについてのまた新あらたな改善かいぜんへの前進ぜんしんが生うまれるのではないかと期待きたいしています」と述のべました。

そのうえで、「若わかい人ひとたちが核兵器かくへいきのことを真剣しんけんに考かんがえていないのではないかと疑問ぎもんを持もっています。ですから、そう長ながくない人生じんせいの中なかで最大限さいだいげんの力ちからを振り絞ふりしぼって核兵器かくへいきは人類じんるいと共存きょうぞんさせてはならない兵器へいきだと若わかい人ひとたちに伝つたえていきたいと思おもっています」と話はなしました。

これまでともに活動かつどうした被爆ひばく者しゃについて問とわれると、「もう10年ねん早はやかったらな、あなたたちの大だい部分ぶぶんはこの喜よろこびを共有きょうゆうできたよなという気持きもちがあります。ですけれども、間違まちがいなく彼かれらの運動うんどうもつながっているわけですから、あなたたちに対にたいする受賞じゅしょうでもありますよと伝つたえる、そういう気持きもちです」と述のべました。

10日にちの演説えんぜつに向むけては、「ものすごい重圧じゅうあつを感かんじております」などと心境しんきょうを述のべました。

海外かいがいメディアからも質問しつもん

記者きしゃ会見かいけんには多おおくの海外かいがいメディアも出席しゅっせきして質問しつもんしました。

ノルウェーのメディアは防衛ぼうえいのために核兵器かくへいきが必要ひつようだと主張しゅちょうする国くにへのメッセージについて尋たずね、田中たなかさんは「核兵器かくへいきで本当ほんとうに国くにが守まもれるのか。私わたしたちは、核兵器かくへいきで国民こくみんの命いのちや大切たいせつなものを守まもることはできないと確信かくしんしていて、抑止よくし力りょくは存立そんりつしえないと思おもっている」と答こたえました。

別べつのノルウェーのメディアから今回こんかいの受賞じゅしょうがどのような影響えいきょうを与あたえることを期待きたいするか問とわれたのに対にたいし、田中たなかさんはロシアが「核かく戦力せんりょくによる威嚇いかく」を繰り返くりかえしているなどと述のべたうえで、「核兵器かくへいきを使つかうことが軽かるく語かたられるような時代じだいになったのは遺憾いかんで悲かなしい。後退こうたいしつつある核兵器かくへいきをめぐる情勢じょうせいが受賞じゅしょうを機きに前進ぜんしんしてくれると期待きたいしている」と答こたえていました。

ロイター通信ろいた-つうしんからロシアのプーチン大統領だいとうりょうへのメッセージを問とわれた際さいは、「核兵器かくへいきを使つかうことは人道じんどうに反はんするという抗議こうぎのことばを日本にっぽん被団協ひだんきょうとして送おくったと記憶きおくしている。人間にんげんにとってどういう兵器へいきかについて、考かんがえたことも理解りかいしたこともないと思おもっているので、その考え方かんがえかたをどのように変かえていけるかだ」と指摘してきしました。

韓国かんこくのメディアから今回こんかいの日本にっぽん被団協ひだんきょうの代表だいひょう団だんに韓国かんこくやブラジルに住すむ被爆ひばく者しゃを含ふくめた理由りゆうを問とわれると、「韓国かんこくやブラジル、メキシコ、それにアメリカにいる被爆ひばく者しゃたちは広島ひろしまや長崎ながさきで同おなじ被害ひがいにあい、苦くるしみながら核兵器かくへいきを使つかってはいけないと叫さけび続つづけてきた。こうした被爆ひばく者しゃと共同きょうどうの闘たたかいがあったということを、世界せかいの人ひとにも知しっていただきたいと思おもった」と述のべ、国境こっきょうを越こえて核兵器かくへいき廃絶はいぜつへの思おもいを共有きょうゆうしていることを強調きょうちょうしました。

ノーベル委員いいん会かい委員いいん長ちょう「とても光栄こうえい」

会見かいけんにはノーベル委員いいん会かいのフリードネス委員いいん長ちょうも同席どうせきし、「『核かくのタブー』構築こうちくのために証言しょうげんを繰り返くりかえしてきた日本にっぽん被団協ひだんきょうの被爆ひばく者しゃを迎むかえられることはとても光栄こうえいだ」と語かたり、代表だいひょう団だんを歓迎かんげいしました。

そのうえで、出席しゅっせきしたメディアからロシアのプーチン大統領だいとうりょうへのメッセージを問とわれたのに対にたいし、「プーチン大統領だいとうりょうだけでなくほかの核かく保有ほゆう国こくもだが、被爆ひばく者しゃの証言しょうげんに耳みみを傾かたむけて欲ほしい。核かくを使つかった脅おどしは核かくのタブーという考え方かんがえかたを後退こうたいさせるし、ましてや核かくを使つかうということは絶対ぜったいにあってはいけない」と答こたえていました。

【ノーカット動画どうが】代表だいひょう委員いいん田中たなか熙巳みさん会見かいけん

※動画どうがは42分ふん11秒びょう。データ放送ほうそうではご覧ごらんになれません。

授賞じゅしょう式しきの流ながれ

ノーベル平和へいわ賞しょうの授賞じゅしょう式しきは、日本にっぽん時間じかんの10日にち午後ごご9時じから、ノルウェーの首都しゅと・オスロの市庁舎しちょうしゃで行おこなわれます。授賞じゅしょう式しきには田中たなか熙巳み代表だいひょう委員いいん、田中たなか重光しげみつ代表だいひょう委員いいん、箕みの牧まき智之としゆき代表だいひょう委員いいんが登壇とうだんする予定よていで、3人にんは、式しきが始はじまる5分ふんほど前まえにノーベル委員いいん会かいのメンバーとともに市庁舎しちょうしゃに入場にゅうじょうします。

《式次第しきしだい》

式しきは1時間じかんあまりで、日本にっぽん時間じかんの午後ごご9時じにノルウェー王室おうしつのハラルド国王こくおう、

ソニア王妃おうひ、ホーコン皇太子こうたいし、マリット皇太子こうたいし妃ひ、それにオスロ市しのリンボー市長しちょうが入場にゅうじょうします。

そして午後ごご9時じ10分ふんごろ、ノルウェー・ノーベル委員いいん会かいのフリードネス委員いいん長ちょうが受賞じゅしょう理由りゆうなどを説明せつめいします。

このあと午後ごご9時半じはんごろにフリードネス委員いいん長ちょうからメダルと賞状しょうじょうが授与じゅよされ、日本にっぽん被団協ひだんきょうを代表だいひょうして、3人にんの代表だいひょう委員いいんが受け取うけとる予定よていとなっています。

午後ごご9時じ40分ふんごろには、田中たなか熙巳み代表だいひょう委員いいんが20分間ふんかん、受賞じゅしょうの演説えんぜつを行おこない、自身じしんの被爆ひばく体験たいけんや、核兵器かくへいきの廃絶はいぜつなどを世界せかいに訴うったえます。

最後さいごに、3人にんの代表だいひょう委員いいんがハラルド国王こくおうをはじめとするノルウェー王室おうしつから直接ちょくせつ、祝福しゅくふくを受うけます。

《音楽おんがくの演奏えんそうも》

式しきの合間あいまには、合あわせて4回かいの音楽おんがく演奏えんそうが予定よていされています。

演奏えんそうはノルウェーのソプラノ歌手かしゅのマリ・エリクスモーンさん、ドイツのベルリンを拠点きょてんに活動かつどうする三味線しゃみせんを用もちいたバンドの「Mitsune 蜜みつ音おん」、ノルウェー民謡みんようやオペラ楽曲がっきょくなどを融合ゆうごうさせた音楽おんがくが特徴とくちょうとされる「ホーコン・コーンスタッド・トリオ」というグループです。

