20年ねんぶりの新しん紙幣しへいきょう発行はっこう 午前ごぜん中ちゅうに手てにできる金融きんゆう機関きかんも

新あらたな紙幣しへいは一いち万まん円えん札さつが「近代きんだい日本にっぽん経済けいざいの父ちち」と呼よばれる渋沢しぶさわ栄一えいいち、五ご千せん円えん札さつは日本にっぽんで最初さいしょの女子じょし留学生りゅうがくせいとしてアメリカで学まなんだ津田つだ梅子うめこ、千せん円えん札さつは破傷風はしょうふうの治療ちりょう法ほうを開発かいはつした細菌さいきん学者がくしゃの北里きたざと柴しば三郎さぶろうの肖像しょうぞうがデザインされます。

紙幣しへいのデザインの変更へんこうは、今いまの紙幣しへいが発行はっこうされた2004年ねん以来いらい、20年ねんぶりです。

新しん紙幣しへい どこで受け取うけとれる？

りそなグループのうち、埼玉さいたまりそな銀行ぎんこうは初日しょにちから約やく100店舗てんぽの窓口まどぐちや両替りょうがえ機きで、新しん紙幣しへいの出金しゅっきんや両替りょうがえが可能かのうだとしていて、早はやければ午前ごぜん中ちゅうに新しん紙幣しへいを手てにすることができるとしています。

渋沢しぶさわ栄一えいいちの出身しゅっしん地ちが埼玉さいたま県けん深谷ふかや市しであることから、地域ちいきを盛り上もりあげるための対応たいおうだとしていますが、各かく店舗てんぽで紙幣しへいの数かずには限かぎりがあるとしています。

▽三菱みつびしUFJ銀行ぎんこう、三井みつい住友すみとも銀行ぎんこう、みずほ銀行ぎんこうは、初日しょにちは混乱こんらんを避さけるため、新しん紙幣しへいを取り扱とりあつかう店舗てんぽはごく一部いちぶにとどめるとしています。

また、ATMについても、みずほ銀行ぎんこうが初日しょにちは新しん紙幣しへいの充じゅうてんよりも窓口まどぐちでの対応たいおうを優先ゆうせんさせることを決きめているほか、三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうと三井みつい住友すみとも銀行ぎんこうもATMへの充じゅうてんを積極せっきょく的てきには行おこなわない方針ほうしんです。

3行こうは、4日にち以降いこうは順次じゅんじ、全ぜん店舗てんぽで新しん紙幣しへいの取り扱とりあつかいを始はじめるほか、ATMへの充じゅうてんも進すすめるとしています。

また、ATMを全国ぜんこくに2万まん7000台だい以上いじょう設置せっちしているセブン銀行ぎんこうも、初日しょにちは試験しけん的てきに一部いちぶのATMに新しん紙幣しへいを充じゅうてんしますが、当面とうめんは旧きゅう紙幣しへいの数かずが多おおい状態じょうたいが続つづきそうだとしています。

《発行はっこう前日ぜんじつ 2日にちの各地かくちの動うごきは》

信用金庫しんようきんこでも準備じゅんび進すすむ

東京とうきょう 北きた区くは渋沢しぶさわ栄一えいいちが邸宅ていたくを構かまえたゆかりの地ちで、この地域ちいきに店舗てんぽがある城北じょうほく信用金庫しんようきんこでは5月つきに王子おうじ銀座ぎんざ出張しゅっちょう所しょをリニューアルし、通称つうしょう「しぶさわくん支店してん」と名付なづけ、7月つき3日にちに向むけた準備じゅんびを進すすめています。

店内てんないには「あと1日にち」と書かかれたボードが掲かかげられ、職員しょくいんらが新しん札さつの発行はっこうを知しらせるポスターを壁かべにかけたり、キャラクターのグッズを並ならべたりしていました。

同どう信用金庫しんようきんこの溝口みぞぐち珠希たまきさんは「やっとこの日ひが来きたか、という感かんじです。あすを一番いちばんに盛り上もりあげ、地域ちいきと一緒いっしょに新しん紙幣しへいの発行はっこうを祝いわいたいです」と話はなしていました。

対応たいおうが間に合まにあった飲食いんしょく店てん

横浜よこはま市し神奈川かながわ区くにあるラーメン店てんでは2日にち昼ひるすぎ、券売けんばい機きを取り扱とりあつかっている企業きぎょうの担当たんとう者しゃが訪おとずれ、店内てんないの券売けんばい機き1台だいを更新こうしんする作業さぎょうを行おこないました。

