これに対して、トランプ政権側は、高等裁判所にあたるカリフォルニア州にある連邦控訴裁判所に不服を申し立てるとともに、直ちに決定の効力を停止するよう求める緊急の申し立てを行いましたが、裁判所は緊急の申し立てについては退けていました。
一方で、不服申し立てについて審理するためにワシントン州側と政権側の双方に意見書の提出を求めていましたが、トランプ政権側は、日本時間の7日午前8時までに仮処分を不服として意見書を提出する予定です。
トランプ大統領は、これに先立って6日、ツイッターに「国民は徹底した国境警備や入国審査を求めている」と投稿し、大統領令の必要性を強調しました。
これに対して、ワシントン州などは、すでに「仮処分が取り消されれば被害が広がることになる。裁判所は憲法違反を許すべきではない」とする意見書を提出しています。
また、ケリー前国務長官やパネッタ元国防長官らオバマ政権などで外交や安全保障政策を担当した元高官ら10人は「イスラム教徒を敵視しているとして、各地の過激派組織を勢いづかせるだけで、むしろアメリカの安全を脅かす」などとして、大統領令を厳しく批判する文書を連邦控訴裁判所に提出しました。
アメリカのメディアは、裁判所が日本時間の7日にも仮処分について改めて判断を示す可能性があると伝えていて、判断が注目されています。
「テロが根付くことを許さない」
アメリカのトランプ大統領は、7か国の人の入国を一時的に禁止する大統領令に批判の声があがっていることを念頭に、「われわれはこの国にテロが根付くことを許さない」と述べ、テロ対策のためだとして入国禁止措置の正当性を訴えました。
トランプ大統領は、6日、南部フロリダ州にある空軍基地で、兵士らを前に演説しました。
この中で、トランプ大統領は、中東やアフリカの7か国の人の入国を一時的に禁止することなどを命じた大統領令に関連して「われわれはこの国にテロが根付くことを許さない」と述べるとともに、「わが国を破壊しようとしている人たちではなく、われわれやわが国を愛したいと思う人たちこそ入国が認められるよう、強力なプログラムが必要だ」と述べ、入国禁止の措置の正当性を訴えました。
また、就任前、関与に消極的な姿勢を示し、「時代遅れの組織だ」などと批判していたNATO=北大西洋条約機構について「われわれは強力に支援する」と述べました。
一方で、「すべてのNATOのメンバーが十分な財政的貢献を行うよう求める。多くのメンバーがしてこなかったが、やらなければならない」と述べ、加盟国に対し、公平な費用負担を求める方針を改めて強調しました。
そして、「われわれはアメリカ軍に歴史的な投資を行い、全世界にアメリカが自由を守るため立ち上がることを示すが、それは同盟国が公平な負担を行わなければならないことも意味する。これまでは不公平だった」と指摘しました。