このうち「Mitsune 蜜みつ音おん」は、公式こうしきサイトなどによりますとメンバーに日本人にっぽんじんも含ふくまれ、日本にっぽんの伝統でんとう的てきな民謡みんようをベースにした楽曲がっきょくなどをヨーロッパを中心ちゅうしんとした各国かっこくで披露ひろうしてきたということです。

毎年まいとし、ノーベル平和へいわ賞しょうの授賞じゅしょう式しきでは音楽おんがくの演奏えんそうが行おこなわれていて、去年きょねん、イランの人権じんけん活動かつどう家かのナルゲス・モハンマディ氏しが平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうした式しきでは、イラン出身しゅっしんの歌手かしゅなどが楽曲がっきょくを披露ひろうしています。

授賞じゅしょう式しきの会場かいじょうでリハーサル

授賞じゅしょう式しきの会場かいじょうとなる市庁舎しちょうしゃではリハーサルが行おこなわれました。

日本にっぽん時間じかんの9日にち午後ごご10時半じはんごろ、日本にっぽん被団協ひだんきょうの代表だいひょう委員いいんの3人にんが到着とうちゃくすると、オスロ市しの市長しちょうが出迎でむかえ、「オスロに来きてくれてありがとうございます」などと1人にんずつ声こえをかけていました。

リハーサルは1時間じかん余あまりにわたって非ひ公開こうかいで行おこなわれ、ノーベル委員いいん会かいによりますと、代表だいひょう委員いいんの3人にんはメダルや賞状しょうじょうを受け取うけとる作法さほうを確認かくにんしたり、スピーチの一部いちぶを実際じっさいに読よんだりして、式しきの流ながれを確認かくにんしていたということです。

ノーベル平和へいわ賞しょうのメダルと賞状しょうじょう

ノーベル平和へいわ賞しょうの公式こうしきホームページなどによりますと、現在げんざいのノーベル平和へいわ賞しょうのメダルは18金製きんせいで、直径ちょっけいは6.6センチ、厚あつさは5ミリ、重おもさは196グラムだということです。

1901年ねんにノルウェーの彫刻ちょうこく家かがデザインし、表面ひょうめんにはアルフレッド・ノーベルの肖像しょうぞうが描えがかれ、その周まわりにはノーベルの名前なまえと生うまれた年とし、亡なくなった年としが刻きざまれています。

裏面りめんには肩かたを寄よせ合あう裸はだかの男性だんせい3人にんが描えがかれ、その周まわりにはラテン語らてんごで「人類じんるいの平和へいわと友愛ゆうあいのために」と刻きざまれていて、デザインは一貫いっかんして変かわっていないということです。

毎年まいとし、ノーベル平和へいわ賞しょうの受賞じゅしょう者しゃが発表はっぴょうされたあとに、ノルウェー造幣局ぞうへいきょくが鋳造ちゅうぞうしていて、メダルの縁えんには受賞じゅしょう者しゃの名前なまえと受賞じゅしょう年ねんが刻きざまれるということです。

また、ノーベル平和へいわ賞しょうの賞状しょうじょうには、「ノルウェーのノーベル委員いいん会かいは、アルフレッド・ノーベルが残のこした遺言ゆいごんの条項じょうこうに従にしたがい、ノーベル平和へいわ賞しょうを授与じゅよした」と、ノルウェー語ごで書かかれています。

装丁そうていは、ノルウェーの現代げんだいアーティストに依頼いらいして毎年まいとし新あらたにされ、賞状しょうじょうの製本せいほんを手てがける職人しょくにんが、メダルのケースも作つくっているということです。

