真冬並みの
強い
寒気の
影響で、
24日は
関東甲信の
各地で
雪が
降り、
東京の
都心では
11月としては
54年ぶりに
初雪を
観測したほか、
明治8年の
統計開始以降、
初めて
積雪を
観測しました。
各地の
雪は
夕方までに、ほぼやみましたが、
25日朝にかけて
気温が
下がるため、
気象庁は
積雪となっているところでは
路面の
凍結に
十分注意するよう
呼びかけています。
気象庁によりますと、
上空1500メートル
付近に
氷点下3度以下の
真冬並みの
強い
寒気が
流れ込んだ
影響で
関東甲信で
雪が
降り、
東京の
都心など
各地で
24日の
明け方から
朝にかけて
初雪を
観測しました。いずれも
11月としては、
東京の
都心と
横浜市、
甲府市で
昭和37年以来54年ぶり、
宇都宮市と
水戸市で
31年ぶり、
前橋市と
埼玉県熊谷市でも
14年ぶりの
初雪となりました。
24日は山沿いを中心に大雪となったほか、平野部でも雪が積もり、東京の都心では午前11時にうっすらと雪が積もったのが確認され、11月としては明治8年の統計開始以降、初めて積雪を観測したほか、千葉市では午後2時に2センチ、水戸市で午前11時に1センチの積雪を観測し、こちらも11月としては統計を取り始めてから初めての積雪となりました。
午後5時の積雪は、長野県軽井沢町と山梨県富士河口湖町で21センチ、栃木県奥日光で20センチ、群馬県草津町で12センチに達しているほか、埼玉県熊谷市で4センチ、前橋市と宇都宮市で2センチ、千葉市で1センチなどとなっています。
関東甲信の各地の雪は夕方までに、ほぼやみましたが、25日の朝にかけて気温が下がる見込みで、25日朝の最低気温は、長野市で氷点下3度、宇都宮市で氷点下2度、前橋市と水戸市で氷点下1度、さいたま市と甲府市で0度、東京の都心と横浜市で2度、千葉市で3度などと、平年を5度前後下回る厳しい寒さが予想されています。
気象庁は、積雪となっているところでは路面の凍結による転倒やスリップ事故などに十分注意するよう呼びかけています。
偏西風が蛇行し真冬並みの寒気が南下
24日、関東甲信地方の広い範囲で雪が降った要因について、気象庁は、北極圏から強い寒気が流れ出しやすい状態が続いていたところに、偏西風が日本付近で南に大きく蛇行したため、真冬並みの寒気が関東甲信地方まで南下したことが影響したと分析しています。
気象庁によりますと、先月ごろから北極付近で気圧が高くなる一方、日本付近など北半球の中緯度の地域で気圧が低くなる「負の北極振動」と呼ばれる現象が起きていて、北極圏から寒気が南に流れ出しやすい状態が続いているということです。
北極圏から流れ出した寒気は、これまでは主にシベリア付近に蓄積されていましたが、今週に入ってから偏西風が日本付近で南に大きく蛇行したため、偏西風の流れに沿って真冬並みの強い寒気がさらに南下し、24日、関東甲信などの上空に流れ込んだということです。こうして気温が下がったところに、関東の南の海上を前線を伴った低気圧が通過したため、関東甲信の広い範囲で雪が降ったと分析しています。
一方、この冬の気温や天候の長期的な予報を見てみますと、南米のペルー沖で赤道付近の海面水温が平年より低くなる「ラニーニャ現象」が続く影響で、今回と同じように偏西風が日本付近で南に蛇行することが多くなり、寒気が流れ込みやすくなる見込みで、24日の時点での予報では、この冬は、西日本を中心に気温が平年より低くなったり降雪量が平年より多くなったりする傾向があるということです。
54年前は「38豪雪」
気象庁によりますと、東京の都心で11月に初雪を観測した54年前の昭和37年11月22日は、本州付近にかかっていた前線の影響で関東地方では朝から雨が降っていました。そこに大陸の高気圧が日本付近に張り出した影響で、上空1500メートル付近に氷点下3度以下の真冬並みの強い寒気が流れ込んだため、夜に入ってから雨が次第に雪に変わり、東京の都心と横浜市で初雪が観測されました。
その後、この年の12月から翌年、昭和38年の2月にかけて強い寒気が相次いで南下したうえ、低気圧や前線がたびたび日本付近を通過したため、東北から九州にかけての広い範囲で雪が降り続きました。特に昭和38年1月に雪の量がかなり多くなり、1月に観測した最大の積雪は、福井市で2メートル13センチ、富山市で1メートル86センチ、大分県日田市で39センチ、鹿児島県阿久根市で38センチなどとなりました。
この記録的な大雪で、北陸などの各地で集落の孤立や交通障害、それに雪の重みによる住宅の倒壊などが相次ぎ、死者・行方不明者は全国で231人、けが人は356人に上りました。気象庁は、この災害を「昭和38年1月豪雪」と命名。通称、「38豪雪」とも呼ばれ、語り継がれています。