アメリカのトランプ政権は、USAID=アメリカ国際開発庁による対外援助を一時停止したうえ、8割の事業を正式にやめることを明らかにするなど、国外への援助を大幅に削減する方針です。
17日、スイスで記者会見したWHOのテドロス事務局長は「削減の影響は深刻で、すでにその兆候が見られる」と述べ、感染症対策の現場で深刻な問題が起きていると指摘しました。
なかでも、アフリカを中心に毎年多くの死者が出ているエイズ対策をめぐっては、各国で治療薬が不足しつつあり、このままではことしのエイズ関連の死者数は300万人と、去年の3倍以上になるという推計を明らかにしました。
また、マラリア対策においても、ウイルスを媒介する蚊を防ぐ蚊帳の供給停止などによって、ことしの死者数がおよそ10万人増えるおそれがあるとして、「これまでの歩みに逆行するものだ」と懸念を示しました。
そのうえで、「アメリカは各国への援助を打ち切る場合、代わりとなる資金源を見つけられるよう、人道的な方法をとる責任がある」と述べ、アメリカに対し、削減方針の見直しを求めました。