日本にっぽん被団協ひだんきょう被爆ひばく者しゃの声こえを68年ねんにわたって世界せかいに発信はっしん

日本にっぽん被団協ひだんきょう＝日本にっぽん原水爆げんすいばく被害ひがい者しゃ団体だんたい協議きょうぎ会かいは、広島ひろしまや長崎ながさきで被爆ひばくした人ひとたちの全国ぜんこく組織そしきで、核兵器かくへいき廃絶はいぜつを願ねがう被爆ひばく者しゃの声こえを68年ねんにわたって世界せかいに発信はっしんしてきました。

日本にっぽん被団協ひだんきょうが結成けっせいされたのは広島ひろしまと長崎ながさきに原爆げんばくが投下とうかされてから11年ねん後ごの1956年ねんです。

当時とうじは、日本にっぽんのマグロ漁船ぎょせん、「第だい五ご福竜丸ふくりゅうまる」の乗組のりくみ員いんが、太平洋たいへいようのビキニ環礁かんしょうで行おこなわれたアメリカの水爆すいばく実験じっけんで被ひばくしたことをきっかけに国内こくないで原水爆げんすいばく禁止きんし運動うんどうが高たかまりを見みせていました。

結成けっせいの宣言せんげんで、「人類じんるいは私わたしたちの犠牲ぎせいと苦難くなんをまたふたたび繰り返くりかえしてはなりません」と訴うったえました。

1984年ねんには国くにによる原爆げんばく被害ひがいの補償ほしょうと核兵器かくへいきの廃絶はいぜつを求もとめた「原爆げんばく被害ひがい者しゃの基本きほん要求ようきゅう」を策定さくていし、活動かつどうの柱はしらとなっています。

原爆げんばく被害ひがいの実相じっそうを伝つたえるため積極せっきょく的てきに海外かいがいでも発信はっしんを行おこない、1982年ねんには代表だいひょう委員いいんの山口やまぐち仙せん二にさんが、国連こくれんの軍縮ぐんしゅく特別とくべつ総会そうかいで被爆ひばく者しゃとして初はじめて演壇えんだんに立たちました。

14歳さいの時ときに長崎ながさきで被爆ひばくした自身じしんの経験けいけんを語かたり、やけどを負おったみずからの写真しゃしんを示しめしながら、「ノーモアヒロシマノーモアナガサキノーモアウォーノーモアヒバクシャ」と訴うったえ核兵器かくへいきの廃絶はいぜつを迫せまりました。

その後そのごも、日本にっぽん被団協ひだんきょうは、国連こくれんや世界せかい各地かくちで原爆げんばくの写真しゃしん展てんを開ひらくなど地道じみちな活動かつどうを続つづけ、「ヒバクシャ」は世界せかいに通つうじる言葉ことばとなりました。

原爆げんばく投下とうかから60年ねんとなる2005年ねんには、ノーベル平和へいわ賞しょうの有力ゆうりょく候補こうほとして挙あげられ、受賞じゅしょうは逃のがしたものの、ノーベル委員いいん会かいの委員いいん長ちょうが、「長年ながねん、核かく廃絶はいぜつに取り組とりくんできた」と敬意けいいを表あらわしました。

アメリカのオバマ元もと大統領だいとうりょうが2016年ねんに現職げんしょくの大統領だいとうりょうとして初はじめて広島ひろしまを訪問ほうもんした際さいは、代表だいひょう委員いいんの坪井つぼい直ただしさんが「原爆げんばく投下とうかは人類じんるいにとって不幸ふこうな出来事できごとだった」と直接ちょくせつ伝つたえました。

さらに核兵器かくへいき廃絶はいぜつに向むけた国際こくさい的てきな取り組とりくみにも関かかわり、2017年ねんに採択さいたくされた核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくの交渉こうしょう会議かいぎでは、およそ300万まん人にん分ぶんの署名しょめいを集あつめて目録もくろくを提出ていしゅつし、条約じょうやくの採択さいたくを後押あとおししました。

