「イグ・ノーベル賞しょう」は、1991年ねんにノーベル賞しょうのパロディーとしてアメリカの科学かがく雑誌ざっしが始はじめた賞しょうで、例年れいねんはハーバード大学だいがくで授賞じゅしょう式しきが行おこなわれますが、ことしは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、インターネット上じょうの動画どうがで受賞じゅしょう者しゃが発表はっぴょうされました。

このうち、京都きょうと大学だいがく霊長れいちょう類るい研究所けんきゅうじょの西村にしむら剛つよし准じゅん教授きょうじゅが参加さんかする国際こくさい的てきな研究けんきゅうグループは「音響おんきょう賞しょう」を受賞じゅしょうしました。

西村にしむら准じゅん教授きょうじゅらは、ワニの鳴き声なきごえの仕組しくみを調しらべるため、普通ふつうの空気くうきを満みたした水槽すいそうと、ヘリウムガスと酸素さんそを満みたした水槽すいそうで、それぞれワニの鳴き声なきごえの変化へんかを調しらべました。

その結果けっか、ヘリウムガスを吸すったワニは鳴き声なきごえが高たかくなることがわかり、哺乳ほにゅう類るいと同おなじように、のどから口くちにかけて空気くうきを振動しんどうさせて鳴き声なきごえを出だしていることが確認かくにんされたということです。

日本人にっぽんじんが受賞じゅしょうするのは、ことしで14年ねん連続れんぞくです。

このほか、9つの分野ぶんやで受賞じゅしょう者しゃが発表はっぴょうされ、このうち、新型しんがたコロナウイルスの世界せかい的てきな流行りゅうこうを利用りようして、政治せいじ家かが人ひとの命いのちに直ただちに与あたえる効果こうかは、医師いしや科学かがく者しゃより大おおきいことを示しめしたとして、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうやロシアのプーチン大統領だいとうりょうなど世界せかいの指導しどう者しゃ9人にんに「医学いがく教育きょういく賞しょう」が贈おくられました。

ワニの鳴き声なきごえ 周波しゅうは数すうが倍ばいに

イグ・ノーベル賞しょうの「音響おんきょう賞しょう」を受賞じゅしょうしたのは、愛知あいち県けん犬山いぬやま市しにある京都きょうと大学だいがく霊長れいちょう類るい研究所けんきゅうじょの西村にしむら剛つよし准じゅん教授きょうじゅらの研究けんきゅうグループで、ワニの鳴き声なきごえがヘリウムガスによって変化へんかすることを実験じっけんで確認かくにんしました。

この実験じっけんは2013年ねんにアメリカの動物どうぶつ園えんで行おこなわれ、中国ちゅうごくが原産げんさんの体長たいちょう120センチ余あまりのメスの「ヨウスコウワニ」を水槽すいそうに入いれ、通常つうじょうの鳴き声なきごえと水槽すいそう内ないにヘリウムガスと酸素さんそを満みたした状態じょうたいとを比くらべました。

通常つうじょうの鳴き声なきごえではワニは低ひくくうなっていましたが、ヘリウムガスを吸すった状態じょうたいでは、鳴き声なきごえが非常ひじょうに高たかく聞きこえるようになりました。

研究けんきゅうグループによりますと、声こえの周波しゅうは数すうが倍ばいになったということです。

研究けんきゅうグループによりますと、今回こんかいの実験じっけんによって、ワニも哺乳ほにゅう類るいや鳥類ちょうるいと同おなじように、声帯せいたいから口くちまでの間まにある空気くうきを振動しんどうさせて声こえを出だしていることが確認かくにんされたということです。

西村にしむら准じゅん教授きょうじゅ「日常にちじょうの周まわりの単純たんじゅんな疑問ぎもんが科学かがくのおおもと」

実験じっけんに参加さんかした京都きょうと大学だいがく霊長れいちょう類るい研究所けんきゅうじょの西村にしむら剛つよし准じゅん教授きょうじゅは、今回こんかいの研究けんきゅうのきっかけについて「鳥とりはよく鳴なきますよね。は虫類はちゅうるいはどうなっているのだろうと思おもうわけです。ヘビやカメは鳴なかないし、それでワニで実験じっけんをすることになったのです」と述のべました。

そのうえで、イグ・ノーベル賞しょうを受賞じゅしょうしたことについて、「この実験じっけんはすぐに何なにかの役に立やくにたつわけではないが、おもしろいと笑わらっていただければそれでいいです」と話はなしていました。

さらに、こうした科学かがくのおもしろさを子こどもたちに伝つたえることについて西村にしむら准じゅん教授きょうじゅは、「学校がっこうでの理科りかの勉強べんきょうは覚おぼえることも理論りろんも多おおく、難むずかしいかもしれません。でも、今回こんかいの実験じっけんのように『ワニが鳴なくから実験じっけんするとおもしろそうだ』という、日常にちじょうの周まわりのものすごく単純たんじゅんな疑問ぎもんが科学かがくのおおもとだということをぜひ知しってほしいです」と話はなしていました。

ことしの受賞じゅしょう研究けんきゅうは

ことしのイグ・ノーベル賞しょうは10の分野ぶんやで贈おくられました。

このうち「昆虫こんちゅう学賞がくしょう」には、昆虫こんちゅうを研究けんきゅうをする学者がくしゃには、分類ぶんるい学がく的てきに「昆虫こんちゅう」に含ふくまれないクモの仲間なかまが嫌きらいだという人ひとが多おおいことを明あきらかにした、アメリカの研究けんきゅうが選えらばれました。

また「医学いがく賞しょう」には、他人たにんがものをかみ砕くだく音おとに不快ふかい感かんを覚おぼえることは、精神せいしん的てきな疾患しっかんとして扱あつかわれるべきだとして、診断しんだん基準きじゅんを作つくったオランダとベルギーの研究けんきゅう者しゃの研究けんきゅうが選えらばれました。

このほか、新型しんがたコロナウイルスの世界せかい的てきな流行りゅうこうを利用りようして政治せいじ家かが、人ひとの命いのちに直ただちに与あたえる効果こうかは、医師いしや科学かがく者しゃより大おおきいことを示しめしたとして、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうやロシアのプーチン大統領だいとうりょう、ブラジルのボルソナロ大統領だいとうりょうなど世界せかいの指導しどう者しゃ9人にんに「医学いがく教育きょういく賞しょう」が贈おくられました。

また、緊張きんちょう関係かんけいが続つづくインドとパキスタンの外交がいこう官かんらが、深夜しんやに相手あいての家いえの呼び鈴よびりんを鳴ならして逃にげたり、いたずら電話でんわをかけたりしていると報ほうじられたことについて、両国りょうこくの政府せいふに「平和へいわ賞しょう」が贈おくられています。