JR博多駅前で
道路が
大規模に
陥没した
事故から
8日で
1か月です。
現場で
行われていたトンネル
工事の
設計をめぐり、
陥没のおよそ
2か月前に
開かれた
福岡市の
会議で、
専門家が
地盤沈下のおそれを
繰り返し
指摘していたことが、
NHKが
入手した
議事録で
新たにわかりました。
陥没が
起きた
現場で
地下鉄の
延伸工事を
進めていた
福岡市は、
陥没のおよそ
2か月前の
8月30日、
専門家による
検討委員会を
開きました。
NHKが
入手した
議事録によりますと、この
日の
会議では、
地下水を
多く
含む
軟らかい
地層を
避けるため、トンネル
上部の
深さを
当初よりおよそ
90センチ
下げる
設計変更について
議論されました。
この中で、専門家の1人が「掘削に伴って地盤沈下が起きればかなり危ない」と指摘したうえで、「設計を変更し、トンネルの位置を下げたとしても心配だ」と懸念を示していました。また、別の専門家は「地盤にもろい部分があり、工事でどのような亀裂が入るか予測するのは難しい」としたうえで、「亀裂によって地下水が流れ込めば地面の沈下につながる」と指摘していました。このほか、現場の地層は平らではなく複雑な形をしているとして、注意を促す意見もありましたが、慎重に工事を進めることで設計変更は承認されました。
原因を調査している国の専門家の委員会は、設計変更が妥当だったかどうか、調べるものと見られます。
専門家「風化でもろくなっている部分も」
大規模な陥没が起きたJR博多駅前の地下の地質について、専門家は、市内およそ3000か所のボーリング調査のデータを基に推定した結果、固い岩盤であっても、過去の風化でもろくなっている部分があると指摘しています。
現場で行われていた地下鉄の延伸工事では、陥没を防ぐため、地下16メートル付近まである、地下水を多く含む軟らかい地層を避けて、その下の固い岩盤を掘り進めることになっていましたが、大規模な陥没が起きました。
九州大学大学院の元助教で地質学者の下山正一さんは、活断層について調べるため、以前、福岡市内で行われた、陥没現場を含むおよそ3000か所のボーリング調査のデータを基に、地下の状況を推定しました。その結果、掘り進めていた岩盤のうち軟らかい地層と接する地層は、およそ40万年前の地殻変動で隆起したあと、一定の期間、空気に触れて風化したことでもろくなっている部分があると指摘しています。
現場の工事をめぐっては、ことし8月、トンネル上部の深さを当初よりおよそ90センチ下げ、軟らかい地層との間におよそ2メートルの間隔を空ける設計変更も行われていました。
下山さんは「トンネルを掘ったことで、風化した部分や付近の岩盤が上にある土砂の重みに耐えられず、崩れた可能性がある」と指摘しています。