条約じょうやくの前文ぜんぶんには、「被爆ひばく者しゃが受うけた容認ようにんし難がたい苦くるしみに留意りゅういする」、「被爆ひばく者しゃが行おこなっている努力どりょくを認識にんしきする」として、被爆ひばく者しゃに寄り添よりそうことばが盛り込もりこまれました。

そして、すみやかな核兵器かくへいきの廃絶はいぜつやすべての国くにが核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくに参加さんかすることを求もとめる「ヒバクシャ国際こくさい署名しょめい」を続つづけ、最終さいしゅう的てきに1370万まん人にん分ぶんあまりの署名しょめいを国連こくれんに提出ていしゅつしました。

近年きんねんはオンラインを活用かつようして被爆ひばく者しゃの証言しょうげんを伝つたえる取り組とりくみを進すすめているほか、2022年ねんに開ひらかれたNPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎで被爆ひばく者しゃがスピーチを行おこなうなど、核兵器かくへいきの恐おそろしさや悲惨ひさんさを証言しょうげんし、核かく廃絶はいぜつの必要ひつよう性せいを世界せかいに訴うったえ続つづけています。

一方いっぽう、被爆ひばく者しゃの高齢こうれい化かが進すすみ、かつてはすべての都道とどう府県ふけんに日本にっぽん被団協ひだんきょうに所属しょぞくする団体だんたいがありましたが、これまでに11の団体だんたいが解散かいさん・休止きゅうしを余儀よぎなくされています。

こうした中なかで被爆ひばく者しゃの子こどもの「被爆ひばく2世せい」や支援しえん者しゃなどが活動かつどうに関かかわるところが増ふえつつあり、次つぎの世代せだいへと引き継ひきつぐ動うごきも広ひろがっています。

【代表だいひょう委員いいん田中たなか熙巳みさん】90歳さい超こえても精力せいりょく的てきに活動かつどう

田中たなか熙巳みさんは、日本にっぽん被団協ひだんきょうの役員やくいんの中なかで最さい高齢こうれいの92歳さいです。

13歳さいだった1945年ねん8月つき9日にち、長崎ながさき市しに原爆げんばくが投下とうかされ、爆心ばくしん地ちから3キロあまり離はなれた自宅じたくにいた田中たなかさんに大おおきなけがはありませんでしたが、爆心ばくしん地ち近ちかくにいた伯母おばや伯父おじなど5人にんの親族しんぞくを亡なくしました。

原爆げんばく投下とうかの3日にち後ご、伯母おばたちの安否あんぴを確認かくにんするため爆心ばくしん地ち近ちかくを訪おとずれとき、多おおくの遺体いたいと、救援きゅうえんもないまま痛いたみに苦くるしみ亡なくなっていく人ひとたちを見みて、このような惨状さんじょうは二度にどと起おこしてはいけないと強つよく感かんじたといいます。

大学だいがくを卒業そつぎょう後ご、工学こうがく系けいの研究けんきゅうに取り組とりくむかたわら被爆ひばく者しゃ運動うんどうに参加さんかし、日本にっぽん被団協ひだんきょうの事務じむ局長きょくちょうを20年ねんにわたって務つとめました。

2016年ねんに当時とうじのアメリカのオバマ大統領だいとうりょうが現職げんしょくの大統領だいとうりょうとして初はじめて広島ひろしま市しを訪おとずれた際さいは平和へいわ公園こうえんでの献花けんかに立ち会たちあいました。

その翌年よくねん、代表だいひょう委員いいんに就任しゅうにんしたあとも国内こくない外がいで核兵器かくへいきの廃絶はいぜつを訴うったえたり、広島ひろしまや長崎ながさきで被爆ひばくした人ひとたちの原爆げんばく症しょうの認定にんていをめぐって基準きじゅんの見直みなおしを政府せいふに求もとめるなど90歳さいを超こえても精力せいりょく的てきに活動かつどうを続つづけています。

