タイを
訪れている
岸田総理大臣はプラユット
首相と
首脳会談を
行い、ウクライナ
情勢をめぐり、いかなる
地域でも
力による
現状変更は
認められないという
認識で
一致しました。
また海洋進出を強める中国を念頭に、日本からの防衛装備品の輸出などに関する協定の締結で合意しました。
岸田総理大臣は、首都バンコクにある首相府で日本時間の午後6時すぎからプラユット首相と2時間余り首脳会談を行いました。
この中で岸田総理大臣は「プラユット首相とともに戦略的パートナーであるタイとの間の友好関係をさらに発展させたい。戦略的パートナーを包括的戦略パートナーに格上げしてはどうかというご提案をプラユット首相からいただいた。両国関係をさらなる高みに引き上げる観点から、提案を真剣に検討したい」と述べました。
会談で両首脳は、ウクライナ情勢について意見を交わし、いかなる地域でも主権や領土の一体性の侵害、力による一方的な現状変更、それに大量破壊兵器による威嚇や使用に反対していくことで一致しました。
さらに岸田総理大臣は、タイ政府によるウクライナや周辺国への人道支援を高く評価し、国際社会とともにウクライナや周辺国への人道支援で連携していくことで一致しました。
また中国を念頭に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携していくことを確認したほか、北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題それにミャンマー情勢をめぐっても緊密に連携していくことを確認しました。
そして、日本からタイへの防衛装備品の輸出や技術移転に関する協定の締結で合意したほか、捜査当局が外交ルートを通さずに必要な情報や証拠を直接やり取りできる「刑事共助条約」の締結に向けて調整を加速させることを確認しました。
また、新型コロナ対策をめぐって、500億円の円借款を行うことや検疫体制を強化するための機材の支援を行うことで合意しました。
このほか、タイが議長国を務め、ことし11月に開かれる予定のAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の成功に向け、緊密に連携していくことで一致しました。
タイ プラユット首相「人道支援継続で一致」
ウクライナ
情勢を
巡ってタイは、ロシア
に対する制裁には
参加せず、
外交で
中立的な
立場を
維持し、ことしAPEC=
アジア太平洋経済協力会議の
議長国として、
アメリカや
日本、
それにロシアや
中国などと
協議することが
できる立場で
あることを
強調しています。
岸田総理大臣との首脳会談のあとの共同記者発表で、タイのプラユット首相は「両国は主権や領土の一体性、国際法、国連憲章の原則を再確認した。そしてすべての関係者に対し、暴力を停止し、最大限の自制をするよう求め、国際社会と協力して、ウクライナの人たちに人道支援を継続していくことで一致した。こうした人道的な面に目を向けて支援を続けていくことが、いずれ紛争の解決に向けた道につながる」などと述べました。