地価公示 “コロナ禍からの回復”も各地で広がる“異変”とは - Easy News

「社会しゃかい・経済けいざい活動かつどうがコロナ前まえに戻もどりきった」

専門せんもん家かがそう評価ひょうかした今年ことしの地価ちか公示こうじ。去年きょねんに比くらべて平均へいきんでプラス2.3％と3年ねん連続れんぞくの上昇じょうしょうとなりました。

その一方いっぽうで、住宅じゅうたくの購入こうにゅうやリゾート地ちの開発かいはつの現場げんばでは“異変いへん”も起おきています。

マイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょの影響えいきょうも含ふくめ、専門せんもん家かの解説かいせつと共とともに詳くわしくお伝おつたえします。

国土こくど交通こうつう省しょうは全国ぜんこくおよそ2万まん6000地点ちてんを対象たいしょうにことし1月つき1日にち時点じてんの価格かかくを調しらべた「地価ちか公示こうじ」の結果けっかを公表こうひょうしました。

それによりますと、全国ぜんこくの住宅じゅうたく地ちや商業しょうぎょう地ちなどを合あわせた全体ぜんたいは、去年きょねんと比くらべて平均へいきんでプラス2.3％と3年ねん連続れんぞくで上昇じょうしょうしました。

上昇じょうしょう率りつも去年きょねんより0.7ポイント拡大かくだいしました。

全国ぜんこくの土地とちの地価ちかは、1991年ねんにプラス11.3％の上昇じょうしょう率りつとなったあと、翌年よくねんからは下落げらくに転てんじるなど低迷ていめいが続つづき、上昇じょうしょう率りつが2％を超こえることはありませんでした。

用途ようと別べつでみると住宅じゅうたく地ちは、全国ぜんこく平均へいきんでプラス2.0％と3年ねん連続れんぞくの上昇じょうしょうとなりました。

このうち、東京とうきょう、大阪おおさか、名古屋なごやの「3大だい都市とし圏けん」はプラス2.8％、札幌さっぽろ、仙台せんだい、広島ひろしま、福岡ふくおかの「地方ちほう4市し」はプラス7.0％でした。

また、それ以外いがいの地方ちほうもプラス0.6％と、去年きょねんより0.2ポイント上昇じょうしょう率りつが拡大かくだいし、地価ちかの上昇じょうしょうが地方ちほうに波及はきゅうしていることがより鮮明せんめいになっています。

一方いっぽう、商業しょうぎょう地ちは、全国ぜんこく平均へいきんでプラス3.1％と、3年ねん連続れんぞくの上昇じょうしょうとなりました。

「3大だい都市とし圏けん」がプラス5.2％、「地方ちほう4市し」がプラス9.2％と高たかい伸のびとなったほか、それ以外いがいの地方ちほうもプラス0.6％と2年ねん連続れんぞくの上昇じょうしょうとなりました。

いずれの地域ちいきも去年きょねんより上昇じょうしょう率りつが拡大かくだいしています。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうから回復かいふくし、経済けいざい活動かつどうが正常せいじょう化かしたことに加くわえ、円えん安やすを背景はいけいに外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくが増加ぞうかし、飲食いんしょく店てんやホテルなどの業種ぎょうしゅで土地とちの需要じゅようが増ふえたことなどが、全国ぜんこく的てきに地価ちかを押し上おしあげる結果けっかとなっています。

最高さいこう価格かかくの地点ちてんは

【商業しょうぎょう地ち】

全国ぜんこくで最もっとも地価ちかが高たかかったのは、商業しょうぎょう地ちが東京とうきょう・中央ちゅうおう区く銀座ぎんざ4丁目ちょうめの「山野やまの楽器がっき銀座ぎんざ本店ほんてん」で1平方メートルへいほうめ-とるあたり5570万まん円えんでした。18年ねん連続れんぞくでの最高さいこう価格かかくとなりました。

