またいずれも贈賄の罪で
▽東京・港区に本社がある広告大手ADKホールディングスの前社長、植野伸一被告(68)と
▽元事業統括部長の久松茂治被告(63)、
▽元事業統括部長補佐の多田俊明被告(60)の3人が起訴され、
▽東京・千代田区にあるぬいぐるみの製造・販売会社サン・アローの前代表関口芳弘被告(74)と
▽代表の関口太嗣被告(50)が贈賄の罪で在宅起訴されました。
東京地検特捜部によりますと、高橋元理事は植野前社長らから依頼を受け、ADKのグループ会社がスポンサーの契約交渉を支援する業務などを請け負えるよう便宜を図った謝礼などとして、総額4700万円の賄賂を受け取ったほか、関口前代表らの依頼を受け、ライセンス契約をめぐってサン・アローに便宜を図った謝礼などとして総額700万円の賄賂を受け取ったとして受託収賄の罪に問われています。
賄賂とされる資金のうちADK側からのおよそ2000万円とサン・アローからのおよそ700万円は、いずれも高橋元理事が松井元代表が経営するコンサルタント会社の口座に振り込ませたとみられています。
高橋元理事が起訴されるのは、紳士服大手のAOKIホールディングス、出版大手のKADOKAWA、それに広告会社「大広」をめぐる事件に続いて4回目で、賄賂の総額はおよそ1億9800万円に上るとみられます。
元理事への強制捜査から3か月余り続いた東京大会をめぐる一連の捜査は今回の起訴で大きな区切りを迎えました。
関係者によりますと、植野前社長は起訴された内容を否定し、高橋元理事はいずれの事件についても不正を否定しているということです。
東京オリンピック・パラリンピックでは、7800億円を超える多額の公費が投入され、大会組織委員会の理事や職員は「みなし公務員」として高い公共性が求められましたが、運営組織の透明性を図るためにガバナンスや体制はどうあるべきかという規定はありませんでした。 先月開かれたJOCなど、スポーツの統括団体のトップによるスポーツ庁の「円卓会議」では、今回の事件を受けてスポーツ界に厳しい目が向けられていることを重く受け止め、今後の大会では透明性や公正性を確保していくための取り組みを一層進める必要があるという声明が出されました。 そのうえでスポーツ庁やJOCなどは、2026年に愛知県を中心に行われるアジア大会や、札幌市が招致を目指している2030年冬のオリンピック・パラリンピックなどを念頭に、こうした大会の運営には自治体や公益財団法人が関わり公的な側面があるとして、大会の運営組織の在り方などを定めた指針を新たに策定することにしています。 指針の策定に向けてスポーツ関連団体のほか、弁護士や公認会計士などをメンバーに加えた会議を今月中旬にも立ち上げる予定です。 この中では競技団体が守るべき規範を定めた「スポーツ団体ガバナンスコード」の内容を大規模大会の組織委員会にも適用するかどうかや、情報公開や外部監査の在り方、それに利益相反の考え方の明確化などについて、海外の事例も参考にしながら議論される見通しです。 スポーツ庁は「公的な側面もある大会の運営組織については、あるべき姿を検討していかなければならない」として大会運営の透明性を高め、事件の再発防止を図ることで信頼回復につなげたい考えです。
スポーツ庁 大規模大会での運営組織の指針策定へ 再発防止図る