一方、海上保安庁は捜索が難航することも念頭に、海難事故などの対応を専門とする民間のサルベージ会社に現場調査などを依頼していました。
サルベージ会社の船は、6日午後3時現在、北海道付近の日本海を航行中で、早ければ7日にも現場海域に到着する見込みです。
船が着き次第、水深およそ120メートルの海底に沈んだ船体の状況を無人潜水機で確認するということです。
さらにその後、別の作業船を現場に向かわせ、より深い海への潜水が可能な「飽和潜水」と呼ばれる方法で潜水士を潜らせて本格的な調査に着手することにしています。
潜水艦の救難に当たる海上自衛隊の部隊や、沈没した船の引き揚げなどに当たる民間の業者で取り入れられていて、100メートルを超える深海でも作業ができるということです。
それによりますと「飽和潜水」で、まず、ダイバーは「チャンバー」と呼ばれる加圧タンクに入り、高い圧力をかけた状態で一定期間を過ごします。 潜水作業に伴って体に異常が起こるのを防ぐための準備で、潜る深さによって変わりますが、今回の事故現場と同じ水深およそ120メートルまで潜る場合、このチャンバーで半日から一日かけて深海の高い水圧に体を慣らしていくということです。 準備が終わると、ダイバーを乗せた潜水用のカプセルを深海におろしていきます。 そして、目標の深海に達したら、ダイバーはカプセルの外に出て、カプセルとつながったホースから体温を保つための温水や空気の供給を受けながら作業します。 作業は、水深およそ120メートルの場合、1人20分から30分程度行うことができるということで、数人のダイバーで交代しながら進めていきます。 作業が終わった後は、再び「チャンバー」に戻って少しずつ圧力を減らしていき、体がもとに戻るためには水深およそ120メートルの場合、4日から5日ほどかかるということです。 安倍さんは「調査や引き揚げには細かい作業が必要なため、ロボットではなく人の手で作業できる『飽和潜水』という方法が最適だと判断したのではないか。加圧状態では味覚が鈍くなったり耳が遠くなったりするほか、ダイバーには心理的にもかなりのストレスがかかる」と話しています。
映像では、潜水員が水深100メートルまで潜るため事前に狭い加圧タンクの中で過ごしたあと、潜水用のカプセルで深海におりていく様子が紹介されています。 そして、カプセルから出た潜水員が海底の潜水艦に空気を送り込むことを想定してホースをつなぐ作業を訓練する様子や、洋上の船にいる隊員が作業をモニターする様子が紹介されています。
「飽和潜水」の調査とは
海自が「飽和潜水」の訓練映像を公開