大だい企業きぎょうのサラリーマンなどが加入かにゅうする健康けんこう保険ほけん組合くみあいの保険ほけん料りょうは原則げんそく、会社かいしゃと個人こじんが折半せっぱんして納付のうふし、医療いりょう費ひの窓口まどぐち負担ふたんが3割わり以下いかに抑おさえられています。

しかし、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで企業きぎょうの経営けいえいが悪化あっかし、一部いちぶでは保険ほけん料りょうの支払しはらいが困難こんなんになっていることから、国くには、1か月かげつの収入しゅうにゅうが前まえの年としの同おなじ時期じきと比くらべて20％以上いじょう減少げんしょうした事業じぎょう所しょなどを対象たいしょうに、保険ほけん料りょうの納付のうふを最大さいだい1年間ねんかん猶予ゆうよする特例とくれい措置そちを設もうけています。

健保連けんぽれん＝健康けんこう保険ほけん組合くみあい連合れんごう会かいのまとめによりますと、ことし7月つきの時点じてんでこの特例とくれい措置そちが適用てきようされ、保険ほけん料りょうの納付のうふが猶予ゆうよされたのは、全国ぜんこく120組合くみあいの、延のべ2199事業じぎょう所しょにのぼりました。

猶予ゆうよ額がくは合あわせて167億おく円えん余あまりとなっています。

また、主おもに中小ちゅうしょう企業きぎょうで働はたらく人ひとが加入かにゅうする協会きょうかいけんぽでは、猶予ゆうよ額がくが769億おく円えん余あまりにのぼり、合あわせて1000億おく円えん近ちかい保険ほけん料りょうの納付のうふが猶予ゆうよされていることになります。

健保連けんぽれんによりますと、今年度こんねんどの保険ほけん料りょう収入しゅうにゅうは7兆ちょう8200億おく円えん余あまりと、当初とうしょの見込みこみからおよそ4000億おく円えん減へる見通みとおしだということです。

健保連けんぽれんの佐野さの雅宏まさひろ副ふく会長かいちょうは「リーマンショックを超こえる影響えいきょうが予想よそうされ、想像そうぞう以上いじょうに厳きびしい。保険ほけん料りょうの納付のうふが困難こんなんな企業きぎょうは今後こんごも増ふえるおそれがある。解散かいさんを検討けんとうする組合くみあいが出でてくることも危惧きぐされ、国くにに支援しえんを求もとめたい」と話はなしています。

保険ほけん料りょうが重おもくのしかかる旅行りょこう会社かいしゃは

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで収入しゅうにゅうが大幅おおはばに減少げんしょうした企業きぎょうは、保険ほけん料りょうの負担ふたんが重おもくのしかかっています。

東京とうきょう・中野なかの区くにある旅行りょこう会社かいしゃは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい後ごに旅行りょこう客きゃくが急激きゅうげきに減へり、4月つきから売り上うりあげがほとんどなくなりました。

モンゴルやネパールなど海外かいがいの旅行りょこうを専門せんもんに販売はんばいしてきましたが、各国かっこくが往来おうらいを制限せいげんした影響えいきょうで、ことし3月つきまでの売り上うりあげは去年きょねんの同おなじ時期じきよりおよそ70％減少げんしょう。

そして、4月つき以降いこうは売り上うりあげがほとんど無ない状態じょうたいが続つづいているといいます。

従業じゅうぎょう員いんは30人にんいますが、4月つき以降いこうは臨時りんじ休業きゅうぎょうにして休やすませていて、今月こんげつ取材しゅざいした時ときには、社内しゃないには社長しゃちょうと社員しゃいんの2人にんしかいませんでした。

国くにの雇用こよう調整ちょうせい助成じょせい金きんで社員しゃいんの雇用こようをつなぎ止つなぎとめていますが、重おもくのしかかっているのが健康けんこう保険ほけん組合くみあいの保険ほけん料りょうです。

