また、監視を逃れてグアテマラから川をわたってメキシコに渡る人が今も相次いでいて、NHKの取材班は26日、メキシコに入ったばかりとみられるおよそ300人ほどの集団と遭遇しました。
このうち、3人の幼い娘を連れた父親は「ホンジュラスでは子どもを養うだけの給料を手にできない。アメリカで暮らしたい」と話していました。
地元メディアによりますと、グアテマラ側でも数百人規模の集団が次々とメキシコ国境に向かっているということで、アメリカへの移住を目指す人たちはあとを絶ちません。
こうした中、アメリカのトランプ大統領はメキシコ政府に集団を阻止するよう要請していて、メキシコ政府は26日、正式な手続きを取れば一時的な就労許可や子どもへの教育の機会を提供すると発表しました。
一方で、従わない場合は強制送還する可能性も示唆しています。
さらに、メキシコ政府は、グアテマラとの国境を隔てる川の周辺に軍の兵士らを配置し監視を強化していて、対応に追われています。
貧困や治安の悪化から逃れるため、今月13日にアメリカを目指し中米のホンジュラスを出発した人たちの集団は徐々に膨れ上がり、現在、およそ6000人がメキシコ南部を北上しています。
また、監視を逃れてグアテマラから川をわたってメキシコに渡る人が今も相次いでいて、NHKの取材班は26日、メキシコに入ったばかりとみられるおよそ300人ほどの集団と遭遇しました。
このうち、3人の幼い娘を連れた父親は「ホンジュラスでは子どもを養うだけの給料を手にできない。アメリカで暮らしたい」と話していました。
地元メディアによりますと、グアテマラ側でも数百人規模の集団が次々とメキシコ国境に向かっているということで、アメリカへの移住を目指す人たちはあとを絶ちません。
こうした中、アメリカのトランプ大統領はメキシコ政府に集団を阻止するよう要請していて、メキシコ政府は26日、正式な手続きを取れば一時的な就労許可や子どもへの教育の機会を提供すると発表しました。
一方で、従わない場合は強制送還する可能性も示唆しています。
さらに、メキシコ政府は、グアテマラとの国境を隔てる川の周辺に軍の兵士らを配置し監視を強化していて、対応に追われています。
ホンジュラスと「MS-13」
アメリカを目指し北に向かう人たちの多くはホンジュラス人です。
背景には、母国、ホンジュラスの貧困と極度の治安の悪化があります。
中米にある人口910万人余りの国、ホンジュラス。
世界銀行によりますと、2016年の時点で国民の60%以上が貧困状態にあるほか、地方では、5人に1人が一日1ドル90セント(日本円でおよそ220円)未満で生活する、極度の貧困状態にあります。
また治安が極端に悪く、日本の外務省によりますと、人口当たりの殺人事件の発生率が世界で最も高い国の1つで、地元の研究機関の統計では1日当たり平均11人が殺害されています。
こうした凶悪犯罪の元凶となっているのが「MS-13」と呼ばれるギャング集団です。
アメリカ司法省が去年、発表した資料によりますと、MS-13は、ホンジュラスやエルサルバドルなどアメリカ大陸各地におよそ3万人の構成員がいるとされ、アメリカ国内でも犯罪を繰り返し、問題となっています。
トランプ大統領はたびたびこのMS-13に言及し、メキシコから流入する移民を阻止しなければギャング集団によってアメリカの治安は悪化すると主張しています。
これに対して、アメリカメディアなどは、みずからの移民政策を正当化するための政治利用だと批判し、論争にもなっています。
UNHCRは人道的な対応を求める
ホンジュラスなどからアメリカを目指して移動している人たちについて、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグランディ難民高等弁務官は、26日、都内で記者会見し、「女性や若い人たちの間には深刻な暴力から逃れようとしている人が含まれている可能性があり、そうであれば彼らは難民だ」として、関係各国に人道的な対応を求めました。
そのうえで、「難民申請を受けた国は、彼らを難民と認めたときには保護する義務があるし、認められない場合は人道的な方法で出身国に帰さなければならない」と述べました。
一方、「このような危機に対する最善の行動は、軍事行動や壁を立てることではない」と指摘し、アメリカのトランプ大統領の対応に懸念を示しました。