トランプ次期大統領は16日、SNSで、次の駐日大使にジョージ・グラス氏を起用すると発表しました。
グラス氏は、西部オレゴン州出身の実業家で、投資銀行や不動産会社の経営に携わってきました。トランプ氏の大口献金者の1人で、1期目の政権ではポルトガル大使を務めました。また、11月に行われた大統領選挙では、返り咲きを目指すトランプ氏を資金調達の面でも支えたとされます。
トランプ氏はグラス氏の起用について「投資銀行の元頭取として、ビジネスの感覚を大使としての仕事でも発揮するだろう。彼は常にアメリカを第一に考える。おめでとう、ジョージ」と投稿しました。
また、発表に先立って行われた16日の記者会見でトランプ氏はグラス氏について「尊敬できる人物だ。大使を務めた経験もある。すばらしい仕事をした。われわれは日本をとても重要だと考えている」と述べていました。
グラス氏は、ポルトガル大使在任中、地元メディアの取材に対し「ポルトガルはアメリカと中国のどちらかを選択する必要がある。通信事業などで中国を選んだとしたら、安全や防衛の面での結果が生じるだろう」と述べるなど、中国に対し批判的な立場を示したことで知られています。
今後、大使に就任するには、議会上院で承認される必要があります。
ジョージ・グラス氏とは
ジョージ・グラス氏はトランプ氏の大口献金者だったことで知られ、1期目のトランプ政権ではポルトガル大使を3年あまり務めました。
ポルトガル大使時代には、当時、進められていた5Gの通信網の整備に、中国通信機器大手の「ファーウェイ」が協力していたことなど、ポルトガルの戦略的分野に中国が技術協力や多額の投資などで関与していることに批判的な立場を示していました。
これに対してポルトガルの大統領が自国のことは国民に選ばれた代表者で決めると反論するなど波紋を呼んだこともありました。
大使の人事には議会上院の承認が必要ですが、グラス氏が駐日大使に就任することになれば、対中国でどのような発言をするかについても注目されることになりそうです。
現大使はトランプ氏就任前に離日か
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは15日、現在の駐日大使のエマニュエル氏について、1月20日のトランプ次期大統領の就任を待たず、年明けにも日本を離れる予定だと報じました。
ニューヨーク・タイムズは、11月下旬にエマニュエル氏にインタビューを行ったとしていて、この中でエマニュエル氏は自身の今後については「公職を考えている」と答えたということです。
エマニュエル氏は12月6日、都内のアメリカ大使公邸で開かれたイベントで、大使として夫人と出席する最後の会になると発言するなど、近く離任する考えを示していました。
エマニュエル氏は2009年に発足した民主党のオバマ政権で、政権運営の要となる大統領首席補佐官を務めたあと、シカゴの市長をへて、バイデン大統領の指名を受け2022年から駐日大使を務めています。