ＣＯＰ25開幕かいまく 温室おんしつ効果こうかガス削減さくげんへ対策たいさく強化きょうかの機運きうん高たかまるか

開幕かいまくを前まえに、グテーレス事務じむ総長そうちょうが現地げんちで記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、自然しぜん災害さいがいの頻度ひんどが増まし、人的じんてき、経済けいざい的てきな被害ひがいが大おおきくなっているとして「気候きこう変動へんどうは長期ちょうき的てきな問題もんだいではない。今いままさに私わたしたちは危機ききに直面ちょくめんしている」と指摘してきしました。

そのうえで「各国かっこくの今いまのままの努力どりょくでは不十分ふじゅうぶんなのは明あきらかだ。足たりないのは政治せいじ的てきな意思いしだ。会議かいぎでは、各国かっこくに責任せきにん感かんとリーダーシップを見みせてもらいたい。約束やくそくを引き上ひきあげるような明確めいかくな行動こうどうを期待きたいしている」と述のべ、温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげん目標もくひょうを引き上ひきあげるなど具体ぐたい的てきな対策たいさくの強化きょうかを表明ひょうめいするよう求もとめました。

会議かいぎでは、地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくの国際こくさい的てきな枠組わくぐみ「パリ協定きょうてい」が来年らいねんから始はじまるのを前まえに、実施じっしに必要ひつようなルールのうち協議きょうぎが続つづいている一部いちぶについて合意ごういを目指めざすことになります。

また、開幕かいまくに先立さきだち世界せかい全体ぜんたいの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうは増ふえ続つづけていることが明あきらかになったほか、世界せかい第だい２に位いの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ国こく、アメリカがパリ協定きょうていからの離脱りだつを正式せいしきに通告つうこくしたことによる影響えいきょうも懸念けねんされていて、温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんに向むけて対策たいさくを強化きょうかする機運きうんが高たかまるかが焦点しょうてんとなります。

「ＣＯＰ25」は今月こんげつ13日にちまで開ひらかれ、日本にっぽんからは小泉こいずみ環境かんきょう大臣だいじんが出席しゅっせきする予定よていのほかスウェーデンの16歳さい、グレタ・トゥーンベリさんも参加さんかすることになっています。

1.5度どへの機運きうんは

今回こんかいのＣＯＰでは、各国かっこくが温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげん目標もくひょうを引き上ひきあげる機運きうんが高たかまるかが焦点しょうてんの一ひとつとなります。

その際さいにポイントとなるのが「1.5度ど」という数字すうじです。

去年きょねん10月つき、世界せかいの科学かがく者しゃなどでつくる国連こくれんのＩＰＣＣあいぴ-し-し-＝「気候きこう変動へんどうに関にかんする政府せいふ間かんパネル」が特別とくべつ報告ほうこく書しょを発表はっぴょうし「世界せかいの平均へいきん気温きおんは2017年ねん時点じてんで産業さんぎょう革命かくめい前まえに比くらべておよそ１いち度ど上昇じょうしょうしている。今いまのままでは、早はやければ2030年ねんには1.5度ど上昇じょうしょうし、異常いじょう気象きしょうがさらに増加ぞうかする」と予測よそくしました。

それでも「２に度ど上昇じょうしょうした場合ばあいと比くらべれば生態せいたい系けいへの影響えいきょうはかなり低ひくい」としたうえで、各国かっこくがいま掲かかげている目標もくひょうでは、世界せかいの平均へいきん気温きおんはおよそ３さん度ど上昇じょうしょうしてしまうと指摘してきしたのです。

日本にっぽんを含ふくむ世界せかい各地かくちで、洪水こうずいや高潮こうちょう、猛暑もうしょなど地球ちきゅう温暖おんだん化かが影響えいきょうしているとみられる災害さいがいが相次あいつぐなか、この予測よそくは関係かんけい者しゃの危機きき感かんを強つよめ、温暖おんだん化かをせめて1.5度どに抑おさえることが、世界せかい的てきに意識いしきされるようになりました。

国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは、ことし９月くがつ、国連こくれん総会そうかいに合あわせて温暖おんだん化か対策たいさくサミットを開ひらき、これまでの対策たいさくを上回うわまわる具体ぐたい策さくを提示ていじするよう各国かっこくに求もとめました。

国連こくれんによると、これまでにフランスやドイツなど70近ちかい国くにが2050年ねんまでに温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを実質じっしつゼロにすることを約束やくそくするなど、対策たいさくを強化きょうかする動うごきが広ひろがっているということです。

一方いっぽうで、日本にっぽんや中国ちゅうごく、インドといった主要しゅような排出はいしゅつ国こくは2050年ねんまでに排出はいしゅつ量りょうを実質じっしつゼロにすることを約束やくそくしていないなど温度おんど差さがあるほか、アメリカのパリ協定きょうてい離脱りだつによる影響えいきょうも懸念けねんされています。

