1つの
医療機関当たりの
平均の
患者数が
全国トップとなっている
沖縄。
6月に入り10歳未満や10代の間で新型コロナの感染が急速に広がっているほか、かぜに似た症状を引き起こすRSウイルス感染症や、ヒトメタニューモウイルス感染症も流行しています。
このため小児専門の病院では対応に追われていて、このうち沖縄本島南部の南風原町にある「県立南部医療センター・こども医療センター」では子ども向けの集中治療室=PICUが8床ありますが、6月29日時点で満床となっています。
病院に務める小児感染症内科の張慶哲 医師によりますと、6月25日には190人近くの患者が救急外来を利用し、このうちおよそ7割が子どもでその多くが発熱の症状を訴え、5人程度が入院したということです。
張医師は「子どものウイルス性感染症は時期に応じて主要な流行が決まっていて同時に流行することは珍しいがこの1か月ほどは新型コロナとともにRSウイルス感染症などが流行している。3年間行われてきた感染対策が解除され、感染症が広がりやすくなっていることが原因の1つだと思う」と指摘しました。
そのうえで、張医師は新型コロナとRSウイルス感染症に同時に感染したケースも出ていることを明らかにし「新型コロナは全く収束の気配を見せずRSウイルス感染症の勢いも収まっておらず、まだ感染状況は折り返しがみえていない」と話していました。
沖縄の医師「5類への移行で大規模な救急病院に患者集中」
沖縄県立中部病院の
医師で、
厚生労働省の
専門家会合にも
参加している
高山義浩さんは、
沖縄県内の
感染状況について「すべての
年齢層で
広がり、
減少へと
転じる兆しはない。
免疫を
逃避する
能力が
高まったオミクロン
株の『XBB
系統』に
変異したウイルスが
沖縄県内の
流行の
主流になってきていて、
過去に
感染をしていても、
再び感染するリスクが
高まってきている」と
説明しています。
また、医療の現状については「5類への移行に伴って軽症患者の診療体制は拡充されたが、行政による入院調整機能が無くなったことで、規模の大きな救急病院に患者が集中する傾向が強まり、一部の医療機関がひっ迫してしまっている状況だ。また、入院した高齢患者の症状が落ち着いても、転院先がなかなか見つからないため、新たな急性期の患者の受け入れが難しくなってしまっている」と指摘していました。
そのうえで「院内感染で使用できる病床が減ってしまうことや、コロナ以外の感染症で子どもが重症化する例が増えていることも大きな課題となっている。今後、さらに感染が拡大した際やインフルエンザの流行期と重なるとさらに厳しい状況になることも予想され、高齢者や子どもの重症患者など個別の入院調整のあり方を議論しておく必要があるのではないか」と訴えていました。
都内クリニック「コロナ検査を希望しない患者も」
東京・
渋谷区のクリニックでは
大型連休明けの
時期は
新型コロナの
検査を
受けて
感染が
確認された
人はほとんどいませんでしたが、
その後、
徐々に増加していて、
今週は1
日に20
人ほどに
検査を
行い、
このうち陽性が
確認されるのは6
人から7
人ほどだということです。
ただ、新型コロナの5類移行後、検査の費用は自己負担となっていて、検査を希望しない患者もいるということで、実際にはさらに多くの患者が感染している懸念もあるということです。
みいクリニック
代々木の
宮田俊男 理事長は「
周囲にコロナに
感染した
人がいない
患者さんも、
検査をしてみると
陽性だったという
ケースが
多い印象で、
学校や
職場などさまざまな
場所で
感染が
広がっていることも
懸念される」と
話しています。
また、ヘルパンギーナや手足口病などほかの感染症が確認されるケースも増えていることから、のどの痛みを鎮める薬や解熱剤などが入手しにくい状況になっているということで、新型コロナの感染がさらに拡大した場合の影響を懸念しています。
宮田理事長は「患者さんが処方箋を持って薬局を回るような状況も発生している。周囲に感染を広げないためにも、まずはしっかりと検査を受けてほしい」と呼びかけています。
小池都知事「感染者急増でも対応する体制は確保」
東京都の
小池知事は、
都内で
新型コロナの
感染者が
急増した
場合でも、
機動的に
対応するための
体制は
確保しているとした
上で、
基本的な
感染防止対策を
行うよう
呼びかけました。
新型コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は、6月26日「全国的には感染者数が微増傾向で、第9波が始まっている可能性がある」と述べました。
小池知事は6月30日の定例会見で、都内の感染者数は前の週に比べてほぼ横ばいであることなどから、医療提供体制への大きな負荷にはなっていないという認識を示しました。
