サウナを安全あんぜんに楽たのしむために 「ヒートショック」を防ふせぐ研究けんきゅう

サウナを安全あんぜんに楽たのしむための研究けんきゅう

先月せんげつ、鳥取とっとり県けんで開ひらかれた、その名なも「日本にっぽんサウナ学会がっかい」。サウナによる健康けんこう増進ぞうしんや適切てきせつな利用りようの普及ふきゅうを目指めざそうと、4年ねん前まえに発足ほっそくしました。

高校生こうこうせいから研究けんきゅう者しゃまで、さまざまな立場たちばのサウナ好すきが集あつまっています。

八戸はちのへ工業こうぎょう高等こうとう専門せんもん学校がっこうの古川ふるかわ琢磨たくま准じゅん教授きょうじゅは、サウナを安全あんぜんに楽たのしむための研究けんきゅうに取り組とりくんでいます。伝つて熱ねつ工学こうがくという、熱ねつの伝つたわり方かたを専門せんもん分野ぶんやとする古川ふるかわさんは、ヒートショックの発生はっせいを事前じぜんに予測よそくし、伝つたえることを目指めざしています。

熱あついサウナと冷つめたい水風呂みずぶろ。双方そうほうを行き来いききすると心身しんしんがリラックスするなどの効果こうかがあるとされています。一方いっぽうで、急激きゅうげきな温度おんど差さによる血圧けつあつの変化へんかで「ヒートショック」が起おこり、脳卒中のうそっちゅうや心筋しんきん梗塞こうそくの危険きけん性せいが高たかまる可能かのう性せいもあります。

最近さいきんのサウナブームの中なかで、ヒートショックのリスクについて警鐘けいしょうを鳴ならすべきではないか。古川ふるかわさんは対策たいさくを立たてたいと考かんがえています。

八戸はちのへ工業こうぎょう高等こうとう専門せんもん学校がっこう 古川ふるかわ琢磨たくま准じゅん教授きょうじゅ

「”ととのい”を求もとめるということで、高温こうおんのサウナ室しつだったり、すごく冷つめたい水風呂みずぶろに入はいるような方向ほうこうにいっているんですけど、その環境かんきょうだと、その一方いっぽうでヒートショックが起おこりやすい状況じょうきょうにもある。やる価値かちがありそうだなと思おもって研究けんきゅうを始はじめた」

ヒートショック 事前じぜんに気きづけるしくみを

目指めざしているのは、腕うで時計とけい型がたの端末たんまつで皮膚ひふの表面ひょうめん温度おんどを測はかるだけで、ヒートショックの危険きけん性せいに事前じぜんに気きづけるしくみをつくることです。

古川ふるかわさんは、皮膚ひふの表面ひょうめん温度おんどと、体からだの内部ないぶとの温度おんど差さが、ヒートショックの原因げんいんとなると考かんがえています。このため現在げんざいは「皮膚ひふ」と「体内たいない」の温度おんど変化へんかのデータを集あつめています。

「では入はいって下ください」。

この日ひは、実際じっさいに使つかわれているサウナ室しつや水風呂みずぶろを使つかった実験じっけんが行おこなわれました。

実験じっけんの結果けっかを示しめしたグラフです。青あおい線せんが皮膚ひふの温度おんど。赤あかい線せんが体内たいないの温度おんどの変化へんかを示しめしています。

皮膚ひふに比くらべて、体内たいないは温度おんどが遅おくれて上昇じょうしょうしていることがわかります。双方そうほうの温度おんど変化へんかに差さがあることが実験じっけんで確認かくにんされました。

この結果けっかを活用かつようすることで、皮膚ひふの温度おんどから体内たいないの温度おんどを推測すいそくできる可能かのう性せいがあるということです。

さらに、この実験じっけん結果けっかに、血圧けつあつの変動へんどうを関連付かんれんづけることで、ヒートショックを事前じぜんに予測よそくするしくみを開発かいはつできるとして、医師いしとの共同きょうどう研究けんきゅうを目指めざしています。

八戸はちのへ工業こうぎょう高等こうとう専門せんもん学校がっこう 古川ふるかわ琢磨たくま准じゅん教授きょうじゅ

「サウナ温ゆたか冷ひや交代こうたい浴よくだけじゃなくて、高齢こうれい者しゃの方ほうが暖あたたかい居間いまから冷つめたいお手洗てあらいの時とき、移動いどうする時ときにもヒートショックが起おこりやすいと言いわれているので、そういうのも予防よぼうするための指針ししんを作つくるための研究けんきゅうにはなるかなと考かんがえています」

いますぐできる サウナでのヒートショック対策たいさくは

このしくみが実用じつよう化かされるにはまだ時間じかんがかかるということで、いますぐにできる、サウナにおけるヒートショック対策たいさくを見みておきたいと思おもいます。

日本にっぽんサウナ学会がっかいの代表だいひょう理事りじで、医師いしの加藤かとう容ひろし崇たかしさんに話はなしを聞ききました。

まず、冬ふゆは水風呂みずぶろの水温すいおんが下さがるので、特とくに注意ちゅういが必要ひつようということです。冷つめたい水みずにつかると血圧けつあつが上あがり、ヒートショックが起おこりやすくなります。

水風呂みずぶろに入はいる代かわりに、温度おんど調節ちょうせつ可能かのうな水みずのシャワーで汗あせを流ながすことや、入はいる場合ばあいも、水温すいおんが17度ど以上いじょうの冷つめたすぎないものを選えらぶこと、それに、少すこしずつ体からだを慣ならしてから入はいることなどが大切たいせつだということです。

無理むりをせず、自分じぶんの体調たいちょうと相談そうだんしながら楽たのしんでいきたいですね。