およそ10分にわたる演説でプーチン大統領は「去年12月、われわれは安全保障に関するさまざまな提案を行ったが、すべてむだだった」とし、安全保障をめぐるロシアの提案が欧米各国に受け入れられなかったと批判しました。
そのうえでウクライナのゼレンスキー政権が核兵器を取得する可能性を明らかにしていたなどと、一方的に主張しました。
そして「われわれにとって受け入れがたい脅威が直接、国境に作り出されていた。アメリカやその同盟国が背後についたネオナチとの衝突は、避けられないものになっていた」と強調しました。
そして「NATOの加盟国から最新兵器が提供されるようすを目の当たりにし、危険は日増しに高まっていた。必要で、タイミングを得た、唯一の、正しい判断だった」と述べ、ウクライナを軍事支援する欧米の脅威を背景に軍事侵攻に踏み切ったと正当化しました。
一方、プーチン大統領は、一部で指摘されていたウクライナでの戦闘による具体的な成果や「戦争状態」の宣言については言及しませんでした。
そのうえで「私たちの土地に根を張ることができる占領者はいない。自由な国民を支配できる侵略者などいない。もうすぐわれわれは勝利する」と訴え、徹底抗戦する姿勢を改めて示しました。
そのうえで「戦いは長く続くかもしれないが最後にはわれわれが勝利する。これはウクライナだけでなく、民主主義を支持するすべての人たちにとっての勝利だ。もしもロシアが勝った場合、歴史や世界の地図を書き換えたい者たちにとって、侵略がその手段であるというメッセージを与えてしまう。それは許すことができない」と述べ徹底抗戦を続ける考えを強調し、そのためにも、日本を含めた世界各国からの支援が欠かせないと訴えました。
このうちスポーツ用品店に勤める33歳の男性は「ロシアでの式典には全く興味がありません。プーチンの発言はどうせ事実ではない。軍事侵攻はすぐに止めるべきで、ウクライナ軍のおかげでわれわれが勝つのは間違いない」と話していました。 また弁護士の23歳の女性は「ニュースを見るかぎり、演説では『戦争状態にある』という発言も、ロシア国民を大量動員するという発言もなかったようだが、これはプーチン自身も軍事作戦がうまくいっていないことを認めざるをえないからではないか」としたうえで「ロシアの軍事侵攻によって、逆にウクライナ国民はますます団結している」と話していました。
そして「プーチン大統領や側近たちにとって、勝利の日はない。あるのは不名誉だけで、確実にウクライナで敗北することになる」と強調しました。
この行進は、ロシアでは「不滅の連隊」と呼ばれ、市民が第2次世界大戦で戦った家族や親族の遺影を掲げながら行進する催しです。 10年前に地方都市の市民団体が始めたのをきっかけに、プーチン政権が愛国心を高めて国民の結束をアピールするイベントとして利用してきました。 ことし、モスクワでは日本時間の9日夜9時から始まり、郊外のスタジアムから中心部の赤の広場まで、およそ7キロにわたって大通りを行進する予定で、市当局によりますと100万人以上の参加を見込んでいるということです。 市民に混じってプーチン大統領も父親の遺影を掲げながら大通りを行進し、時折、市民に手を振ったり、笑顔を見せたりする様子も見られました。 また参加者の中には、ウクライナへの軍事侵攻に伴うロシア側の死者の遺影を掲げる人もいたということで、ロシアでは軍事侵攻の死者を「英雄」としてたたえようという動きもみられます。
オリハさんは「演説の内容はすべてうそばかりで、心が傷つけられて涙が込み上げてきました。多くの人が亡くなっている今の状況で軍事パレードをするのも信じられない」と強く批判しました。 そのうえで「母国の家族や友人、すべてのウクライナの人が無事でいてほしい。戦争がもっと激しくなる心配はもちろんありますが、戦争が早めに終わってほしいです」と話していました。 札幌市に住む、ウクライナ人のベロニカ・クラコワさん(27)は、ロシアのプーチン大統領が戦勝記念日の式典での演説でウクライナへの軍事侵攻を正当化したことについて「ロシアはとてもよいことをしているという、思ったとおりの内容だった。なぜ市民が爆撃されているのか本当にプロパガンダでしかない」と強く非難しました。 またウクライナに残り、戦闘に参加している父親について「私の父がいる場所は詳しく言えないが、今激しく爆撃されている。父からの返事がないとすごく不安だが信じるしかない」と話していました。 そしてウクライナから避難し、先月9日に来日した母親のナタリアさんについては「来日したときはすごく疲れていたが、ここ1か月で元気になった。もちろん早く帰りたいと言っているし父のことも心配している」と話していました。 モスクワ出身で京都市に住むナイフズ・イアンさんは自宅でプーチン大統領の演説を聞きました。ナイフズさんは「とてもつらいです。きょうは先の戦争で犠牲になった家族や友人のことを思うロシア人にとって大切な日です。演説の中で、プーチン大統領は今の軍事侵攻と先の戦争が同じことのように話していましたが、全く違うことだと思います。ロシア人をごまかそうとするプロパガンダだと思います」と複雑な心境を明かしました。 そのうえで「なぜモスクワがこんな状態になり、なぜ今ロシアが戦争をしているのか、演説を見ていてとてもつらい気持ちになりました。開戦の宣言をしなくてよかったですが、ロシア出身者として、どうやって戦争を止めらるか分からず、何もできない無力感があります」と話していました。 40代のロシア人男性は「想像していたよりも演説が短く、新しい情報が盛り込まれていなかったことが印象的だった。役に立つ情報しか出さない今の政権のやり方の1つだと感じた」と話しました。また、軍事パレードの様子について「私が子どものころ、『戦勝記念日』は戦争で亡くなった人を思い、静かに過ごす思い出の日だった。しかし今は祭りのような盛大な行事になってしまい、戦争に利用するためのものになってしまっている」と話していました。 日本に住む30代のロシア人の女性は「今までロシア人にとって5月9日はたくさんの人が命を落としたことや、戦後の大変な暮らしを思い出し戦争を終わらせてくれたおじいさんやおばあさんに感謝する記念日でした。けれど、きょうテレビで流れていたパレードはみんながうれしそうにしていて、違和感がありました。本来はうれしい記念日ではありません」と語りました。そのうえでロシアによる軍事侵攻について「最近はロシア国民が戦争に慣れてきてしまいよくないことだと思っている。早く終わってほしいがどうすればいいか全く分かりません」と話していました。
そのうえで、演説でマリウポリへの言及がなかったことについては「制圧出来ていないから触れなかったのではないか。『地元がなくなった』とか、『多くの人が亡くなった』ということばでは言い表せない悲しみや怒りがある。どれだけ被害者出れば、戦争が終わるのか、早く終わってほしい」と話していました。
ゼレンスキー大統領「自由な国民支配できる侵略者などいない」
ウクライナ外相「彼が見ているものは現実と一致していない」
キーウ市民「プーチン発言はどうせ事実ではない」
英 国防相「プーチン大統領は世界を威嚇しようとしている」
大戦で戦った家族などたたえる行進 プーチン大統領も参加
演説に対し日本国内からは
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