ノーベル平和へいわ賞しょうの受賞じゅしょうが決定けっていした際さいには、「核兵器かくへいきは、絶対ぜったいに使つかわれてはいけない。被爆ひばく者しゃは高齢こうれい化かしても若わかい世代せだいが運動うんどうを引き継ひきついで大おおきな声こえで訴うったえ続つづけてほしい」と話はなしていました。

【代表だいひょう委員いいん田中たなか重光しげみつさん】被爆ひばく者しゃの要望ようぼう伝つたえてきた

田中たなか重光しげみつさん（84）は、長崎ながさき市しに隣接りんせつする現在げんざいの長崎ながさき県けん時津とぎつ町まちで生うまれました。

被爆ひばくしたのは、爆心ばくしん地ちから6キロほど離はなれた自宅じたくで、当時とうじ4歳さいだった田中たなかさんに直接ちょくせつ的てきなけがはありませんでしたが、強つよい光ひかりと爆風ばくふうが吹ふいたことを覚おぼえているといいます。

みずからの「赤あかい背中せなか」の写真しゃしんを掲かかげて国連こくれんなどで核兵器かくへいき廃絶はいぜつを訴うったえた被爆ひばく者しゃの谷口たにぐち稜りょう曄さんが2017年ねんに亡なくなり、そのあとを継ついで日本にっぽん被団協ひだんきょうの県内けんないの被爆ひばく者しゃ団体だんたいの代表だいひょうに就任しゅうにんし、その翌年よくねんには、日本にっぽん被団協ひだんきょうの代表だいひょう委員いいんに選えらばれました。

その後そのごは、被爆ひばくの実相じっそうを伝つたえる子こどもたちへの語かたり部ぶ活動かつどうを続つづけているほか、毎年まいとし8月つき9日にちの「長崎ながさき原爆げんばくの日ひ」に総理そうり大臣だいじんと面会めんかいし、核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくへの署名しょめい・批准ひじゅんなど被爆ひばく者しゃの要望ようぼうを伝つたえてきました。

ノーベル平和へいわ賞しょうの受賞じゅしょう決定けっていの際さいには、「先輩せんぱいたちは偏見へんけん、差別さべつ、口くちには出し切だしきれない苦労くろうをして運動うんどうを続つづけてきた。本当ほんとうに感謝かんしゃしたい」と亡なき被爆ひばく者しゃへの思おもいを口くちにしていました。

【代表だいひょう委員いいんの箕みの牧まき智之としゆきさん】米国べいこくで若者わかものに被爆ひばく証言しょうげん

箕みの牧まき智之としゆきさん（82）は、1942年ねんに東京とうきょう・板橋いたばし区くで生うまれ、東京とうきょう大だい空襲くうしゅうをきっかけに、父親ちちおやのふるさとの広島ひろしまに疎開そかいしました。

原爆げんばく投下とうか当時とうじ、箕みの牧まきさんは3歳さいで、爆心ばくしん地ちからおよそ17キロ離はなれた現在げんざいの広島ひろしま市し安佐北あさきた区くの自宅じたくにいました。

広島ひろしま駅えきの近ちかくで働はたらいていた父親ちちおやを捜さがすため、原爆げんばく投下とうかの翌日よくじつ、母親ははおやと1歳さいの弟おとうととともに広島ひろしま市内しないに入はいって被爆ひばくしました。

異様いような臭においが漂ただよっていたことを鮮明せんめいに覚おぼえているといいます。

おととし（2022）、広島ひろしまの被爆ひばく者しゃの先頭せんとうに立たってきた坪井つぼい直ただしさんのあとを引き継ひきついで日本にっぽん被団協ひだんきょうの代表だいひょう委員いいんに就任しゅうにんし、核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくの2回かい目めの締約ていやく国こく会議かいぎが行おこなわれた際さいには、アメリカ・ニューヨークに渡わたって会議かいぎを見守みまもりながら、現地げんちの若者わかものに被爆ひばく証言しょうげんを行おこなうなど活動かつどうを続つづけてきました。