ある日一人の馬方が、子供たちに虐められている小さなタヌキを見つけました。馬方は子供たちに小遣いをあげて子ダヌキを買い取ると、縄をほどいて逃がしてあげました。
その日の真夜中、子ダヌキとその父ダヌキが馬方の家にやってきて、助けてもらったお礼がしたいと言って子ダヌキを置いていきました。翌日からその子ダヌキはくるくるとよく働いて馬方のお世話をしたので、最初はしぶしぶだった馬方も子ダヌキが気に入ってしまいました。
そんなある日、馬方のところへ借金取りの吉田屋がやってきました。どうしても今日中に利息込みで一両の金を返してもらう、それが無理なら馬をもらっていく、と言うので馬方さんは途方にくれました。子ダヌキは困っている馬方のために小判に化け、吉田屋の巾着袋の中に入って行ってしまいました。
その夜、子ダヌキの事が心配で心配で眠れなかった馬方のところに、傷だらけになった子ダヌキが逃げ帰ってきました。吉田屋からかじられたり犬に追いかけられたりと、さんざんな目にあった小ダヌキに、馬方は涙を流して感謝しました。そして、この優しい子ダヌキを明日には父ダヌキの元へ返してあげようと思い、二人で同じ布団に入り眠りにつきました。