この会社かいしゃは観光かんこうに関かかわる会社かいしゃで作つくる「観光かんこう産業さんぎょう健康けんこう保険ほけん組合くみあい」に加入かにゅうしています。

保険ほけん料りょうは会社かいしゃと社員しゃいんが折半せっぱんして納付のうふしていて、毎月まいつきの会社かいしゃの負担ふたん分ぶんはおよそ40万まん円えんです。

会社かいしゃでは売り上うりあげが無ない中なかでも保険ほけん料りょうを納付のうふし続つづけていますが、それにも限界げんかいがあるといいます。

「風かぜの旅行りょこう社しゃ」の原はら優二ゆうじ社長しゃちょうは「社員しゃいんの福利ふくり厚生こうせいを守まもるためにもなんとか工面くめんして保険ほけん料りょうを払はらい続つづけている。納付のうふを猶予ゆうよしてもらう手てもあるが、結局けっきょく、後あとで支払しはらわなければならない。国くには私わたしたちのような企業きぎょうの支援しえんを検討けんとうしてもらいたい」と話はなしています。

健康けんこう保険ほけん組合くみあいはコロナ前まえから厳きびしい運営うんえい

健康けんこう保険ほけん組合くみあいは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい前まえから厳きびしい運営うんえいを強しいられてきました。

超ちょう高齢こうれい社会しゃかいに伴ともなう医療いりょう費ひの増大ぞうだいや、後期こうき高齢こうれい者しゃ医療いりょう制度せいどへの拠出きょしゅつ金きんなどで収支しゅうしが悪化あっかし、解散かいさんを余儀よぎなくされた組合くみあいも少すくなくありません。

そのさなかで今回こんかいの新型しんがたコロナウイルス。

会社かいしゃの収益しゅうえきが悪化あっかし、さらに運営うんえいが厳きびしくなることも予想よそうされています。

一方いっぽうで、新型しんがたウイルスの感染かんせん拡大かくだい後ご、患者かんじゃが受診じゅしんを控ひかえる動うごきもあり、健保連けんぽれんによりますと5月つきの医療いりょう費ひは前年ぜんねんと比較ひかくして10％以上いじょう、少すくなくなりました。

受診じゅしん控ひかえが進すすむと医療いりょう費ひが減少げんしょうするので、健康けんこう保険ほけん組合くみあいの収支しゅうしは改善かいぜんしますが、健保連けんぽれんによりますと、6月つきごろから医療いりょう費ひが増ふえ始はじめているということです。

一方いっぽう、企業きぎょうの収入しゅうにゅうや賃金ちんぎんは下さがったままのところも多おおく、健康けんこう保険ほけん組合くみあいの運営うんえいは今後こんごも悪化あっかするおそれが指摘してきされ、健保連けんぽれんでは、保険ほけん料りょう率りつを引き上ひきあげざるをえない組合くみあいや解散かいさんを検討けんとうする組合くみあいが出でてくることも危惧きぐしています。

仮かりに健康けんこう保険ほけん組合くみあいが解散かいさんすると、従業じゅうぎょう員いんは「協会きょうかいけんぽ」に移うつることになります。

協会きょうかいけんぽには税金ぜいきんが投入とうにゅうされていて、健康けんこう保険ほけん組合くみあいが減へるほど、税ぜい負担ふたんが増ふえることになります。

健保連けんぽれん「国くにには財政ざいせい的てきな支援しえんをお願おねがいしたい」

健保連けんぽれんの佐野さの雅宏まさひろ副ふく理事りじ長ちょうは「保険ほけん料りょうの納付のうふを猶予ゆうよされる組合くみあいは月つきを追おうごとに増ふえていて、大変たいへん厳きびしい状況じょうきょうが来くるのではないか。解散かいさんも選択肢せんたくしに入はいってくる組合くみあいが出でてくることも危惧きぐされ、国くにには財政ざいせい的てきな支援しえんをお願おねがいしたい。また、医療いりょう保険ほけん制度せいどの見直みなおし、特とくに高齢こうれい者しゃの医療いりょう費ひを、誰だれがどのように負担ふたんするか議論ぎろんを進すすめてほしい」と話はなしています。