体のさまざまな
組織になるヒトのES
細胞から、
大きさが
1センチほどの「
腸」を
作り出すことに、
国立成育医療研究センターのグループが成功しました。
タンパク質や
水分を
吸収するなどヒトの
腸とほぼ
同じ
機能をもち、
便秘薬や
下痢止めにも
反応するということで、グループでは
腸の
難病の
治療法の
開発などに
役立つとしています。
研究を
行ったのは、
国立成育医療研究センターの
阿久津英憲部長らのグループです。グループによりますと、ヒトのES
細胞に
3種類の
特殊な
タンパク質を
加え、
1か月から
2か月程度培養したところ、
大きさが
1センチほどの
小型の
腸ができたということです。
内部には、ヒトの小腸と同じように栄養を吸収する「柔毛」と呼ばれる突起があり、収縮運動をしてタンパク質や水分を取り込む様子が確認できました。また、医療現場で使われている液体の便秘薬をかけると、ヒトの腸が便を排出する際行うのと同じ収縮運動を始め、反対に下痢止めをかけると、収縮運動をしなくなるなどの反応も確認できたということです。
グループによりますと、ヒトの腸とほぼ同等の機能をもつ小型の「腸」ができたのは初めてだということで、「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」など完治が難しい腸の難病の治療法の開発などに役立つとしています。
阿久津部長は「腸の難病の発症のメカニズムの解明や薬の開発につながる成果で、今後も研究を続けていきたい」と話しています。