この店みせでは支払しはらい方法ほうほうは現金げんきんのみで、新しん紙幣しへいの発行はっこうに備そなえようと3月つき中旬ちゅうじゅんに券売けんばい機きの更新こうしんを発注はっちゅうしていましたが、企業きぎょう側がわが多おおくの依頼いらいを受うけていて、注文ちゅうもんから3か月かげつあまりたった7月つき2日にち、更新こうしんが完了かんりょうしました。

中島なかじま正ただし昭あきら代表だいひょうは「ギリギリでしたが、なんとか間に合まにあって安心あんしんしています。昼ひるどきに両替りょうがえとなると大変たいへんなこともあるので、迷惑めいわくをかけることなく、スピーディーに対応たいおうできるようになってよかったです」と話はなしていました。

各かく業界ぎょうかいの対応たいおう状況じょうきょうは

新しん紙幣しへいへの対応たいおう状況じょうきょうは、業界ぎょうかいによってばらつきが出でています。

財務省ざいむしょうが5月つきにメーカーの業界ぎょうかい団体だんたいに行いった聞き取ききとり調査ちょうさでは、新しん紙幣しへいの発行はっこう開始かいしまでに、大手おおてコンビニ・スーパーのレジは8割わりから9割わり程度ていど、鉄道てつどうの券売けんばい機きは8割わりから9割わり程度ていどで更新こうしんが進すすむほか、路線ろせんバスの料金りょうきん箱ばこなどでは6割わりから7割わり程度ていどで更新こうしんが完了かんりょうする見通みとおしです。

一方いっぽう、コインパーキングなどの自動じどう精算せいさん機きや、飲食いんしょく店てんの食券しょっけんなど券売けんばい機きは5割わり程度ていどにとどまるとみられるということです。

JR各社かくしゃは

鉄道てつどうのうち、JR各社かくしゃの対応たいおう状況じょうきょうです。

JR東日本ひがしにっぽん

管内かんないの券売けんばい機き約やく4000台だいについて、新しん紙幣しへい対応たいおうのための更新こうしん作業さぎょうなどをすべて終おえたということです。3日にち以降いこう、どの券売けんばい機きでも新しん紙幣しへいは利用りようできるとしています。

JR東海とうかい

管内かんないの駅えきにある約やく700台だいの券売けんばい機き、それに乗り越のりこし分ぶんを支払しはらう自動じどう精算せいさん機きは対応たいおうを終おえたということです。「ICカード」に現金げんきんをチャージするための「入金にゅうきん機き」の一部いちぶでは更新こうしん作業さぎょうを続つづけるということですが、「入金にゅうきん機き」が設置せっちされた駅えきには必かならず「券売けんばい機き」があるため、利用りよう者しゃに支障ししょうはなく、券売けんばい機きを使つかってICカードに現金げんきんをチャージして欲ほしいと呼よびかけています。

JR北海道ほっかいどう

券売けんばい機きを設置せっちしている114駅えきのうち、69駅えきは対応たいおうを終おえましたが、19の無人むじん駅えきはいずれも対応たいおうは完了かんりょうしていないということです。また「簡易かんい券売けんばい機き」も、すべてで対応たいおうは完了かんりょうしていないということです。

JR西日本にしにほん

駅員えきいんのいる駅えきでは少すくなくとも1台だいは新しん紙幣しへいに対応たいおうできるようにしたとしています。一方いっぽう、無人むじん駅えきの券売けんばい機きについては、今年度こんねんど中ちゅうに更新こうしん作業さぎょうを進すすめるとしています。

JR四国しこく

四国しこく4県けんにある108駅えきのうち、91駅えきで対応たいおうが完了かんりょうしたということです。残のこりの駅えきの対応たいおうは未定みていです。ただ、ワンマン車両しゃりょう内ないで運賃うんちんを払はらう両替りょうがえ機きについては、今年度こんねんど中ちゅうには対応たいおうを終おえる見通みとおしです。

JR九州きゅうしゅう

管内かんないの駅えきにある約やく600台だいの券売けんばい機きの半数はんすうほどで、改修かいしゅうを終おえたということです。来年らいねん12月つきごろまでに、全ぜん券売けんばい機きで対応たいおうを完了かんりょうする予定よていです。新しん紙幣しへいが使つかえない駅えきでは、降車こうしゃ駅えきで運賃うんちんを支払しはらってもらうなどの対応たいおうを促うながすということです。

