石川いしかわ県けん七尾ななお市しの老舗しにせの和わろうそくのお店みせ。地震じしんで建物たてものが倒壊とうかいしましたが、今月こんげつ、仮かり店舗てんぽでの営業えいぎょうを再開さいかいしました。

並ならんでいるのは、1本ほん1本ほん、季節きせつの花はなの絵えを描えがいた手書てがきのろうそくです。

本来ほんらいの姿すがたに戻もどるまで、この場所ばしょで販売はんばいを続つづけることにしています。

「春はるらしい柄えの絵えを」

七尾ななお市しの一いち本ほん杉すぎ通どおりには古ふるくからの町並まちなみが残のこります。

通とおりにある130年ねん以上いじょう営業えいぎょうを続つづける「高澤たかざわろうそく店てん」は、建物たてものが国くにの有形ゆうけい文化財ぶんかざいに登録とうろくされていました。

しかし、今回こんかいの能登のと半島はんとう地震じしんで建物たてものの入り口いりくち部分ぶぶんが大おおきく崩くずれて営業えいぎょうできなくなりました。

200メートルほど離はなれた場所ばしょにある空あき店舗てんぽを借かり、3月つき14日にちから仮かり店舗てんぽで営業えいぎょうを再開さいかいしました。

再建さいけんに向むけた一いち歩ほを踏み出ふみだした高澤たかざわろうそく店てんの高澤たかざわ久ひさ社長しゃちょうに話はなしを聞ききました。

「主力しゅりょく商品しょうひんは、こちらに並ならんでいる手書てがきの絵えろうそくです。一いち本ほん一いち本ほん季節きせつの花はな絵えを描えがいたろうそくですけども、今いまはこうやって春はるらしい柄えを並ならべています」

Q.季節きせつによって変かわりますか？

「そうですね。季節きせつ柄がらで変かわっていきますが、今いまは春はるらしい桜さくらの柄えですとか、チューリップとかそういうものが並ならんでいます。あとは、菜の花なのはなろうそくですね。菜の花なのはなろうそくは、菜の花なのはなの種たねから材料ざいりょうにろうを作つくった商品しょうひんで、春はるになると一いち面めんに咲さく春はるらしい菜の花なのはなをイメージして作つくった商品しょうひんです」

Q.どういった特徴とくちょうがあるんですか？

「これは、商品しょうひんに1本ほん1本ほん、季節きせつの花はなの絵えを描えがいた、手書てがきしたろうそくです。これはちょうど春はるらしく、桜さくらの柄えを描えがいていますので、お部屋へやに飾かざっていただいたり、春はるの季節きせつ感かんを感かんじていただけたらなという風かぜに思おもいます。

北陸ほくりくの風習ふうしゅうで、冬ふゆにお仏壇ぶつだんに供そなえる花はなが少すくないときに、花はなの絵えを描えがいて仏壇ぶつだんにお供おそなえしたという風習ふうしゅうがあります。今いまこうやって季節きせつの花はなの柄えを描えがいて、飾かざっていただいて、お部屋へやの中なかで季節きせつ感かんを感かんじていただければという風かぜに思おもいます」

「七尾ななお和かずろうそく」最後さいごの1店舗てんぽとして

店みせは江戸えど時代じだいから盛さかんに作つくられてきた「七尾ななお和かずろうそく」の製造せいぞう・販売はんばいを続つづける最後さいごの1店舗てんぽとなっています。

菜の花なのはなの種たねを材料ざいりょうにした黄色きいろいろうそくや季節きせつの花はなが描えがかれたろうそくを買い求かいもとめようと、なじみ客きゃくなどが訪おとずれているということです。

「和わろうそくを買かえる場所ばしょをということで、早はやくからたくさんのお問い合といあわせをいただいておりました。いままでなじみのお客様おきゃくさまがたくさん来きていただいて、『報道ほうどう等とうで見みたよ』ということで遠とおくからでも足あしを運はこんでいただきました。本当ほんとうにうれしいかぎりです」

一方いっぽう、元もとの建物たてものは地震じしんで倒壊とうかいし、今後こんごに向むけてはまだまだ時間じかんがかかるということです。

「再建さいけんに向むかって動うごきだしているところですけども、まだまだ時間じかんがかかります。1年ねん近ちかくかかる予定よていですので、その間そのかんはこちらの仮かり店舗てんぽなどを利用りようして、お客様おきゃくさまと直接ちょくせつ買かえる場所ばしょにしていきたいなと思おもっております。今いままでの店舗てんぽも登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいにしていただいておりましたので、この後のちもできるだけ登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいにしていただける、そういうものに沿そって直なおしていきたいなという風かぜに思おもっております」

「開あけるところから店みせを開ひらくことで」

最後さいごに、お店みせがある「一本杉いっぽんすぎ通どおり」のこれからへの思おもいを聞ききました。

「そうですね。一本杉いっぽんすぎ通どおりは昔むかしからの商店しょうてん街がいです。お店みせが連つらなってっていうところですので、一いち店てんでもたくさんの店みせが開ひらくことが商店しょうてん街がいとしては役割やくわりかなという風かぜに思おもっておりますので、われわれもそのために、お店みせを開ひらくことにいたしました。

皆みなさんそれぞれ、被害ひがいの状況じょうきょうはさまざまです。ですが、開あけるところから順番じゅんばんに開ひらくことによって、これまでの日常にちじょうというものに近ちかづいていくんじゃないかと思おもっています」