上昇じょうしょう率りつはプラス3.5％と去年きょねんよりも2ポイント拡大かくだいしました。富裕ふゆう層そうの消費しょうひが好調こうちょうなことに加くわえて、円えん安やすを背景はいけいに訪日ほうにち外国がいこく人じんによる消費しょうひ、いわゆるインバウンド需要じゅようが伸のびていることが上昇じょうしょう率りつの拡大かくだいにつながりました。

【住宅じゅうたく地ち】

住宅じゅうたく地ちでは、7年ねん連続れんぞくで東京とうきょう・港みなと区く赤坂あかさか1丁目ちょうめで、1平方メートルへいほうめ-とるあたり535万まん円えんでした。上昇じょうしょう率りつはプラス4.5％で、去年きょねんより2.1ポイント拡大かくだいしました。

高級こうきゅう住宅じゅうたく街がいでマンション用地ようちとしての需要じゅようが根強ねづよいことに加くわえ、周辺しゅうへんの麻布まふ台だい地区ちくで去年きょねん11月つきに複合ふくごう施設しせつが開業かいぎょうしたことで、にぎわいや利便りべん性せいへの期待きたいが一段いちだんと高たかまりました。

【工業こうぎょう地ち】

工業こうぎょう地ちの最高さいこう地点ちてんは、12年ねん連続れんぞくで東京とうきょう・大田おおた区く東海とうかい2丁目ちょうめで、1平方メートルへいほうめ-とるあたり76万まん2000円えんでした。上昇じょうしょう率りつはプラス3.0％でした。

東京とうきょう港こうや羽田はた空港くうこう、首都しゅと高速こうそく道路どうろへのアクセスがよく、物流ぶつりゅう施設しせつとしての需要じゅようが引き続ひきつづき堅調けんちょうでした。

上昇じょうしょう率りつが高たかい地点ちてんは

今回こんかいの地価ちか公示こうじでは、大手おおて半導体はんどうたいメーカーの工場こうじょうが進出しんしゅつする地域ちいきや、外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくに人気にんきの地域ちいきが、上昇じょうしょう率りつの上位じょういを占しめました。

【商業しょうぎょう地ち】

商業しょうぎょう地ちで地価ちかの上昇じょうしょう率りつが最もっとも高たかかったのは、熊本くまもと県けん大津おおつ町まち大津おおつでプラス33.2％。2位いは同おなじ熊本くまもと県けんの菊陽きくよう町まち津久礼つくれでプラス30.8％でした。

菊陽きくよう町まちでは台湾たいわんの半導体はんどうたい大手おおてTSMCの工場こうじょうが2月つき完成かんせいし、隣接りんせつする大津おおつ町まちを含ふくめた周辺しゅうへん地域ちいきで、関連かんれんする企業きぎょうの事務所じむしょやホテルなどを準備じゅんびする動うごきが地価ちかの上昇じょうしょうにつながっています。

3位いは北海道ほっかいどうの千歳ちとせ市し幸さいわい町まちでプラス30.3％でした。こちらも半導体はんどうたいの工場こうじょうの影響えいきょうです。千歳ちとせ市しでは、先端せんたん半導体はんどうたいの国産こくさん化かを目指めざす「Rapidus」の新あらたな工場こうじょうの建設けんせつが進すすんでいて、関連かんれんする企業きぎょうの事務所じむしょなどの需要じゅようが高たかまっています。

【住宅じゅうたく地ち】

住宅じゅうたく地ちで地価ちかの上昇じょうしょう率りつが最もっとも高たかかったのは、北海道ほっかいどう富良野ふらの市し北の峰きたのみね町まちでプラス27.9％でした。観光かんこうやスキーなど1年ねんを通をつうじて楽たのしめるリゾート地ちとして、外国がいこく人じんなどから別荘べっそうの需要じゅようが高たかまりました。

2位いは北海道ほっかいどう千歳ちとせ市し栄さかえ町まち2丁目ちょうめでプラス23.4％。「Rapidus」の従業じゅうぎょう員いん向むけの住宅じゅうたくとしての需要じゅようが高たかまっています。