合意ごうい済ずみのルールと残のこる課題かだい

「パリ協定きょうてい」を実施じっしするために必要ひつようなルールは、多おおくが去年きょねん、ポーランドで開ひらかれたＣＯＰ24で採択さいたくされました。

途上とじょう国こくを含ふくむ、すべての国くにが温室おんしつ効果こうかガス削減さくげんの実施じっし状況じょうきょうを詳くわしく報告ほうこくし、専門せんもん家かが２に年ねんに１いち度ど、検証けんしょうする方法ほうほうが決きまったほか、５ご年ねんごとに国連こくれんに提出ていしゅつする削減さくげん目標もくひょうは、削減さくげんするガスの種類しゅるいや具体ぐたい的てきな計画けいかくに加くわえて、その国くにの実情じつじょうに照てらして適正てきせいで十分じゅうぶん高たかい目標もくひょうといえるのか、その根拠こんきょなども詳くわしく示しめすことになりました。

また、途上とじょう国こくに行おこなう資金しきん支援しえんでは、対象たいしょうとなる国くにや支援しえんの程度ていど、目的もくてきなどを可能かのうな範囲はんいで国連こくれんの事務じむ局きょくに２に年ねんに１いち度ど、報告ほうこくすることが先進せんしん国こくに義務ぎむづけられ、その内容ないようを専門せんもん家かが検証けんしょうします。

そして、各国かっこくが状況じょうきょうを定期ていき的てきに確認かくにんして５ご年ねんごとに目標もくひょうを引き上ひきあげ、温暖おんだん化か対策たいさくを段階だんかい的てきに強化きょうかする道筋みちすじが明確めいかく化かされました。

一方いっぽうで、合意ごういに至いたらなかった点てんも残のこされています。

他国たこくへの技術ぎじゅつ支援しえんなどで削減さくげんできた温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを、自国じこくの削減さくげん分ぶんとして計算けいさんする仕組しくみや、その際さいにダブルカウントを避さけるためのルールなどです。

今回こんかいのＣＯＰ25では、こうした残のこされた項目こうもくについて合意ごういに至いたることができるのかが、もう一ひとつの焦点しょうてんとなります。

パリ協定きょうていとは

「パリ協定きょうてい」は、地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくの国際こくさい的てきな枠組わくぐみで、来年らいねんから本格ほんかく的てきに動き出うごきだすことになっています。

４よん年ねん前まえの2015年ねんにフランスのパリで開ひらかれた「ＣＯＰ21」で採択さいたくされ、翌年よくねん11月つきに発効はっこう。およそ180の国くにと地域ちいきが批准ひじゅんしています。

世界せかいの平均へいきん気温きおんの上昇じょうしょうを産業さんぎょう革命かくめい前まえに比くらべ２に度ど未満みまんに保たもつとともに、1.5度どに抑おさえる努力どりょくをすることや、世界せかい全体ぜんたいの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを今世紀こんせいき後半こうはんに実質じっしつ的てきにゼロにすることを目標もくひょうに掲かかげています。

先進せんしん国こくだけに排出はいしゅつ削減さくげんを義務ぎむづけた「京都きょうと議定ぎてい書しょ」とは異ことなり、発展はってん途上とじょう国こくを含ふくむ、すべての国くにが削減さくげんに取り組とりくむことを定さだめています。

来年らいねん以降いこう、各国かっこくは５ご年ねんごとに削減さくげん目標もくひょうを国連こくれんに提出ていしゅつし、取り組とりくみの状況じょうきょうを報告ほうこくすることが義務ぎむづけられています。

専門せんもん家か「日本にっぽんは最大限さいだいげんの努力どりょくを示しめす必要ひつよう」

「ＣＯＰ25」について地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくに詳くわしい専門せんもん家かは、日本にっぽんが会議かいぎで役割やくわりを果はたすには、温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんに向むけて最大限さいだいげんの努力どりょくをしていると示しめすことが必要ひつようだと指摘してきしています。

温暖おんだん化か対策たいさくの国際こくさい交渉こうしょうに詳くわしい東京とうきょう大学だいがくの高村たかむらゆかり教授きょうじゅは「ＣＯＰ25」の焦点しょうてんについて、世界せかい各地かくちで気候きこう変動へんどうが一因いちいんと考かんがえられる自然しぜん災害さいがいが続つづき危機きき感かんが高たかまるなか、今回こんかいの会議かいぎが開ひらかれることから「各国かっこくの目標もくひょうの見直みなおしや引き上ひきあげに向むけて機運きうんを高たかめること、そのために何なんらかの合意ごういをすることが期待きたいされている」と話はなしています。

そして、「日本にっぽんは長期ちょうき戦略せんりゃくの中なかで、今世紀こんせいき後半こうはんのできるだけ早はやい時期じきに脱だつ炭素たんそ社会しゃかいの実現じつげんを目指めざすとしている。その目標もくひょうに向むけて“2050年ねん排出はいしゅつゼロ”に相当そうとうする努力どりょくをしていると示しめすことが、世界せかいの期待きたいに応こたえることになると思おもう」として、日本にっぽんが会議かいぎで役割やくわりを果はたすためには、最大限さいだいげんの努力どりょくをしていると示しめすことが必要ひつようだと指摘してきしました。

一方いっぽうで、石炭せきたん火力かりょく発電はつでん所しょを利用りようし続つづける日本にっぽんに対にたいして、国際こくさい的てきな批判ひはんが高たかまっていることについて「脱だつ炭素たんそ社会しゃかいを目指めざすなかで石炭せきたん火力かりょく発電はつでん所しょをどうしていくのか、長期ちょうき的てきな方針ほうしんや計画けいかくが見みえてこない。どう減へらしていくのかを国際こくさい社会しゃかいに示しめす必要ひつようがある」と話はなしていました。