バス会社かいしゃ 対応たいおう間に合まにあわないケース相次あいつぐ

路線ろせんバスを運行うんこうするバス会社かいしゃでも、運賃うんちん箱ばこや両替りょうがえ機きの更新こうしん作業さぎょうが進すすめられていますが、納入のうにゅうの遅おくれや更新こうしん費用ひようの負担ふたんから、間に合まにあわないケースが相次あいついでいます。

北海道中央バスほっかいどうちゅうおうばすは、保有ほゆうする900台だいのバスについて運賃うんちん箱ばこの部品ぶひんが確保かくほでき次第しだい、順次じゅんじ、更新こうしん作業さぎょうを進すすめるとしています。

西日本にしにほん鉄道てつどう（福岡ふくおか市し）ではグループ全体ぜんたいで約やく2400台だいのバスを保有ほゆうしていますが、来月らいげつ下旬げじゅんから更新こうしん作業さぎょうを始はじめる予定よていです。現金げんきんが使つかわれる頻度ひんどの高たかい路線ろせんから入れ替いれかえを進すすめ、2026年ねん3月つき末まつまでに完了かんりょうさせる計画けいかくです。

熊本くまもと県内けんないを走はしる一部いちぶのバスはまだ対応たいおうしておらず、今後こんご更新こうしんを進すすめることにしています。

熊本くまもと都市としバスでは、担当たんとう者しゃが新あたらしい紙幣しへいが使つかえないことを示しめすステッカーを運賃うんちん箱ばこに貼はったり、ポスターを掲示けいじしたりする作業さぎょうを行おこないました。

九州きゅうしゅう産さん交バスと産さん交バスでは一部いちぶの高速こうそくバスをのぞき、全ぜん路線ろせんバスで新あたらしい紙幣しへいに対応たいおうしています。

熊本くまもとバスは来月らいげつから順次じゅんじ更新こうしんし、熊本くまもと電鉄でんてつは年内ねんないをめどに更新こうしんする予定よていだということです。

更新こうしんを見送みおくる会社かいしゃも

全国ぜんこくの中小ちゅうしょうのバス会社かいしゃでは費用ひようの負担ふたんが重おもいとして、当面とうめん運賃うんちん箱ばこなどの更新こうしんを見送みおくるところもあります。

業界ぎょうかい団体だんたいによりますと、運賃うんちん箱ばこなどの入れ替いれかえには1台だい100万まん円えんから200万まん円えんほどの費用ひようがかかるといいます。

バス会社かいしゃでは、乗車じょうしゃの際さいに旧きゅう紙幣しへいを準備じゅんびしておくことや、キャッシュレスで決済けっさいできるICカードに現金げんきんをあらかじめチャージしておくよう呼よびかけているケースもあります。

最先端さいせんたんのホログラム技術ぎじゅつ導入どうにゅう

今回こんかいの紙幣しへいのデザイン変更へんこうは偽造ぎぞう防止ぼうしの強化きょうかや、誰だれでも利用りようしやすい「ユニバーサルデザイン」の導入どうにゅうが主おもな目的もくてきです。

偽造ぎぞう防止ぼうしという点てんでは、最先端さいせんたんのホログラム技術ぎじゅつを導入どうにゅうしました。

斜ななめに傾かたむけると画像がぞうが立体りったい的てきに動うごいて見みえる仕組しくみとなっていて、傾かたむけ方かたによって肖像しょうぞうの顔かおが左右さゆうに向むきを変かえたり、額面がくめんの数字すうじの色合いろあいが変化へんかしたりします。

国立こくりつ印刷いんさつ局きょくによりますと、この技術ぎじゅつをお札おさつに採用さいようするのは世界せかいで初はじめてだということです。また、「すかし」には肖像しょうぞうの背景はいけいに緻密ちみつな線せんで構成こうせいした模様もようが施ほどこされています。

ユニバーサルデザインという点てんでは、日本にっぽんの紙幣しへいになじみの薄うすい外国がいこく人じんなども利用りようしやすいよう、額面がくめんの表記ひょうきを漢字かんじよりも数字すうじを大おおきく目立めだつようにしています。

また、目めの不自由ふじゆうな人ひとでも指ゆびで触さわって紙幣しへいの種類しゅるいが分わかるよう、凹凸おうとつのある11本ほんの斜線しゃせん＝斜ななめの線せんを印刷いんさつしています。一いち万まん円えん札さつは左右さゆうの中央ちゅうおう、五ご千せん円えん札さつは上下じょうげの中央ちゅうおう、千せん円えん札さつは右上みぎうえと左下ひだりしたにあります。