3位いは沖縄おきなわ県けん宮みや古島こじま市し上野うえのでプラス21.2％でした。移住いじゅう先さきとしての人気にんきを反映はんえいした結果けっかとなりました。

【工業こうぎょう地ち】

工業こうぎょう地ちでは千葉ちば県けん市川いちかわ市し塩浜しおはま3丁目ちょうめがプラス29.0％で最もっとも高たかくなり、2位いは市川いちかわ市し二俣新ふたまたしん町まちでプラス28.1％。3位いは千葉ちば県けん船橋ふなばし市し日の出ひので2丁目ちょうめでプラス27.0％となりました。

いずれも都内とないへの交通こうつうアクセスが良よく、用地ようち取得しゅとくの費用ひようが都心としんより割安わりやすなことから、需要じゅようが旺盛おうせいでした。

活況かっきょうな都心としんのマンション需要じゅよう

今回こんかい、住宅じゅうたく地ちが大おおきく伸のびた東京とうきょう圏けん。

それをけん引けんいんしているのが豊島としま区くや港みなと区くといった都心としん部ぶで、伸のび率りつは7％を超こえています。それが顕著けんちょに表あらわれているのが都心としんのマンション価格かかくです。

不動産ふどうさん調査ちょうさ会社かいしゃ「東京とうきょうカンテイ」によりますと、2023年ねん、東京とうきょう23区くで発売はつばいされたマンションの平均へいきん価格かかくは1戸こあたり1億おく1630万まん円えんと、おととしに比くらべて3300万まん円えんあまり率りつにして41％伸のびました。

資材しざい価格かかくの高騰こうとうなどで工事こうじ費ひが上昇じょうしょうしているという面めんもありますが、新型しんがたコロナの5類るいへの移行いこうで出勤しゅっきんなどに便利べんりな都心としん部ぶのマンションに人気にんきが集中しゅうちゅうしているのも一因いちいんです。

大手おおて不動産ふどうさん会社かいしゃが売り出うりだしている東京とうきょう・渋谷しぶや区くのマンションは、1戸こあたりおよそ2億おく円えんから5億おく円えん台だいと高額こうがくですが、完成かんせい予定よていまであと2年ねん近ちかくを残のこして、これまでに売り出うりだした65戸こはすべて完売かんばいしています。

最寄り駅もよりえきまで徒歩とほ7分ふんという利便りべん性せいや、敷地しきちの広ひろさなどで人気にんきを集あつめ、国内こくないの富裕ふゆう層そうや共働ともばたらきで世帯せたい収入しゅうにゅうの高たかい「パワーカップル」のほか、海外かいがいの投資とうし家かなどが購入こうにゅうするケースもあり、ホームページを通つうじた問い合といあわせも6000件けんを超こえているということです。

「都心としんのマンション供給きょうきゅうが減へっていることや高級こうきゅう住宅じゅうたく街がいに建たつ立地りっちの希少きしょう性せいも反応はんのうの多おおさに繋つながっている。物価ぶっか高だかで工事こうじ費ひや販売はんばい価格かかくが上昇じょうしょうする中なかでも、富裕ふゆう層そうを中心ちゅうしんに堅調けんちょうな需要じゅようがある」（三菱みつびし地所じしょレジデンス渡邊わたなべ聡さとしさん）

一方いっぽう、戸建こだてでは値下ねさげも

今回こんかいの地価ちか公示こうじでは、東京とうきょう23区くの中央ちゅうおう区くや港みなと区くなど都心としん部ぶで7％を超こえる高たかい伸のびとなる一方いっぽう、江戸川えどがわ区くや葛飾かつしか区く、足立あだち区くといった地域ちいきは上昇じょうしょう率りつが4％台だいにとどまりました。

その背景はいけいのひとつには、都心としん部ぶに多おおいマンションと江戸川えどがわ区くや葛飾かつしか区く、足立あだち区くといった地域ちいきに多おおい戸建こだて住宅じゅうたくの価格かかく動向どうこうの違ちがいがあるとみられています。

