大手の精密機器メーカーや建設会社などが出資する東京のベンチャー企業「スペースワン」が和歌山県串本町に整備したロケット発射場では、9日午前11時すぎに独自開発した固体燃料式の小型ロケット「カイロス」の初号機が打ち上げられる予定でした。
しかし、直前になって企業は打ち上げを延期すると発表しました。
延期の詳しい理由については明らかになっておらず、企業は新しい日程は決まり次第、発表するとしています。
このロケットは搭載した政府の小型衛星を軌道に投入することを目標としていて、成功すれば民間単独の衛星投入としては国内で初めてとなるため注目されています。
打ち上げ延期に残念がる声
和歌山県内の駅前や商業施設、それに博物館などではパブリック・ビューイングが行われ、ロケット打ち上げの瞬間を見ようと多くの人が集まっていました。
このうち、和歌山市内の県立博物館の中に設けられた大型スクリーンにはロケット発射場や見学場などの様子がリアルタイムで配信され、40人あまりが打ち上げの瞬間を待っていました。
中学3年の男子生徒は「カウントダウンが始まり、ワクワクしています。和歌山から発射されるということで誇りに感じます」と話していました。
しかし、午前11時すぎ、打ち上げの延期が告げられると、会場からは、ため息や残念がる声が聞かれました。
子ども連れの40代の女性は、「この記念すべき瞬間を子どもにも見せたいと思い、見に来ました。残念ですが、次は串本に行って、子どもたちに見せたいと思います」と話していました。
70代の男性は、「次回、打ち上げを成功させて、和歌山の観光の起爆剤となってほしい」と話していました。
また、ロケットの発射場近くの海水浴場に設けられた見学場でも落胆の声が相次いでいました。