そして「コロナの教訓は、急に増える時は一気に増えることであり、もしそのような状況に陥った時でも、機動的に対応するための体制は確保している」と述べたうえで、手洗いなどの基本的な感染防止対策を行うよう呼びかけました。
政府分科会 舘田教授「第9波となる可能性」
新型コロナウイルス
対策にあたる
政府分科会のメンバーで、
東邦大学の
舘田一博教授は
現在の
感染状況について「
全国的には
増加傾向は
まだ緩やかだが、
沖縄県では、
この冬の
第8
波以上の
水準で
感染が
拡大している。
今後、
ほかの
地域でも同様に
感染者が
急増し、
第9
波と
なる可能性がある」とした
上で「
なぜ、
沖縄で
ここまで
感染者が
増えたのか
よく分かっていないが、
これまでも
全国と
比べて
早い時期に
感染が
拡大する
傾向があった。
感染によって
獲得していた
免疫が
失われたり、
暑くて
マスクをつけにくい
環境が
重なったりして、
増加につながった
可能性がある」と
分析しています。
その上で「沖縄県ではコロナ病床がほぼ埋まったと報告されているが、東京をはじめ、全国では病床がひっ迫しているという状況はまだ聞かれていない。ただ、RSウイルスやヘルパンギーナなど子どもの感染症が全国的に広がり、私が所属する大学病院も含め小児病棟に入院する子どもの患者が増えていて、これがコロナの拡大と重なれば病床がひっ迫することも考えられる。コロナが5類となり、専用病床を確保する医療機関が少なくなる中で、感染レベルが最悪の水準になるリスクに備え、自治体や保健所など行政が入院調整を支援する取り組みを進めることが重要だ」と話しています。
また、感染拡大への備えとして「現在、主流となっているXBB系統に対応するワクチンが、この秋以降に接種できる見込みだが、従来のワクチンでも十分な効果が期待できるので、高齢者や基礎疾患がある人で、ワクチンを最後に接種してから4か月から半年が経過している人は、早めの追加接種を検討して欲しい。また、重症化するリスクの低い人も、かぜを引いたと思ったらコロナへの感染を疑い、外出や会食を控えるなど、慎重な行動を取ることが大事だ」と話しています。
松野官房長官「先手先手で必要な対応行う」
松野官房長官は、
午後の
記者会見で「
今後、
夏の
間に
一定の
感染拡大が
生じる可能性があり、
引き続き先々の
感染動向を
見据えながら、
先手先手で
必要な
対応を
行って
いく。
急激な
感染拡大による
医療ひっ迫などが
見込まれる
場合には、
国民への
感染対策の
呼びかけを
強化するなどの
対応を
行って
いく」と
述べました。
また、沖縄県の状況ついて「入院者の増加や院内クラスターの発生により医療に一定の負荷がかかっている。沖縄県では県民への基本的な感染対策などの呼びかけに加え、医療提供体制の確保に向けた取り組みを進めており、引き続き県と密接に連携をとりつつ適切に対応していく」と述べました。
岸田首相 必要な対策取るよう指示
岸田総理大臣は30
日夕方、
総理大臣官邸で、
加藤厚生労働大臣や
後藤新型コロナ
対策担当大臣らから、
感染状況の
報告を
受け、
今後の
対応を
協議しました。
そして、岸田総理大臣は、去年、夏の間に全国で感染が拡大したことも踏まえ、沖縄県と連携しながら感染状況を注視し、必要な対策を取るよう、加藤大臣らに指示しました。
1医療機関当たりの平均患者数(都道府県別)
▼
沖縄県は39.48
人▼鹿児島県は11.71人
▼熊本県は8.75人
▼愛知県は8.03人
▼千葉県は7.77人
▼岐阜県は7.45人
▼宮崎県は7.22人
▼埼玉県は7.18人
▼佐賀県は7.0人
▼山梨県は6.61人
▼茨城県は6.48人
▼三重県は6.32人
▼東京都は6.22人
▼神奈川県は6.07人
▼石川県は5.85人
▼静岡県は5.81人
▼福岡県は5.76人
▼岩手県は5.59人
▼奈良県は5.58人
▼長崎県は5.29人
▼北海道は5.23人
▼和歌山県は5.18人
▼大阪府は5.16人
▼福島県は5.1人
▼高知県は5.09人
▼京都府は4.92人
▼兵庫県は4.82人
▼鳥取県は4.76人
▼長野県は4.75人
▼広島県は4.71人
▼宮城県は4.67人
▼徳島県は4.57人
▼山口県は4.55人
▼香川県は4.47人
▼滋賀県は4.3人
▼青森県は4.22人
▼大分県は4.14人
▼新潟県は4.14人
▼愛媛県は4.13人
▼富山県は4.02人
▼栃木県は3.96人
▼群馬県は3.85人
▼山形県は3.72人
▼福井県は3.72人
▼岡山県は3.68人
▼島根県は3.42人
▼秋田県は3.1人
東京女子医大 元理事長を逮捕 背任の疑い 医大の名門でなぜ?
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