不動産ふどうさん調査ちょうさ会社かいしゃ「東京とうきょうカンテイ」によりますと、去年きょねん（2023年ねん）東京とうきょう23区くで売り出うりだされた物件ぶっけんの平均へいきん価格かかくは、マンションの上昇じょうしょう率りつが40％を超こえたのに対にたいして、戸建こだての上昇じょうしょう率りつは4％程度ていどにとどまっています。

間取まどりに余裕よゆうのある戸建こだて住宅じゅうたくはコロナ禍かでのリモートワークの増加ぞうかを背景はいけいに人気にんきが高たかまりましたが、5類るいへの移行いこうとともに、出勤しゅっきん再開さいかいの動うごきが広ひろがっています。

さらに、建築けんちくコストの上昇じょうしょうもあって、販売はんばい価格かかくが中心ちゅうしんとなる購買こうばい層そうの予算よさんを上回うわまわる傾向けいこうにあり、戸建こだての人気にんきが落ち着おちつきつつあるとみられています。

こうした中なか、江戸川えどがわ区くや足立あだち区くといった地域ちいきでは、戸建こだて住宅じゅうたくを値下ねさげする動うごきも出でています。

東京とうきょう・豊島としま区くにある大手おおての住宅じゅうたく販売はんばい会社かいしゃは、足立あだち区くで去年きょねん10月つきに売り出うりだした新築しんちくの戸建こだての価格かかくを今月こんげつ、10％引き下ひきさげました。

出勤しゅっきんの機会きかいが増ふえる中なか、最寄り駅もよりえきから徒歩とほ15分ふんという距離きょりも敬遠けいえんされる理由りゆうとなり、より都心としんへのアクセスがよい地域ちいきに需要じゅようが移うつったのではないかとみています。

足立あだち区内くないでは、ほかにも思おもうように買い手かいてがつかず値下ねさげした物件ぶっけんがあるということです。

このため、会社かいしゃでは、新あたらしい物件ぶっけんについては、あえて狭せまい敷地しきちに建設けんせつすることで販売はんばい価格かかくを引き下ひきさげる戦略せんりゃくをとっています。

敷地しきちは狭せまくても階段かいだんをリビングの中なかに設もうけて廊下ろうかを省はぶくことで居住きょじゅうスペースを広ひろくとったり、屋上おくじょうにバルコニーを設もうけたりして、快適かいてきに過すごせるよう工夫くふうしているということです。

一いち建設けんせつの鈴木すずき基はじめ晴はれさんは「戸建こだての販売はんばいは非常ひじょうに厳きびしい状況じょうきょうだが価格かかくや設備せつびなど、客きゃくのニーズを細こまかくつかんでいくしかない」と話はなしていました。

マイナス金利きんり解除かいじょマンション購入こうにゅうの現場げんばは

マンションの購入こうにゅうを検討けんとうしている人ひとたちからは、日銀にちぎんのマイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょを受うけて、住宅じゅうたくローン金利きんりへの影響えいきょうが気きになるという声こえも聞きかれます。

福岡ふくおか市しの会社かいしゃ員いん、小倉おぐら康かん尚しょうさん（45）は妻つまと2人にんの子こどもの家族かぞく4人にんで賃貸ちんたいマンションに暮くらしています。

2歳さいの長男ちょうなんに続つづいて、ことし1月つきに長女ちょうじょが誕生たんじょうしたのをきっかけに、もっと広ひろい部屋へやに住すみたいと、マンションの購入こうにゅうを本格ほんかく的てきに検討けんとうするようになりました。

そのさなかに行おこなわれたマイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょ。

住宅じゅうたくローン金利きんりが今後こんご、上あがるのかどうか、メディアを通をつうじて情報じょうほうを集あつめていると言いいます。

金利きんりの上昇じょうしょうで増ふえる月々つきづきの支払しはらい額がくについてみずから試算しさんも行おこないました。

「最近さいきんはテレビでマイナス金利きんり政策せいさく解除かいじょや住宅じゅうたくローン金利きんり引き上ひきあげのことばが出でてくると、『おっ』という感かんじで見みたり聞きいたりしています。住宅じゅうたくローン金利きんりの固定こてい型がたはこれまで考かんがえていませんでしたが、調しらべることはしました」（小倉おぐら康かん尚しょうさん）

