韓国かんこくの最高さいこう裁判所さいばんしょは2年ねん前まえのおととし10月つき30日にち、韓国かんこく人じん4人にんが「太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうに徴用ちょうよう工こうとして日本にっぽんで強制きょうせい的てきに働はたらかされた」と主張しゅちょうし日本にっぽん製鉄せいてつに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた裁判さいばんで、1人にん当あたり1億おくウォン（900万まん円えん余あまり）の支払しはらいを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしました。

これについて日本にっぽん政府せいふは、「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいは1965年ねんの日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていで解決かいけつ済ずみだとして国際こくさい法ほう違反いはんの状態じょうたいを是正ぜせいするよう求もとめていますが、ムン・ジェイン政権せいけんは司法しほう判断はんだんを尊重そんちょうする姿勢しせいを崩くずしていません。

こうした中なか、ムン大統領だいとうりょうは先月せんげつ、菅かん総理そうり大臣だいじんとの電話でんわ会談かいだんで「両国りょうこく政府せいふとすべての当事者とうじしゃが受け入うけいれられる最適さいてきな解決かいけつ策さくを共ともに探さがしていく」と強調きょうちょうしました。

また、今月こんげつには、与党よとうのイ・ナギョン代表だいひょうが「両国りょうこくの真摯しんし（しんし）な意思いしさえあれば、来年らいねん夏なつのオリンピックまで待またずとも解決かいけつできる」と述のべるなど、韓国かんこくでは、菅かん政権せいけんの発足ほっそくを機きに局面きょくめんの打開だかいを期待きたいする声こえが出でています。

大統領だいとうりょう府ふは日にち中ちゅう韓かん3か国かこくの首脳しゅのう会議かいぎを年末ねんまつまでに韓国かんこくで開催かいさいするため努力どりょくするとしていて、来月らいげつ中旬ちゅうじゅんに予定よていされる韓かん日にち議員ぎいん連盟れんめいの幹部かんぶの日本にっぽん訪問ほうもんなどを通をつうじて菅かん政権せいけんの出方でかたを見極みきわめたい考かんがえとみられます。

原告げんこく側がわが韓国かんこく国内こくないにある日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんを「現金げんきん化か」する手続てつづきを進すすめる中なか、ムン政権せいけんとして日本にっぽん側がわが受け入うけいれ可能かのうな解決かいけつ策さくを示しめすのかが今後こんごの焦点しょうてんです。

「現金げんきん化か」手続てつづき 現状げんじょうは

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる韓国かんこくの裁判さいばんで、原告げんこく側がわは、被告ひこくの日本にっぽん製鉄せいてつの韓国かんこく国内こくないにある資産しさんを差し押さしおさえ、「現金げんきん化か」する手続てつづきを進すすめています。

原告げんこく側がわによりますと、差し押さしおさえた資産しさんは日本にっぽん製鉄せいてつと韓国かんこくの鉄鋼てっこう大手おおての合弁ごうべん会社かいしゃの株式かぶしきです。

韓国かんこくの裁判所さいばんしょはことし6月つき、書類しょるいをホームページに公開こうかいする「公示こうじ送達そうたつ」の手続てつづきを取とり、2か月かげつ後ごの8月つき、差し押さしおさえを命めいじた決定けってい書しょなどが日本にっぽん製鉄せいてつ側がわに届とどいたとみなしました。

さらに今月こんげつにも「公示こうじ送達そうたつ」の手続てつづきを取とり、ことし12月つき9日にちの午前ごぜん0時じになると、資産しさんの売却ばいきゃくについて日本にっぽん製鉄せいてつに意見いけんを求もとめる審問しんもん書しょなどが日本にっぽん製鉄せいてつ側がわに届とどいたとみなされ、「現金げんきん化か」の手続てつづきが進すすむことになります。

ただ、韓国かんこくメディアは、ことし12月つき以降いこうも必要ひつような手続てつづきがあるため、原告げんこく側がわによる「現金げんきん化か」には時間じかんがかかるという見方みかたを伝つたえています。

一方いっぽう、日本にっぽん製鉄せいてつはことし8月つき、原告げんこく側がわが資産しさんを差し押さしおさえたことについて韓国かんこくの裁判所さいばんしょに「即時そくじ抗告こうこく」を行おこない、手続てつづきの差し止さしとめを求もとめています。

「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんで、韓国かんこくの最高さいこう裁判所さいばんしょはおととし11月つき、三菱みつびし重じゅう工業こうぎょうにも賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしています。

この裁判さいばんの原告げんこく側がわも三菱みつびし重じゅう工業こうぎょうの韓国かんこく国内こくないの資産しさんを差し押さしおさえ、「現金げんきん化か」する手続てつづきを進すすめていて、来月らいげつ10日にちには「公示こうじ送達そうたつ」によって審問しんもん書しょなどが三菱みつびし重じゅう工業こうぎょうに届とどいたとみなされます。

韓国かんこく有識ゆうしき者しゃ「現金げんきん化かを保留ほりゅうさせる案あんの模索もさくが現実げんじつ的てき」

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいについて、日にち韓かん関係かんけいが専門せんもんの韓国かんこくのクンミン（国民こくみん）大学だいがくのイ・ウォンドク（李り元もと徳とく）教授きょうじゅは「この問題もんだいが両国りょうこくを根本こんぽん的てきな対立たいりつに導みちびく外交がいこう懸案けんあんだという認識にんしきが韓国かんこく政府せいふに不足ふそくしている」と指摘してきしました。

そのうえで「日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんの『現金げんきん化か』は、日にち韓かん関係かんけいが一線いっせんを越こえることを意味いみする。これを保留ほりゅうさせる案あんを模索もさくするのが現実げんじつ的てきだ」と述のべ、ムン・ジェイン大統領だいとうりょうがリーダーシップを発揮はっきすべきだと訴うったえました。

また、ムン大統領だいとうりょうが決断けつだんするには、韓国かんこく国内こくないの世論せろんが受け入うけいれやすい雰囲気ふんいきが必要ひつようだとして、対たい日にち世論せろんの悪化あっかにつながった日本にっぽん政府せいふによる輸出ゆしゅつ管理かんりの厳格げんかく化か措置そちは撤回てっかいされるべきだとの考かんがえを示しめしました。

そして、ムン大統領だいとうりょうの任期にんきは来年らいねん5月つきで残のこり1年ねんとなり、今後こんご、いわゆるレームダック化かが進すすみ、求心力きゅうしんりょくが低下ていかする可能かのう性せいがあるとして「今いまこそが両国りょうこく関係かんけいを好転こうてんさせる機会きかいだ」と述のべ、韓国かんこく政府せいふが年内ねんないの開催かいさいを目指めざしている日にち中ちゅう韓かん3か国かこくの首脳しゅのう会議かいぎに合あわせた日にち韓かん首脳しゅのう会談かいだんに期待きたいを示しめしました。