独裁的なアサド政権が崩壊したシリアでは暫定政権が発足しましたが、長年の内戦で疲弊している経済の立て直しが大きな課題となっています。
暫定政権を主導する「シリア解放機構」のジャウラニ指導者は16日、一部のメディアの取材に「今はシリアを再建するときだ」と述べて、欧米などが旧政権に科してきた経済制裁について、解除を求めたということです。
制裁をめぐってはこれまでに、首都ダマスカスを訪問した国連の特使も解除の必要があるとの認識を示しています。
シリアの再建について日本を訪れているUNDP=国連開発計画のシュタイナー総裁は17日、NHKのインタビューに対し「シリアでは、経済の活力やインフラは失われた状態だ。今こそシリアの経済復興に向けて人々が生活を再建できるよう迅速に投資を行う必要がある」と述べて、日本をはじめ国際社会に支援を訴えました。
国連は、来年1月以降の半年で国外に逃れたシリア難民最大100万人が祖国に戻ってくると予測していて、シリアの安定とともに内戦からの立て直しができるかが焦点です。
イラン 大使館再開は慎重に判断
アサド政権を支援してきたイランの外務省のバガイ報道官は17日、会見でシリアで新たに発足した暫定政権への対応について「われわれは移行期間が終わるのを待っていて、シリアの多様な集団を代表する包括的な政府が樹立されることを願っている。それに応じて、適切なときにみずからの判断を行う」と述べ、政権移譲の推移を注視する姿勢を示しました。
その上で、職員を退避させているシリア国内のイラン大使館については「再開には条件がある。政治や安全上の必要な環境が整いしだい手続きをとる」と述べ、再開の時期は治安状況や暫定政権の対応を踏まえながら慎重に判断する考えを示しました。
シリアの内戦をめぐり、イランはアサド政権側を支援するため軍事顧問として精鋭部隊の革命防衛隊を派遣していましたが、政権崩壊に伴い兵士たちを引き揚げさせたことをこれまでに明らかにしています。