この中なかで植田うえだ総裁そうさいは「賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかんを確認かくにんし、2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうが持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんしていくことが見通みとおせる状況じょうきょうに至いたったと判断はんだんした。これまでのイールドカーブ・コントロール、およびマイナス金利きんり政策せいさくといった、大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ策さくは、その役割やくわりを果はたしたと考かんがえている」と述のべました。

その判断はんだんの理由りゆうについて植田うえだ総裁そうさいは「春闘しゅんとうでの賃金ちんぎんの妥結だけつ状況じょうきょうは重要じゅうような判断はんだんのポイントの1つであるので、実際じっさいその通とおりに判断はんだんの大おおきな材料ざいりょうにした。大だい企業きぎょうの賃金ちんぎんの動向どうこうをみると、中小ちゅうしょう企業きぎょうは少すこし弱よわいということはあっても全体ぜんたいとしてはある程度あるていどの姿すがたになるのではないかということで今回こんかいの判断はんだんに至いたった」と述のべました。

その上うえで、今後こんごの利上りあげについて「金利きんりを引き上ひきあげるペースは経済けいざい物価ぶっかの見通みとおし次第しだいになる。ただし、現在げんざい、手元てもとにある見通みとおしを前提ぜんていにすると、急激きゅうげきな上昇じょうしょうというのは避さけられるとみている」と述のべ、当面とうめんは緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうを続つづける考かんがえを強調きょうちょうしました。

また今回こんかいの決定けっていでこれまでと同おなじ程度ていどとしている長期ちょうき国債こくさいの買い入かいいれ額がくについて「大だい規模きぼな緩和かんわの終了しゅうりょう後ごはバランスシート縮小しゅくしょうを視野しやに入いれていくというつもりでいる。将来しょうらいのどこかの時点じてんで買い入かいいれ額がくを減へらしていくということも考かんがえたいと思おもうが、今いま、具体ぐたい的てきに申し上もうしあげられる段階だんかいではない」と述のべました。

一方いっぽう、マイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょが日本にっぽん経済けいざいに与あたえる影響えいきょうについて貸出かしだし金利きんりや預金よきん金利きんりの設定せっていは各かく金融きんゆう機関きかんの判断はんだんだとした上うえで、「短期たんき金利きんりの上昇じょうしょうは0.1％程度ていどにとどまる。また、これまでと同どう程度ていどの国債こくさい買い入かいいれを継続けいぞくし、長期ちょうき金利きんりが急激きゅうげきに上昇じょうしょうする場合ばあいは機動きどう的てきに買い入かいいれオペの増額ぞうがくなどを実施じっしする方針ほうしんで、預金よきん金利きんりや貸出かしだし金利きんりが大幅おおはばに上昇じょうしょうするとは見みていない」と述のべ、影響えいきょうは限定げんてい的てきだという見解けんかいを示しめしました。

さらに、これまでの大だい規模きぼ緩和かんわについて「異い次元じげんの緩和かんわは、一応いちおう、役割やくわりを果はたしたと考かんがえている。異い次元じげんの緩和かんわは終了しゅうりょうしたが、過去かこに買かった国債こくさいが残高ざんだかとして大量たいりょうにバランスシートに残のこり、同おなじことはETFについても言いえる。過去かこの異い次元じげんの緩和かんわの遺産いさんのようなものは当面とうめんそういう意味いみでは残のこり続つづける」と述のべました。

【詳報しょうほう】

記者きしゃ会見かいけんの質疑しつぎ応答おうとうを詳くわしくお伝おつたえします。

「大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくは、その役割やくわりを果はたした」

植田うえだ総裁そうさいは「賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかんを確認かくにんし、2％の『物価ぶっか安定あんていの目標もくひょう』が持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんしていくことが見通みとおせる状況じょうきょうに至いたったと判断はんだんした。これまでのイールドカーブ・コントロールおよびマイナス金利きんり政策せいさくといった、大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくは、その役割やくわりを果はたしたと考かんがえている」と述のべました。

「当面とうめん、緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうが継続けいぞく」

植田うえだ総裁そうさいは、「短期たんき金利きんりの操作そうさを主しゅたる政策せいさく手段しゅだんとして、経済けいざい・物価ぶっか・金融きんゆう情勢じょうせいに応おうじて適切てきせつに金融きんゆう政策せいさくを運営うんえいする。現時点げんじてんの経済けいざい・物価ぶっか見通みとおしを前提ぜんていにすれば、当面とうめん、緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうが継続けいぞくすると考かんがえている」と述のべました。

「賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかんの強つよまり確認かくにん」

植田うえだ総裁そうさいはマイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょなど大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ策さくの転換てんかんに踏み切ふみきった背景はいけいについて、「ことしの春闘しゅんとうでは昨年さくねんに続つづき、しっかりとした賃上ちんあげが実現じつげんする可能かのう性せいは高たかく、企業きぎょうからのヒアリング情報じょうほうでも幅広はばひろい企業きぎょうで賃上ちんあげの動うごきが続つづいているとうかがわれる。これまでの緩ゆるやかな賃金ちんぎん上昇じょうしょうも受うけてサービス価格かかくの緩ゆるやかな上昇じょうしょうが続つづいている。このように最近さいきんのデータやヒアリング情報じょうほうからは賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかんの強つよまりが確認かくにんされてきており、物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうが持続じぞく的てき、安定あんてい的てきに実現じつげんしていくことが見通みとおせる状況じょうきょうに至いたったと判断はんだんした」と述のべました。

「預金よきん金利きんりや貸出かしだし金利きんりが大幅おおはばに上昇じょうしょうするとは見みていない」

植田うえだ総裁そうさいは、今回こんかいのマイナス金利きんりの解除かいじょでいわゆる「金利きんりのある世界せかい」が戻もどることの日本にっぽん経済けいざいへの影響えいきょうについて、「貸出かしだし金利きんりあるいは預金よきん金利きんりは今回こんかいの政策せいさく変更へんこうを受うけて市場しじょう金利きんりが多少たしょう変化へんかするが、その動向どうこうを踏ふまえて各かく金融きんゆう機関きかんの判断はんだんで設定せっていされると思おもう。もっとも今回こんかいの政策せいさく変更へんこうに伴ともなう短期たんき金利きんりの上昇じょうしょうは0.1％程度ていどにとどまる。また、これまでと同どう程度ていどの国債こくさい買い入かいいれを継続けいぞくし、さらに長期ちょうき金利きんりが急激きゅうげきに上昇じょうしょうする場合ばあいは機動きどう的てきに買い入かいいれオペの増額ぞうがくなどを実施じっしする方針ほうしんだ。このため、今回こんかいの措置そちを受うけて預金よきん金利きんりや貸出かしだし金利きんりが大幅おおはばに上昇じょうしょうするとは見みていない」と述のべ、影響えいきょうは限定げんてい的てきだという見解けんかいを示しめしました。

また先行さきゆきについても「現時点げんじてんの経済けいざい物価ぶっか見通みとおしを前提ぜんていにすると当面とうめん、緩和かんわ的てきな金融きんゆう、経済けいざい環境かんきょうは継続けいぞくすると考かんがえているので、こうした緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうが経済けいざいと物価ぶっかをしっかりと支ささえる方向ほうこうに作用さようするとみている」と述のべました。

「金利きんり水準すいじゅんは市場しじょうが決きめる」

植田うえだ総裁そうさいは、「国債こくさい買い入かいいれは当面とうめんこれまでと同どう程度ていどの額がくで継続けいぞくするが、その上うえで金利きんり水準すいじゅんは市場しじょうが決きめるものというふうに考かんがえている。ただし、金利きんりが急激きゅうげきに上昇じょうしょうする場合ばあいは機動きどう的てきなオペを打うつということはバックストップとして担保たんぽしておきたい」と述のべました。

長期ちょうき国債こくさいの買い入かいいれ「バランスシート縮小しゅくしょうを視野しやに」

植田うえだ総裁そうさいは長期ちょうき国債こくさいの買い入かいいれについて「大だい規模きぼな緩和かんわの終了しゅうりょう後ごはバランスシート縮小しゅくしょうを視野しやに入いれていくというつもりでいる。将来しょうらいのどこかの時点じてんで買い入かいいれ額がくを減へらしていくということも考かんがえたいと思おもうが、今いま、具体ぐたい的てきに申し上もうしあげられる段階だんかいではない」と述のべました。

