おたふくかぜで難聴なんちょうになることも 患者かんじゃの実態じったい調査ちょうさへ

おたふくかぜは、１いち０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんに１いち人にんほどの割合わりあいで難聴なんちょうになるとする報告ほうこくもありますが、日本にっぽん耳鼻じび咽喉いんこう科か学会がっかいによりますと、発生はっせいの詳くわしい実態じったいはわかっていないということです。

このため学会がっかいは、２に９きゅう日にちに都内とないで開ひらいた会議かいぎで、過去かこ２に年ねんほどの間まにおたふくかぜの影響えいきょうで難聴なんちょうになったと見みられる患者かんじゃについて大だい規模きぼな調査ちょうさを行おこなうことを決きめました。

来月らいげつから、耳鼻じび科かのある全国ぜんこくすべてのおよそ８はち０ぜろ０ぜろ０ぜろの医療いりょう機関きかんに調査ちょうさ票ひょうを送おくって、患者かんじゃの年齢ねんれいや性別せいべつのほか、難聴なんちょうの程度ていど、聞きこえないのは片耳かたみみか両りょう耳みみか、どのような処置しょちをしたかなどを尋たずね、難聴なんちょうになった人数にんずうや症状しょうじょうの重おもさなど実態じったいを具体ぐたい的てきに把握はあくしたいとしています。

学会がっかいでは調査ちょうさ結果けっかを踏ふまえ、おたふくかぜの影響えいきょうで難聴なんちょうになる危険きけん性せいを広ひろく知しってもらうとともに、ワクチン接種せっしゅが現在げんざいの任意にんいのままでいいのか、厚生こうせい労働ろうどう省しょうに検討けんとうを求もとめたいとしています。

日本にっぽん耳鼻じび咽喉いんこう科か学会がっかいの守本もりもと倫子ともこ乳幼児にゅうようじ委員いいん長ちょうは「おたふくかぜで難聴なんちょうになることが社会しゃかいの中なかで十分じゅうぶんに認識にんしきされていない。一度いちど難聴なんちょうになると回復かいふくは非常ひじょうに難むずかしいので、調査ちょうさを通をつうじて予防よぼう接種せっしゅの重要じゅうよう性せいを訴うったえていきたい」と話はなしています。

重おもい難聴なんちょうの小学しょうがく２に年生ねんせいは

都内とないに住すむ小学しょうがく２に年生ねんせいの西尾にしお癒菜さいさんは幼稚園ようちえんの年長ねんちょうのときにおたふくかぜにかかってから、数すう日にち後ごに重おもい難聴なんちょうになりました。

左右さゆう両方りょうほうの耳みみが全まったく聞きこえなくなり、病院びょういんで回復かいふくは見込みこめないと診断しんだんされました。

現在げんざいは、右みぎ耳みみにつけた小型こがたマイクから音声おんせいを電気でんき信号しんごうに変かえて直接ちょくせつ脳のうに送り込おくりこむ人工じんこう内耳ないじと呼よばれる装置そうちを埋め込うめこんで、周まわりの声こえや音おとを認識にんしきしています。

しかし、装置そうちをつけていても通学つうがく路ろで近ちかづく車くるまに気付きづきにくいほか、騒さわがしい場所ばしょでは話はなしが聞き取ききとりづらく、学校がっこうの授業じゅぎょうを補おぎなうため毎週まいしゅう、家庭かてい教師きょうしに来きてもらっています。充電じゅうでんのために装置そうちを外はずした際さいなどは、家族かぞくと筆談ひつだんをしたり、５ご０ぜろ音おと表ひょうを指し示さししめしてコミュニケーションを取とったりするということです。

癒菜さいさんは「学校がっこうでは先生せんせいの声こえが小ちいさく聞きこえる。そんなときは友達ともだちに聞きいている」と話はなしていました。

母親ははおやの西尾にしお真理まりさんは「おたふくかぜで難聴なんちょうになることを知しらず予防よぼう接種せっしゅを打うっていなかったことを後悔こうかいし続つづけています。私わたしの認識にんしきが甘うまかったのですが、娘むすめのように音おとを失うしなう子こどもがいなくなるよう、おたふくかぜの予防よぼう策さくが進すすんでほしいです」と話はなしていました。

１いち０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんに１いち人にんほどが難聴なんちょうに？

おたふくかぜはムンプスウイルスが原因げんいんの感染かんせん症しょうで、主おもにせきなどによる飛ひまつで感染かんせんし、発熱はつねつや耳みみの下したの腫はれなどを引き起ひきおこします。

患者かんじゃの多おおくは子こどもで、通常つうじょう１いち～２に週間しゅうかんで症状しょうじょうは改善かいぜんしますが、１いち０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんに１いち人にんほどの割合わりあいで難聴なんちょうになるとする報告ほうこくがあります。

ムンプスウイルスが、耳みみの奥おくにある内耳ないじと呼よばれる部分ぶぶんにダメージを与あたえ、その結果けっか、鼓膜こまくで聞きいた音おとが電気でんき信号しんごうに変換へんかんされなくなり、脳のうが音おとを認識にんしきできなくなるのです。

日本にっぽん医師いし会かいなどが平成へいせい２に３さん年ねんまでの３さん年間ねんかんに全国ぜんこく１いち万まん９きゅう０ぜろ０ぜろ０ぜろの病院びょういんを対象たいしょうに行いった調査ちょうさでは、全体ぜんたいの２に割わり弱じゃくの病院びょういんからの回答かいとうで、１いち１いち７なな人にんが音おとが聞きこえにくくなったと訴うったえて入院にゅういんし、このうち６ろく１いち人にんに難聴なんちょうの後遺症こういしょうが残のこりました。

日本にっぽん耳鼻じび咽喉いんこう科か学会がっかいの守本もりもと倫子ともこ乳幼児にゅうようじ委員いいん長ちょうによりますと、子こどもが難聴なんちょうになると、補聴器ほちょうきをつけたり両りょう耳みみに症状しょうじょうがある場合ばあいは人工じんこう内耳ないじを埋め込うめこんだりする手術しゅじゅつがあるということです。

しかし、元もとの状態じょうたいに戻もどるわけではなく、耳みみで新あたらしい言葉ことばを聞きいて覚おぼえることが難むずかしくなり学校がっこうでの学習がくしゅうについていけなくなったり、友人ゆうじんとコミュニケーションをしづらくなり、疎外そがい感かんやストレスを感かんじたりする問題もんだいも残のこるということです。

４よん～５ご年ねんの周期しゅうきで大だい流行りゅうこう

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、おたふくかぜは４よん年ねんから５ご年ねんの周期しゅうきで大おおきな流行りゅうこうを繰り返くりかえす傾向けいこうにあります。

流行りゅうこうの中心ちゅうしんは、子こどもで特とくに６ろく歳さい未満みまんが多おおくを占しめます。

ワクチンが定期ていき接種せっしゅから任意にんい接種せっしゅに変かわった平成へいせい５ご年ねん以降いこう、全国ぜんこく３さん０ぜろ０ぜろ０ぜろの小児しょうに科かの医療いりょう機関きかんから報告ほうこくされた患者かんじゃ数すうが最もっとも多おおかったのは、平成へいせい１いち３さん年ねんの２に５ご万まん人にん余あまりで、去年きょねんは１いち５ご万まん９きゅう０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんほどとなっています。