先の日ロ
首脳会談で、
安倍総理大臣が
ロシアの
プーチン大統領に
手渡した
北方領土の
元島民らが
書いた
手紙の
内容が
明らかになりました。
手紙には
元島民の
高齢化が
進み、その
多くが
他界する
中、「
生きているうちに
故郷に
帰りたい。
自由に
島に
行きたい」などと
訴えていて、
政府関係者によると、
今回の
会談で
両首脳が
元島民の
自由な
往来を
可能にするための
案を
検討することで
一致したことに、
大きな
役割を
果たしたとしています。
NHKは
元島民らがプーチン
大統領に
宛てて
書いた
手紙のコピーを
入手しました。
手紙は
A4版で
3枚におよび、まず
日本語で
書かれ、それを
元島民らが
信頼する
通訳によって
ロシア語に
翻訳したということで、
元島民とその
家族合わせて
7人の
署名がされています。
手紙には、「元島民の3分の2が他界し、生存者の平均年齢は81歳を超えている」と高齢化が進む現状を記したうえで、「生存者の願いは『生きているうちに故郷に戻りたい。島で朝を迎えたい。何時でも墓参りをしたい。自由に島に行きたい』です。元島民に残された時間は僅かです。私たちは生きている間に朗報が聞かれることを待ち望んでいます」と訴えています。
また、手紙には交流事業などを通じて、北方領土に居住するロシア人と元島民の間に信頼と友情関係が育まれているにもかかわらず、自由に行き交うことができないと指摘したうえで、「私たちの故郷であり、そしてロシア人の島民の故郷でもある4つの島で合流する日露両国新時代を象徴する希望の道を築いて下さい」と求めています。
手紙は今月15日の首脳会談の際に、安倍総理大臣からプーチン大統領に手渡され、政府関係者によりますと、プーチン大統領は手紙を熟読し、両首脳が元島民の自由な往来を可能にするための案を検討することで一致したことに大きな役割を果たしたとしています。
この手紙に署名した一人で、歯舞群島志発島の元島民、児玉泰子さん(72歳)は「手紙を読んでもらえるか不安だったが、安倍総理大臣も私たちの気持ちをわかってくれたし、プーチン大統領も島民の心をくんでくれたのではないか。私たちの心が伝わったのだろうと思う」と話しています。