利上りあげのペース「急激きゅうげきな上昇じょうしょうは避さけられる」

植田うえだ総裁そうさいは今後こんごの利上りあげのペースについて「金利きんりを引き上ひきあげるペースは経済けいざい物価ぶっかの見通みとおし次第しだいになる。ただし、現在げんざい、手元てもとにある見通みとおしを前提ぜんていにすると、急激きゅうげきな上昇じょうしょうというのは避さけられるとみている」と述のべました。

春闘しゅんとうの結果けっか「判断はんだんの大おおきな材料ざいりょう」

植田うえだ総裁そうさいは、大幅おおはばな賃上ちんあげが相次あいついだ今回こんかいの春闘しゅんとうの結果けっかについて、「予告よこくしてきたように春闘しゅんとうでの賃金ちんぎんの妥結だけつ状況じょうきょうは重要じゅうような判断はんだんのポイントの1つであるので、実際じっさいその通とおりに判断はんだんの大おおきな材料ざいりょうにさせていただいた」と述のべました。

利上りあげの判断はんだん「物価ぶっか見通みとおし上じょう振ふれ 上うえ振ふれリスクが高たかまれば」

植田うえだ総裁そうさいは今後こんごの利上りあげの判断はんだんについて「おおまかには物価ぶっか見通みとおしがはっきり上うえ振ふれるとか、中心ちゅうしん見通みとおしがそれほど動うごかないまでも上うえ振ふれリスクが高たかまることがあれば、政策せいさく変更へんこうの理由りゆうになると思おもう」と述のべました。

緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょう「物価ぶっか上昇じょうしょう率りつ2％下回したまわっている間まは続つづく」

植田うえだ総裁そうさいは物価ぶっか目標もくひょうの達成たっせいまで緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうを続つづけるのか問とわれたのに対にたいして「理屈りくつ上じょうは基調きちょう的てきな物価ぶっか上昇じょうしょう率りつがまだ2％には達たっしていないと考かんがえている。2％を下回したまわっている間まは広ひろい意味いみでは緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうが続つづくということだと思おもうが、基調きちょう的てきな物価ぶっかが上昇じょうしょうしていけばだんだん緩和かんわの程度ていどは縮小しゅくしょうしていくということだと思おもう」と述のべました。

中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃上ちんあげ「ヒアリング先さきの半分はんぶん以上いじょう 賃上ちんあげ計画けいかく」

植田うえだ総裁そうさいは中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃上ちんあげの広ひろがりをどのように判断はんだんしたのかについて「今回こんかいは、短観たんかんで調査ちょうさしている中堅ちゅうけん・中小ちゅうしょう企業きぎょうよりも、さらに小ちいさい事業じぎょう者しゃも含ふくめてヒアリングを実施じっしした。その結果けっか、ヒアリング先さきの半分はんぶん以上いじょうの所ところから賃上ちんあげの計画けいかくがあるという回答かいとうを得えたということも1つの情報じょうほうになった」と述のべました。

そのうえで「特とくに小しょう規模きぼの企業きぎょうはなかなか賃金ちんぎんを上あげるのは大変たいへんなところも多おおいことは認識にんしきしているが、小規模しょうきぼ企業きぎょうは、全体ぜんたいあるいは大だい企業きぎょうがどういう賃金ちんぎん設定せっていをしていくかということを見みつつ自分じぶんたちの賃金ちんぎん設定せっていも決きめていくという傾向けいこうがある。その点てんも加味かみして今後こんごの中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃金ちんぎんの動向どうこうを予想よそうした」と述のべました。

円えん安やす「物価ぶっか見通みとおしに大おおきな影響えいきょうなら対応たいおう」

植田うえだ総裁そうさいは、日銀にちぎんが大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ策さくを転換てんかんしたのにも関かかわらず、外国がいこく為替かわせ市場しじょうで円えん安やすが進すすんでいることついて「為替かわせの短期たんき的てきな動うごきについてはコメントを差し控さしひかえたいと思おもいます。ただし、それが私わたしどもの経済けいざい・物価ぶっか見通みとおしに大おおきな影響えいきょうを及およぼすということになれば当然とうぜん、金融きんゆう政策せいさくとしての対応たいおうを考かんがえていくことになる」と述のべました。

中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃上ちんあげ動向どうこう「全体ぜんたいとしてはある程度あるていどの姿すがたに」

