アメリカ西部カリフォルニア州サンノゼで、エヌビディアは18日から「AIの新しい時代」というテーマで開発者向けのイベントを開いています。
初日、ジェンスン・フアンCEOが生成AIの性能を高める新たな半導体を発表しました。
このイベントではこの会社の半導体を利用するおよそ300の企業が出展し、最先端の生成AI技術が披露されています。
各社は文字だけではなく、画像や映像の生成に力を入れています。
このうち、イギリスのスタートアップ企業「シンセシア」は生成AIによって本人そっくりのアバターが話すソフトを提供しています。
本人の顔を写した動画をアップロードしたうえで、文章を入力すると、80もの言語で話すことができるといいます。
グローバル企業で従業員研修などで使われているということです。
また、イスラエルのスタートアップ「ブリア」は、オープンソースで誰でも自由に使える画像や動画の生成AIを開発しています。
「桜の上に座るネコ」と指示を打ち込むと、桜の枝に座るネコのイメージ画像が生成されます。
会場には大勢の人が訪れ、生成AIへの関心の高さがうかがえました。
生成AI 世界各国の企業が開発 最新技術は
今回の展示会では世界各国の企業が開発している生成AIの最新技術が展示されています。
このうち、アメリカのスタートアップ企業「バイフロスト」は生成AIによって3次元の立体映像を作成するソフトを展示しています。
例えば、簡単な指示を入力するだけで交通状況をコンピューター上で再現することができます。
生成AIが交差点を歩く歩行者をつくったり雪を降らせたりすることができ、時刻を指示すれば夜の道路状況もすぐに再現できます。
自動運転の開発などに活用できるということです。
将来は文章を入力することで3次元の立体映像を生成することを目指しているということです。
担当者は「3次元には多くの利点があります。3次元をより使いやすくよりリアルにすることがねらいです」と話していました。
また、去年春に設立後、急成長しているフランスのスタートアップ企業「ミストラルAI」も出展しています。
オープンソースで誰もが自由に使える生成AIのソフトを提供しており、先月、マイクロソフトと提携し、話題になりました。
今回、出展はしていませんが、ChatGPTを開発したアメリカのオープンAIは先月、文章での指示に基づいて最長1分までの高画質な動画を生成できる「Sora」の開発を発表しました。
まだ、一般には公開されていません。
生成AIをめぐり、世界各国の企業による開発競争が一段と激しくなっています。
エヌビディア 生成AI 新たな半導体やサービスの発表も
エヌビディアは18日、生成AIの学習や回答を作成する性能を高める新たな半導体をことしの後半から利用できるようにすると発表しました。
新たな半導体は「ブラックウェル」と名付けられ、自社の従来製品に比べて、学習する性能は4倍、質問を受けて回答を作成する推論実行という性能では最大30倍も処理性能が高いとしています。
アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどでこの半導体が導入される見込みだということです。
ジェンスン・フアンCEOは「生成AIはこれからの時代を定義していくだろう。この半導体は新たな産業革命を推進するエンジンだ」とコメントしています。
また、会社は生成AIのアプリを開発するためのサービス「NIM」も発表しました。
ソフトウエア開発者がこのサービスを利用することで生成AIアプリの開発を短期間でできると説明しています。
エヌビディアが手がけている生成AIに欠かせない「GPU」と呼ばれる、半導体をめぐっては需要が急速に拡大しています。
「AMD」やインテルといったほかの半導体メーカーもこうした半導体に力を入れるようになっていて今後、競争が激化しそうです。
エヌビディアとしては、性能の高い半導体やサービスを次々と提供することで他のメーカーとの開発競争を勝ち抜く方針です。