先日、SNS上では、荷物の送り状に書く「品名」をめぐるこんな投稿が話題になりました。
「サプライズプレゼントなので書きたくありませんが、どうしてもというなら衣服です」。
集荷に来た配達員からは「『プレゼント』でいいですよ~って言われた」という投稿とあわせて、ほのぼのとしたエピソードが反響を呼びました。
どんな思いで、こんな「品名」を書いたのか。
投稿した「だるちゃん」さんによると、荷物を贈った相手はかつての職場の先輩で10年来の友人の女性です。2人とも退職しましたが「だるちゃん」さんも先輩もママになり、子育ての状況などを互いにメッセージで報告しあっていました。
そんな折、先輩が子育てで思い悩んでいることを知ったそうです。
コロナ禍ということもあって、直接会って元気づけることは難しいので、先輩と小学生の子どもが大好きだという人気アニメ「鬼滅の刃」の親子おそろいのTシャツをサプライズで贈ることを思い立ちました。
「だるちゃん」さんは「開けた時に親子でどんな反応をするのかわくわくしました」と振り返ります。
ただ、ネット販売に関連する仕事の経験があった「だるちゃん」さんは品名を詳しく書かなければいけないことを知っていました。このため「本当は書きたくないなあ」と思いながら「衣服」と書いたのだそうです。
さて、思いの詰まった荷物を受け取った先輩親子の反応ですが「先輩からは『送り状を見た瞬間に大笑いした』と言われました。子どもは大喜びでTシャツを着たまま寝たそうです。先輩からも『元気が出た』と言われて、贈ってよかったです」とうれしそうに話していました。
結果としては十分、「サプライズ」になったようです。
運送会社によりますと、品名に「プレゼント」としか記入しないのは不十分で、今回のケースのように「衣服」と記入する必要があるということです。ただ、例えば「アニメのTシャツ」とまで記入する必要はないとのことです。
せっかくのサプライズプレゼントを「品名」を明らかにせず送れる方法はないのか。
日本郵便とヤマト運輸の広報に尋ねてみましたが、その答えはいずれも「『裏技』はなく、正しい『品名』の記入にご協力ください」とのことでした。「だるちゃん」さんのケースは、現場の配達員が柔軟に対応しようとしてくれたのかもしれません。
荷物到着遅れのおそれも
日本郵便によりますと、ことし4月から8月の「ゆうパック」の取扱量は、前の年の同じ時期と比べ15%から29%増えています。
「巣ごもり需要」によるネット通販の利用拡大や、帰省の自粛で遠方に住む家族などへの贈り物が増えたことが背景にあると分析しています。
宅配便などを送る際、送り状に記載する「品名」は国土交通省が定める約款で記入が求められています。
国土交通省によりますと、危険物や壊れやすい荷物の場合、事故などにつながるおそれがあるため正確に記入するよう求めていて、各事業者もこれに基づいて運用し、ホームページなどで公表しています。
このうち日本郵便では、例えば雑貨なら「食器」や「ボールペン」など、キャンプ用品も「テント」や「シュラフ」などと具体的に記入するよう求めています。
郵便局や運送会社などの受け付け窓口では、担当者がそのつど「品名」を確認し、記入がなかったりあいまいだったりする場合には正しく記入するよう求めていますが、日本郵便では荷物の取扱量の増加に伴って、現場ではこうした確認作業も増えているのではないかとしています。
日本郵便や運送会社によりますと「品名」が正しく記入されていない場合、荷物の到着が遅れるおそれがあります。
特に航空機を使って荷物を移送する際には、可燃性の物などが入っていないことを確認しなければなりません。
それができない場合には航空機に乗せることができず、指定した日時に荷物を届けられないケースもあるとして、注意を呼びかけています。
日本郵便は「大切な贈り物などをお客様が希望した日時に配達するためにも、正しい『品名』の記入に協力してほしい」としています。
品名 どう書けばいい?
送り状の「品名」はどの程度、具体的に書けばよいのでしょうか。
日本郵便や運送会社では、記入例をホームページに掲載しています。
このうち日本郵便は
×日用品 → ○衣服、食品、CD
×雑貨、小物類 → ○食器、ボールペン
×スポーツ用品 → ○ラケット、ユニフォーム
×キャンプ用品 → ○テント、シュラフ
×ダイビング用品 → ○ウェットスーツ、シュノーケル
×プレゼント、ギフト → ○ゲームソフト、ネクタイ
また、ヤマト運輸は
×雑貨 → ○ガラス食器
×日用品 → ○中性洗剤などと例示しています。