この日ひ、小倉おぐらさんは家族かぞくで福岡ふくおか市内しないの住宅じゅうたくメーカーを訪おとずれ、住宅じゅうたくローン金利きんりの変動へんどう型がたを選えらんだ場合ばあい、金利きんりが上あがれば負担ふたんがどの程度ていど増ふえるのか相談そうだんを持もちかけました。

担当たんとう者しゃは、例たとえば年とし0.3％余あまりの金利きんりで5000万まん円えんを35年ねんローンで借かりると、金利きんりが0.1ポイント上あがるごとに毎月まいつきの支払しはらいが数すう千せん円えん増ふえるとみられることを説明せつめい。

その上うえで、仮かりに金利きんりがおよそ1ポイント上あがって1.3％になれば、毎月まいつきの支払しはらいが2万まん円えんから3万まん円えん増ふえる可能かのう性せいもあると伝つたえました。

小倉おぐらさん夫婦ふうふは、将来しょうらい的てきな金利きんりの上昇じょうしょうも念頭ねんとうに置おきながら、想定そうていしていたよりも価格かかくの安やすい物件ぶっけんを含ふくめ、検討けんとうし直なおしたいと考かんがえています。

「金利きんりが上あがってしまって月々つきづきの支払しはらいが増ふえるのであれば、少すこし部屋へやの狭せまいところ、安やすいところも考かんがえなければいけないのかなというのは正直しょうじきあります」

「あまり背伸せのびしすぎても生活せいかつが苦くるしくなってしまうので、そのバランスを見みながら、無理むりのない範囲はんいでローンを返かえしていける物件ぶっけんが見みつかればいいなと思おもっています」（小倉おぐらさん夫妻ふさい）

上昇じょうしょうのかげで各地かくちでは“異変いへん”

「開発かいはつ計画けいかくの延期えんきや中止ちゅうし」

先端せんたん半導体はんどうたいの国産こくさん化かを目指めざす「Rapidus」の工場こうじょう建設けんせつなどに伴ともなって地価ちかが上昇じょうしょうする一方いっぽう、北海道ほっかいどう内ないではある“異変いへん”が生しょうじています。

資材しざい価格かかくの上昇じょうしょうに加くわえて、「Rapidus」の工場こうじょう建設けんせつで建設けんせつ業界ぎょうかいの人手ひとで不足ふそくに拍車はくしゃがかかり、道内どうないの開発かいはつ計画けいかくでは延期えんきや変更へんこう、中止ちゅうしを迫せまられるケースが相次あいついでいます。

このうち、札幌さっぽろ駅前えきまえにあった商業しょうぎょう施設しせつ「エスタ」の跡地あとちとその隣接りんせつする地区ちくには、延伸えんしんを予定よていしている北海道ほっかいどう新幹線しんかんせんの札幌さっぽろ駅えきに直結ちょっけつする道内どうないで最もっとも高たかいビルの建設けんせつが計画けいかくされていて、今年度こんねんど中ちゅうの着工ちゃっこうが予定よていされていました。

しかし、JR北海道ほっかいどうは2月つき、資材しざい価格かかくや人件じんけん費ひの高騰こうとうにより、当初とうしょ2500億おく円えん程度ていどと想定そうていした事業じぎょう費ひが増加ぞうかする見通みとおしとなり、計画けいかくの見直みなおしを進すすめていることを明あきらかにしました。

ビルの完成かんせい時期じきも当初とうしょ予定よていしていた2028年度ねんどから遅おくれる可能かのう性せいがあるとしていて、建設けんせつコストの圧縮あっしゅくに向むけた規模きぼの縮小しゅくしょうについて設計せっけいと施工しこうを担当たんとうする清水しみず建設けんせつと協議きょうぎを続つづけているとしています。

