これまでの捜査で青葉容疑者は、事件3日前の今月15日に京都に入り、その後、京都アニメーションの本社などがある宇治市周辺を連日、移動していたことが複数の防犯カメラの映像などからわかっています。
その後の調べで、宇治市内では京都アニメーションの人気作品、「響け!ユーフォニアム」にゆかりの場所を巡っていた可能性があることがわかりました。
作品は吹奏楽部の高校生たちの青春を描いたアニメで、宇治市内に実在する場所が数多く登場し、一部のファンの間ではこうした場所を巡ることを「聖地巡礼」と呼んで人気を集めています。
青葉容疑者の自宅の捜索では京都アニメーションの関連商品も押収されていて、警察は、事件前の足取りが動機の解明につながるか、調べを進めています。
作品の舞台を訪れる「聖地巡礼」
アニメなどのファンが作品の舞台となった場所を実際に訪れることは、「聖地巡礼」と呼ばれ、人気を集めています。
京都アニメーションが手がけたテレビアニメ、「らき☆すた」が平成19年に放送された際、舞台となった埼玉県久喜市の鷲宮神社を多くのファンが訪れたことが「聖地巡礼」ブームの先駆けの1つとされています。
そして、3年前、平成28年の「新語・流行語大賞」では、「聖地巡礼」がノミネートされるなど、社会現象にもなりました。
京都アニメーションの本社がある宇治市は、この会社が手がけたアニメ、「響け!ユーフォニアム」の舞台となっていて、市内にはこの作品の「聖地」とされる場所が数多くあります。
JRの宇治駅をはじめ、大吉山の登山口と登山道や、宇治神社などの神社、コンビニエンスストアや予備校、それに市内の橋や交差点などが「聖地」とされていて、多くのファンが訪れています。
29日も多くの人が献花に
30度を超える暑さの中、29日も大勢の人たちが「京都アニメーション」のスタジオ近くの献花台を訪れ、花を手向けたり静かに手を合わせたりしていました。
献花台には東京で集められたという7枚の色紙がきのうの夜から置かれていて、日本語のほか、英語や韓国語などで外国人のファンからとみられる応援のメッセージが書き込まれていました。
愛知県から訪れたという16歳の男性は、「京都アニメーションの作品に『思いを伝えることの大切さ』を教えてもらい、支えられてきました。いつかまた、京アニの作品を見ることができたらいいなと思います」と涙を浮かべながら話していました。
また、献花台から100メートルほど離れた現場の建物の前にも多くの人が訪れ、亡くなった人たちを悼んでいました。
娘が京都アニメーションのファンだという埼玉県から訪れた79歳の女性は、「『やすらかにお眠りください』とお祈りしました。犯人は同じ人間のはずなのにどうして人が亡くなることがつらいことだと考えられなかったんだろう」と話していました。