当局はいまも6人の行方がわかっていないと明らかにし、現場で救助活動が続けられています。
アメリカ東部メリーランド州の最大の都市ボルティモアで、26日午前1時半ごろ、日本時間の26日午後2時半ごろ、パタプスコ川にかかる橋の橋脚に大型の貨物船が衝突し、橋の大部分が崩落しました。
運輸当局などは日本時間の26日夜11時前から会見を行い、川に転落したとみられる6人の行方がわかっていないと明らかにし、現場で救助活動が続けられています。
橋が崩落した際の様子を捉えた映像では、貨物船が橋脚に衝突し、橋が10秒ほどで崩れ落ちていく様子が確認できます。
ロイター通信や船の位置情報を公開している「マリントラフィック」によりますと、この船はシンガポール船籍の貨物船「ダリ号」で、26日午前1時ごろボルティモアを出港しインド洋の島国スリランカの最大都市コロンボに向かおうとしていたということです。
アメリカのABCテレビは、貨物船が橋に衝突する直前に乗組員がメリーランド州の当局に「船のコントロールを失った」と伝え橋と衝突するおそれがあると連絡していたと報じました。
崩落した橋は「フランシス・スコット・キー橋」で通称「キーブリッジ」として知られているということです。
地元メディアによりますと、この橋は、1977年に開通し全長はおよそ3キロで、メリーランド州とワシントンやニューヨークなどを行き来する人が多く利用していて交通への影響も懸念されています。
ボルティモアはアメリカの国歌が誕生した地とされ、橋の名前の由来となっているフランシス・スコット・キー氏はかつての米英戦争中にアメリカの国歌「星条旗」を作詞した人物です。
シンガポール港湾当局 “アメリカ沿岸警備隊の調査に全面協力”
事故を起こした貨物船はシンガポール船籍の「ダリ号」です。
シンガポールの港湾当局は26日、この貨物船には当時、22人が乗り組んでいたと発表しました。
また、必要な支援の提供に向けてアメリカの沿岸警備隊や貨物船の管理会社と連絡をとっているということです。
そして沿岸警備隊の調査に全面的に協力するほか、シンガポールの港湾当局としても調査を行う予定だとしています。
衝突する直前に「船のコントロールを失った」 米報道
アメリカのABCテレビは、大型の貨物船が橋に衝突する直前に乗組員がメリーランド州の当局に「船のコントロールを失った」と伝え、橋と衝突するおそれがあると連絡していたと報じました。
また、アメリカのCNNテレビは、船の位置情報を公開している「マリントラフィック」のデータや映像をもとに分析した内容として、貨物船が衝突する直前に針路を変更し、橋脚部分に向かってかじを切ったほか、衝突前に貨物船から黒煙が上がっていたとも伝えています。
さらに、イギリスのテレビ局、スカイニュースは橋に衝突する直前の映像から、貨物船で2回停電が起きていた可能性があると伝えています。
1回目は衝突の4分前で、60秒ほど船内の明かりが消えたとしています。
復旧後、針路を調整していたとみられるということですが、衝突する2分前に2回目の停電が起きたとしています。
バイデン大統領 状況を注視
アメリカ・ホワイトハウスは26日、バイデン大統領が橋の崩落や救助活動について報告を受けたと発表しました。
バイデン大統領は状況を注視していくとしています。