「開業かいぎょうが2年ねん遅おくれる」

こうした“異変いへん”は、国内こくない有数ゆうすうのスキーリゾートで富裕ふゆう層そう向むけの高級こうきゅうホテルやコンドミニアム、それに別荘べっそうの開発かいはつが盛さかんなニセコエリアでも相次あいついでいます。

スキー場じょうのすぐそばで計画けいかくされているコンドミニアムは、当初とうしょは2026年度ねんどに開業かいぎょうする予定よていでしたが、2年ねん遅おくれて2028年度ねんどになることが2月つき、明あきらかになりました。

このコンドミニアムは、「星野リゾートほしのりぞ-と」がニセコエリアで運営うんえいに参入さんにゅうするとあって注目ちゅうもくを集あつめていますが、建設けんせつ資材しざいの高騰こうとうに加くわえて人手ひとで不足ふそくにより、想定そうていしていた工期こうきでの建設けんせつが難むずかしくなったためだとしています。

「Rapidusの進出しんしゅつ前まえから建設けんせつ業界ぎょうかいは人ひとが足たりないという話はなしはあったが、進出しんしゅつが決きまったあと輪わをかけて人手ひとで不足ふそくが深刻しんこく化かした。いままで経験けいけんしたことがない影響えいきょうを受うけており、人手ひとで不足ふそくを乗り越のりこえてしっかりとビジネスを組み立くみたてていかなければならない」（開発かいはつを手てがける「Zekkeiグループ」石丸いしまる修太郎しゅうたろう社長しゃちょう）

「移住いじゅう者しゃ向むけの住宅じゅうたくが不足ふそく」

観光かんこう客きゃくに人気にんきの長野ながの県けん野沢温泉のざわおんせん村むら。

インバウンド需要じゅようを取り込とりこもうと外国がいこく人じん投資とうし家かが、空き家あきやに加くわえ、廃業はいぎょうを予定よていしている旅館りょかんなどを購入こうにゅうし、宿泊しゅくはく施設しせつや飲食いんしょく店てんをオープンする動うごきが広ひろがっています。

このため、住宅じゅうたく地ちの地価ちかの平均へいきんが、去年きょねん3年ねんぶりに上昇じょうしょうに転てんじ、ことしも13％の伸のびとなりました。

外国がいこく人じん投資とうし家かの1人にんでイギリス人じんのピーター・ダグラスさんは、村内むらうちで14の宿泊しゅくはく施設しせつを経営けいえいしていて、このうち去年きょねんは、1泊はく最大さいだい17万まん円えんほどする富裕ふゆう層そう向むけを新あらたにオープンさせました。

本格ほんかく的てきなスキーシーズンとなることし1月つきと2月つきは、経営けいえいするすべての宿泊しゅくはく施設しせつでほぼ満室まんしつだったとしていて、今後こんごもインバウンド需要じゅようを取り込とりこみたいと考かんがえる投資とうし家かが増ふえるとみています。

「野沢温泉のざわおんせん村むらは、もともと有名ゆうめいな観光かんこう地ちだが、人気にんきが高たかまっている。ビジネスをしたいという外国がいこく人じん投資とうし家かもどんどん増ふえているので、村むらはさらに有名ゆうめいになると思おもう」（ピーター・ダグラスさん）

一方いっぽう、活発かっぱつ化かする不動産ふどうさん投資とうしに伴ともなって、村むらの住宅じゅうたく事情じじょうに変化へんかが出でています。

野沢温泉のざわおんせん村むらによりますと、温泉おんせん街がいのある村むらの中心ちゅうしん部ぶは住宅じゅうたく価格かかくが上昇じょうしょうし、移住いじゅう者しゃなどが購入こうにゅうしやすい価格かかくの住宅じゅうたくが不足ふそくしているとしています。

