アメリカの
連邦最高裁判所が、
大学が
入学選考で
黒人などの
人種を
考慮している
措置は
憲法違反だという
判断を
示したことについて、
人種差別解消のために
進められてきた
取り組みを
逆行させるものだと
批判も
出ていて、
連邦最高裁の
判断への
波紋が
広がっています。
アメリカの連邦最高裁判所は29日、ハーバード大学やノースカロライナ大学が入学選考をするうえで、黒人やヒスパニック系などの人種を考慮している措置について、法の下の平等を定めた憲法に違反するという判断を示しました。
今回の判断は、連邦最高裁が45年前に示した「大学の入学選考で人種を基準の1つとすることは合憲だ」という判断を覆した形で、アメリカでは多くの大学で同様の措置がとられていることから大きな影響が出ることが予想されます。
判断を受けて、こうした措置は白人などに対する「逆差別」で不公平だと訴えてきた人たちからは歓迎の声が上がった一方で、措置が必要だとする人たちからは「少数派の声が社会に反映されづらくなる」などと抗議の声が上がっています。
また、バイデン大統領は「アメリカにはまだ差別が存在する。これによって国を後退させるわけにはいかない」と述べ、連邦最高裁の判断は公民権運動を経て、人種差別解消のために進められてきた取り組みを逆行させるものだと厳しく批判しました。
アメリカでは、人種の考慮は大学の入学選考に限らず、雇用や昇進など幅広い分野で行われていて、今回の判断がアメリカ社会に大きく影響する可能性もあり、波紋が広がっています。