植田うえだ総裁そうさいは中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃上ちんあげ動向どうこうについて「ある程度あるていどの情報じょうほうは収集しゅうしゅうし、これまでの中小ちゅうしょう企業きぎょうの行動こうどうパターンを見みて今後こんご、こうなりそうかという予想よそうもしているが、絶対ぜったい、ある程度あるていど以上いじょう上あがるという自信じしんや根拠こんきょがあってということでは必かならずしもない。ただし、ここまでの大だい企業きぎょうの賃金ちんぎんの動向どうこうをみると、中小ちゅうしょう企業きぎょうは少すこし弱よわいということあっても全体ぜんたいとしてはある程度あるていどの姿すがたになるのではないかということで今回こんかいの判断はんだんに至いたった」と述のべました。

「『異い次元じげん』の緩和かんわは一応いちおう役割やくわりを果はたした」

植田うえだ総裁そうさいはこれまでの金融きんゆう政策せいさくについて「『異い次元じげん』の緩和かんわは、一応いちおう役割やくわりを果はたしたと考かんがえている。どういう役割やくわりを果はたしたかについては、現在げんざい、レビューを実施じっし中ちゅうであり、わりと近ちかい将来しょうらいにその結果けっかを発表はっぴょうできることになるかと思おもう」と述のべました。

そのうえで「『異い次元じげん』の緩和かんわは終了しゅうりょうだが、過去かこに買かった国債こくさいが残高ざんだかとして大量たいりょうに、バランスシートに残のこり、同おなじ事ことはETFについても言いえる。過去かこの異い次元じげんの緩和かんわの遺産いさんのようなものは当面とうめんそういう意味いみでは残のこり続つづける」と述のべました。

新あらたな短期たんき金利きんりの調整ちょうせい方針ほうしん「『ゼロ金利きんり政策せいさく』でない」

植田うえだ総裁そうさいは、マイナス金利きんり解除かいじょ後ごの新あらたな短期たんき金利きんりの調整ちょうせい方針ほうしんの呼よび方かたを問とわれたのに対にたいして、「特とくにそれを『ゼロ金利きんり政策せいさく』と呼よぼうとは考かんがえていない」と述のべました。

「世界せかい経済けいざいあらゆるリスク 国内こくない消費しょうひ回復かいふくしないリスク」

植田うえだ総裁そうさいは今後こんごの経済けいざいのリスクについて、「下した振ふれリスクとしては世界せかい経済けいざいでありとあらゆるリスクがあり、世界せかいの金融きんゆう資本しほん市場しじょうにマイナスのショックが起おこるということはある。国内こくないでは消費しょうひが思おもったような回復かいふくをしてこないというのが下した振ふれリスクとしてある。また、上うえ振ふれリスクとしては、企業きぎょうの賃金ちんぎんと価格かかくの設定せってい行動こうどうがインフレ期待きたいの上昇じょうしょうを伴ともないつつ上向うわむきになっているが、これがどこかで大おおきく上うえに振ふれてしまうリスクが、今いまのところ大おおきくはないが頭あたまの中なかに置おいておかないといけない」と述のべました。

ETF処分しょぶん「確かくたることは申し上もうしあげられない」

植田うえだ総裁そうさいはETF＝上場じょうじょう投資とうし信託しんたくの売却ばいきゃくを含ふくめた処分しょぶんについて「どうすべきかは常つねに考かんがえていると申し上もうしあげて良よいと思おもう。具体ぐたい的てきに、いつからどういうふうに処分しょぶんを始はじめるかという点てんは、現在げんざい、確かくたることは申し上もうしあげられない」と述のべました。

利上りあげ幅はば「適切てきせつな政策せいさく金利きんり水準すいじゅんを設定せっていしていきたい」

植田うえだ総裁そうさいは0.1％の利上りあげ幅はばが小幅こはばではないかと問とわれたのに対にたいして「マイナス金利きんりも2016年ねん以降いこう続つづいていたし、低てい金利きんりも長ながい時代じだい続つづいた中なかでの最初さいしょの利上りあげ方向ほうこうの動うごきだったことを意識いしきした。いずれにせよ今後こんご、経済けいざい物価ぶっか見通みとおしをきちんと作つくって、それに沿そった適切てきせつな政策せいさく金利きんり水準すいじゅんを設定せっていしていきたい」と述のべました。