大阪納骨堂訴訟最高裁“住民に裁判争う資格” 1審やり直しへ - Easy News

大阪おおさか淀川よどがわ区くの住宅じゅうたく地ちに建設けんせつされたビル型がたの納骨のうこつ堂どうについて、近隣きんりんの住民じゅうみんなどが「生活せいかつ環境かんきょうを著いちじるしく損そこなうおそれがある」と主張しゅちょうして大阪おおさか市しが出だした経営けいえい許可きょかを取り消とりけすよう求もとめた裁判さいばんで、最高さいこう裁判所さいばんしょは住民じゅうみんには裁判さいばんで争あらそう資格しかくがあると認みとめ、1審しんで審理しんりをやり直やりなおすよう命めいじました。

大阪おおさか淀川よどがわ区くの住宅じゅうたく地ちに門真かどま市しの宗教しゅうきょう法人ほうじんが建設けんせつした6階かい建だての納骨のうこつ堂どうについて、反対はんたいする近隣きんりん住民じゅうみんなどは6年ねん前まえ、大阪おおさか市しが出だした経営けいえい許可きょかを取り消とりけすよう求もとめる訴うったえを起おこしました。

1審しんは納骨のうこつ堂どうの経営けいえい許可きょかに関にかんする市しの規定きていについて「住民じゅうみんの個別こべつの利益りえきを保護ほごするためのものではない」として、住民じゅうみんには裁判さいばんで争あらそう資格しかくがないと判断はんだんし、訴うったえを退しりぞけました。

一方いっぽう、2審しんは裁判さいばんで争あらそう資格しかくがあると認みとめたため、大阪おおさか市しが上告じょうこくしていました。

9日にちの判決はんけつで、最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい3小しょう法廷ほうていの林道りんどう晴はれ裁判さいばん長ちょうは、市しの規定きていについて「学校がっこうや住宅じゅうたくから300メートル以内いないでの納骨のうこつ堂どうの経営けいえいは、生活せいかつ環境かんきょうを損そこなうおそれがあるとして原則げんそく禁止きんししていて、この範囲はんいに住すむ人ひとたちが平穏へいおんに日常にちじょう生活せいかつを送おくる利益りえきを保護ほごしていると考かんがえられる」と指摘してきして、住民じゅうみんには裁判さいばんで争あらそう資格しかくがあると判断はんだんし、1審しんの大阪おおさか地裁ちさいで審理しんりをやり直やりなおすよう命めいじました。

こうした裁判さいばんではこれまで住民じゅうみんには争あらそう資格しかくがないとして、いわば「門前払もんぜんばらい」されるケースが多おおくありましたが、今回こんかいの判決はんけつは大阪おおさか市しの規定きていの内容ないようを踏ふまえ、住民じゅうみんが争あらそう権利けんりを認みとめました。

大阪おおさか市し「判決はんけつ文ぶん確認かくにんし対応たいおう」

大阪おおさか市しの横山よこやま市長しちょうは「判決はんけつ文ぶんを確認かくにんし、今後こんごの対応たいおうについては代理人だいりにん弁護士べんごしと相談そうだんの上うえ、対応たいおうしたい」とするコメントを出だしました。

近隣きんりん住民じゅうみんなどの代理人だいりにん弁護士べんごし「画期的かっきてきな判決はんけつ」

近隣きんりん住民じゅうみんなどの代理人だいりにんの豊永とよなが泰雄やすお弁護士べんごしは「ビル型がた納骨のうこつ堂どうの問題もんだいは全国ぜんこくでも起おきているが、その違法いほう性せいを周辺しゅうへん住民じゅうみんが争あらそうための扉とびらを最高裁さいこうさいが大おおきく開ひらいた画期的かっきてきな判決はんけつだ」とするコメントを出だしました。

“訴訟そしょうの入り口いりくちの判断はんだんに数すう年ねん単位たんい望のぞましくない” と意見いけんも

9日にちの最高裁さいこうさいの判決はんけつは、5人にんの裁判官さいばんかん全員ぜんいん一致いっちの結論けつろんでしたが、裁判官さいばんかん出身しゅっしんの林道りんどう晴はれ裁判官さいばんかんが補足ほそくする意見いけんを述のべたほか、学者がくしゃ出身しゅっしんの宇賀うが克也かつや裁判官さいばんかんが多数たすう意見いけんとは異ことなる理由りゆうで結論けつろんに賛成さんせいする意見いけんを述のべました。

このうち宇賀うが裁判官さいばんかんは、大阪おおさか市しの規定きていではなく、墓地ぼちや埋葬まいそうに関にかんする法律ほうりつ自体じたいが周辺しゅうへん住民じゅうみんの個別こべつの利益りえきを保護ほごするものだという考かんがえを示しめしました。

「最高裁さいこうさいは2000年ねんに、墓地ぼちや埋葬まいそうに関にかんする法律ほうりつの文言もんごんを形式けいしき的てきに解釈かいしゃくし、周辺しゅうへん住民じゅうみんには裁判さいばんを争あらそう資格しかくがないとする判決はんけつを言い渡いいわたしたが、この判例はんれいを変更へんこうせずに資格しかくの有無うむを判断はんだんするとその都度つど、条例じょうれいや規則きそくの規定きていに応おうじた解釈かいしゃくが必要ひつようになる。訴訟そしょうの入り口いりくちの判断はんだんだけのために数すう年ねん争あらそわれるという非ひ生産せいさん的てきな事態じたいは解消かいしょうされない」と指摘してきして、判例はんれいを変更へんこうすべきだとしています。

一方いっぽう、林はやし裁判官さいばんかんは「2004年ねんの行政ぎょうせい訴訟そしょう法ほうの改正かいせいで国民こくみんの権利けんりや利益りえきの救済きゅうさい範囲はんいを拡大かくだいする事項じこうが追加ついかされ、今回こんかいの原告げんこくのような人ひとたちが裁判さいばんを争あらそう資格しかくについてはより柔軟じゅうなんな判断はんだんが求もとめられることになった」として、判例はんれいを変更へんこうする必要ひつようはないとしています。

そのうえで、入り口いりくちの判断はんだんに数すう年ねん単位たんいを費ついやすことは望のぞましくないとする宇賀うが裁判官さいばんかんの意見いけんは「傾聴けいちょうに値あたいする」として、「裁判所さいばんしょは必要ひつような限度げんどを超こえた主張しゅちょう立証りっしょうが漫然まんぜんと継続けいぞくされることのないよう、十分じゅうぶんに留意りゅういすべきだ」と指摘してきしました。