このため村むらは4億おく5000万まん円えん余あまりをかけて移住いじゅう者しゃなどが入居にゅうきょできる集合しゅうごう住宅じゅうたくを2棟むね建設けんせつする計画けいかくで、ことし12月つきからの受け入うけいれを予定よていしています。

「外国がいこく人じんの投資とうし家かが、私わたしたちの想定そうていを大おおきく上回うわまわる高たかい金額きんがくで物件ぶっけんを購入こうにゅうしているため、移住いじゅう者しゃなどが購入こうにゅうできる住宅じゅうたくがなくなってきている。村むらが住宅じゅうたくを整備せいびすることで移住いじゅうや定住ていじゅうをしやすい環境かんきょうを整ととのえたい」（野沢温泉のざわおんせん村むら建設けんせつ水道すいどう課か荒井あらい直喜なおき課長かちょう）

専門せんもん家かはどう見みたか

今回こんかいの地価ちか公示こうじの結果けっかについて、不動産ふどうさん調査ちょうさ会社かいしゃ「東京とうきょうカンテイ」の井出いで武たけし　上席じょうせき主任しゅにん研究けんきゅう員いんに聞ききました。

Q．住宅じゅうたく地ち・商業しょうぎょう地ちともに3年ねん連続れんぞくで上昇じょうしょうし、上昇じょうしょう率りつも拡大かくだいした

A．全国ぜんこくの平均へいきんが2％を超こえる伸のびとなったのは、30年ねん以上いじょうなかったことで、大おおきな上昇じょうしょうと言いえる。社会しゃかい・経済けいざい活動かつどうの勢いきおいが新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい前まえに戻もどりきったとみてよいのではないか。

Q．上昇じょうしょう率りつの拡大かくだいは“地方ちほう”でも

A．地価ちかの上昇じょうしょう基調きちょうが地方ちほうにも波及はきゅうしていることが鮮明せんめいになった形かたちだが、依然いぜんとしてマイナスのままの地方ちほうも多おおい。その点てんで、都市とし部ぶと地方ちほう、にぎわう地方ちほうとそうでない地方ちほうという2つの二に極きょく化かが際きわだったともいえる。

Q．二に極きょく化かが進すすんだ背景はいけいは？

A．利便りべん性せいを重視じゅうしする考え方かんがえかたが再ふたたび強つよまったからだ。新型しんがたコロナの感染かんせんが落ち着おちつくにつれて、東京とうきょうや大阪おおさかでは転入てんにゅう超過ちょうかの人数にんずうが拡大かくだいしていて、交通こうつうの利便りべん性せいのよさが地価ちかを大おおきく押し上おしあげる要因よういんとなった。

勤務きんむ先さきへの距離きょりが近ちかい都心としん部ぶだけでなく、郊外こうがいでも駅えきに近ちかく、マンションなどの再さい開発かいはつが行おこなわれた地域ちいきで地価ちかが大おおきく上昇じょうしょうしている。

一方いっぽう、最寄り駅もよりえきからの距離きょりが遠とおいことが多おおい戸建こだてはマンションと比くらべると販売はんばいが低調ていちょうで、戸建こだての多おおいエリアは都心としん部ぶなどと比くらべると地価ちかの伸のびが鈍にぶくなっている。

また、地方ちほうでも行政ぎょうせいが子育こそだて施策しさくに力ちからを入いれ、連動れんどうする形かたちでショッピングモールや保育ほいく施設しせつなどの整備せいびが進すすんでいるところと、そうではないところでは地価ちかの二に極きょく化かが進すすんでいる。

Q．観光かんこう地ちでの地価ちかの伸のびも目立めだっている

A．円えん安やすを背景はいけいに、訪日ほうにち外国がいこく人じんが急増きゅうぞうしていることが大おおきい。観光かんこう地ちは外国がいこく人じんでごった返ごったがえしており、ホテルに宿泊しゅくはくするだけでなく、品質ひんしつがよい日本にっぽんの商品しょうひんをお土産みやげとして買かって帰かえる動うごきもかなり見みられる。