その区間の駅には、最後の運行を一目見ようと多くの鉄道ファンが集まりました。
最終日 鉄道ファン 利用者ぞくぞく
午前10時半過ぎ。
福井県越前市にある北陸本線の武生駅は鉄道ファンや地元の利用者であふれていました。
都心の朝のラッシュ時のようだったといい、普通列車はぎゅうぎゅうの満員となって、男性は乗車できなかったといいます。
東京から訪れた20歳の男性
「1時間に1本の2両編成だったこともあり、都心の電車でもめったに見ないレベルの相当な混雑具合でした」
男性は自称「駅鉄」。
駅に降りたり、駅の写真を撮ったりする鉄道旅行が趣味だそうです。
休暇を取得して前日から現地入りし、15日は朝7時ごろから北陸本線の電車に乗り込み、今まで降りたことのない駅に降りては写真を撮ったといいます。
また、お目当ての一つは、きょうで運行を終える特急の「しらさぎ」でした。
金沢と米原・名古屋を結ぶ「しらさぎ」。
男性は祖母が福井県あわら市に住んでいるため、幼いころから帰省するために、名古屋経由で特急に乗ってきたということです。
東京から訪れた20歳の男性
「めったに会えないおばあちゃんに会えると思って、いつもわくわくしながら乗っていた思い出の列車です。なくなるのは寂しいですが、今度からは新幹線でいけるというので、東京に住んでいる身としては期待もあります。あわら温泉駅も盛り上がっていました。きょうは帰るギリギリまで、北陸本線の駅を回ろうと思います」
#ありがとう北陸本線
別れを惜しむのはネットでも。
X(旧ツイッター)では「#さよなら北陸本線」「#ありがとう北陸本線」というハッシュタグをつけた投稿が相次ぎ、過去の思い出写真を投稿する人も多く見られます。
「友達と卒業旅行で北陸周辺に行きました」
「ちょっと寂しくなってしまいますね」
「特急街道としての姿を目に焼き付けられて幸せでした」
「心の中で北陸本線は走り続ける!」
福井県内で120年以上にわたり運行していた北陸本線は、16日から新幹線の開業に伴って、敦賀駅から石川県加賀市にある大聖寺駅までの区間の運行がJR西日本から第三セクターの「ハピラインふくい」に引き継がれます。
米原・名古屋方面とを結ぶ特急「しらさぎ」と京都・大阪方面とを結ぶ特急「サンダーバード」は、敦賀駅までとなります。
サンダーバード 直通列車 最後の役目
大阪駅と和倉温泉駅間を運行していた特急「サンダーバード」は15日で直通列車の運行が終了します。
大阪行きの最後の列車が午前10時14分に発車するのを前に、和倉温泉駅の改札には七尾市の茶谷義隆市長や地元の関係者などが集まり、セレモニーが行われました。
はじめに、地元の観光協会の関係者から運転士などに花束が贈られ、JR西日本・七尾鉄道部の江下喜久夫部長は「37年間続いた直通運転がなくなるの心苦しいですが、今後も和倉温泉に多くの人を送り届けられるようにしていきたい」とあいさつしました。
そして最後の直通列車「サンダーバード」は地元の駅長の「発車」の掛け声で大阪方面に出発していきました。
最終列車に乗車した石川県中能登町の男性は「思い出にしようと乗りに来ました。寂しさもありますが楽しみたいです」と話していました。
茶谷市長は「かつて大阪に住んでいて、よく利用していたので寂しいです。七尾市は復興に向けて動き出しているので、和倉温泉に足を運んでもらえるような取り組みをしていきたい」と話していました。
一方、JR大阪駅のホームにも和倉温泉行きの最終列車を見届けようと多くの鉄道ファンなどが集まりました。
そして、午前11時前に列車が出発すると、集まった人たちが写真を撮ったり、手を振ったりして見送っていました。
旅行会社がこの列車の乗車券に記念のグッズをつけたツアーを発売したところ、受け付け開始からおよそ10分で完売したということです。
奈良県の33歳の男性は「北陸新幹線の敦賀開業で『サンダーバード』は一つの役目を終えたことになると感じています。列車から見るのが最後になる景色もあるので、楽しみたいと思います」と話していました。
金沢行きの「サンダーバード」の最終列車は15日午後9時前に大阪駅を出発する予定です。