約やく2年ねん前まえから印刷いんさつ開始かいし

新しん紙幣しへいの発行はっこうに向むけて、政府せいふ・日銀にちぎんは約やく2年ねん前まえから本格ほんかく的てきな印刷いんさつを始はじめるなど、準備じゅんびを進すすめてきました。

日銀にちぎんは6月末げつまつ時点じてんで一いち万まん円えん札さつを29億おく枚まい、五ご千せん円えん札さつを3億おく枚まい、千せん円えん札さつを20億おく枚まいのあわせて52億おく枚まいを準備じゅんびしています。

来年らいねん3月つきまでにはさらに22億おく8000万まん枚まい準備じゅんびし、現在げんざい発行はっこうされている紙幣しへいの46％にあたる74億おく8000万まん枚まいとする計画けいかくです。

日銀にちぎんによりますと、20年ねん前まえの前回ぜんかいの新しん紙幣しへいの発行はっこうの際さいには、1年間ねんかんで6割わり程度ていどが新あらたな紙幣しへいに切り替きりかわったということです。

専門せんもん家か「紙幣しへいの信用しんよう力りょく 保たもっていくことが必要ひつよう」

ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょの上野うえの剛志たけし上席じょうせきエコノミストは、「一番いちばん大おおきな意義いぎは紙幣しへいの偽造ぎぞう防止ぼうしだと思おもう。技術ぎじゅつが進歩しんぽすると、紙幣しへいの偽造ぎぞう技術ぎじゅつも進歩しんぽしていくので偽札にせさつが出でやすくなってしまう。偽造ぎぞうを防ふせいで紙幣しへいの信用しんよう力りょくを保たもっていくことが必要ひつようだ」と指摘してきします。

そのうえで「キャッシュレス化かはどんどん進行しんこうしていくとみているが、適応てきおうできない人ひともいるほか、大だい規模きぼな災害さいがいやシステム障害しょうがいなどのときは使つかえなくなる可能かのう性せいがある。現金げんきんの需要じゅよう、紙幣しへいの需要じゅようがゼロにはならない以上いじょうは、新あたらしい紙幣しへいの発行はっこうが必要ひつようになってくる」と話はなしています。

また、事業じぎょう者しゃの中なかで対応たいおうが間に合まにあわないケースが相次あいついでいることについては「直前ちょくぜんに需要じゅようが殺到さっとうし、メーカーが対応たいおうできない事態じたいを避さけるためにも、政府せいふが主導しゅどうしてより計画けいかく的てきに切り替きりかえを促うながす取り組とりくみが必要ひつようだった。早はやめに切り替きりかえると一定いってい程度ていどの補助ほじょ金きんを出だす措置そちがもしあれば、円滑えんかつな切り替きりかえと負担ふたんの軽減けいげんにもなったと思おもう。公共こうきょう交通こうつう機関きかんでの対応たいおうが進すすんでいるかどうかを行政ぎょうせいがチェックする体制たいせいも、これから先せん必要ひつようになってくるのではないか」と指摘してきしています。

鈴木すずき財務ざいむ大臣だいじん「ニーズに応おうじて紙幣しへいを供給きょうきゅうしていくことが重要じゅうよう」

鈴木すずき財務ざいむ大臣だいじんは3日にちの閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで、「キャッシュレス化かの進展しんてんは見みられるが、紙幣しへいは今いまも主要しゅような支払しはらい方法ほうほうとして利用りようされている。災害さいがい発生はっせい時じやキャッシュレスの利用りようが困難こんなんな人ひとのための決済けっさい手段しゅだんとして必要ひつようだ。ニーズに応おうじて紙幣しへいを供給きょうきゅうしていくことが重要じゅうようだ」と述のべ、発行はっこうの意義いぎを強調きょうちょうしました。

一方いっぽうで、券売けんばい機きや自動じどう販売はんばい機きなどで新しん紙幣しへいに対応たいおうするための作業さぎょうが続つづいていることについては、「民間みんかん事業じぎょう者しゃに負担ふたんが生しょうじているのは承知しょうちしている。一方いっぽうで、偽造ぎぞうに対にたいする抵抗ていこう力りょくを強化きょうかし、経済けいざい的てき損失そんしつを未然みぜんに防ふせぐことや安全あんぜんな取引とりひきを確保かくほするなどメリットについてもご理解りかいいただきたい」と述のべました。