NHKが取材したところ、東京と神奈川の16自治体の32の施設で野球場やサッカー場、それにテニスコートなど合わせて206面が利用できない状態になっています。
自治体別に見ると、
▽東京 大田区が最も多く、野球場やテニスコートなど合わせて79面、
▽次いで、川崎市が野球場や陸上競技場など合わせて41面、
▽東京 昭島市がソフトボール場やテニスコートなど合わせて19面、
▽世田谷区が野球場やサッカー場など合わせて15面などとなっています。
一部の自治体では、堆積している土砂やゴミを取り除いたり、施設を修復したりする工事が始まっていますが、被害の範囲が広いため、復旧は早くても来年春以降となる見込みです。
さらに今後も、多摩川の増水で繰り返し被害を受けるおそれがあるため、財政的なコストを踏まえて施設の縮小を検討している自治体もあり、河川敷を活用したスポーツ施設の運営が課題となっています。
東京 世田谷区 二子玉川緑地運動場
このうち、東京 世田谷区の二子玉川緑地運動場は、野球場やサッカー場など合わせて15面を備え、年間の利用者はおよそ15万人に上りますが、今も使えない状態です。
このうち野球場は、70センチほど土砂で覆われているところがあるほか、周囲を囲むネットの支柱も横倒しになって流木がからまったままになっています。
現場では土砂を取り除いたり、測量したりする作業が行われていますが、再び川が増水するおそれがある来年の梅雨までに作業を終えられる被害の軽いグラウンドを優先しています。
被害が大きいか所については、増水で被害を受けないのか、復旧方法や設備について今後、検討が必要だとしています。
世田谷区スポーツ推進課の須藤剛志課長は「これまでも台風や大雨で砂や土が流出する被害はありましたが、これほど泥や流木が堆積する被害はなく、正直、途方に暮れました。復旧したあとに同じような被害を受けないよう対策を検討する必要がある」と話しています。
東京 府中 総合体育館 電気制御室が浸水
東京 府中市では、川岸から300メートル以上離れた総合体育館で、地下の電気制御室が浸水して照明や空調、給水設備などが使えないため休館しています。
市によりますと、台風19号の当時、体育館周辺は冠水していませんでしたが、地下2階の電気制御室の装置が天井からの漏水で壊れました。
多摩川の増水や台風に伴う気圧の低下で、周辺の地下水位が上がり、コンクリートの亀裂などからしみこんだ水が漏れたとみられています。
復旧には1年程度かかる見通しで、東京オリンピックの事前キャンプでオーストリアの卓球チームがこの体育館を利用する予定でしたが、別の体育館で受け入れるということです。
府中市スポーツ振興課の市ノ川恵一課長は「漏水の原因について詳しい調査を行い、防水対策をしっかり取るなど被害の再発防止に取り組みたい」と話しています。
対応に追われるスポーツ団体
河川敷のグラウンドで活動していたスポーツ団体は、予定していた大会を中止するなどの対応に追われています。
このうち世田谷サッカー協会では、中学生からシニアまで124チームが参加して行う今年度のリーグ戦を、3割余りの試合を残して、ことし10月、中止にしました。
また、例年8月から12月にかけて開催している区民大会は会場を変更したほか、期間を来年2月まで2か月延長しました。
世田谷サッカー協会の上村直路事務局長は「来年度のリーグ戦は予定どおり4月から開始したいが、サッカー場の復旧の見通しは立っていないと聞いているので縮小も検討しなければいけない。砂利の除去などに協力して早期再開を期待したい」と話していました。