下したのグラフは、企業きぎょうどうしで取り引とりひきされる原材料げんざいりょうなどのモノの価格かかくを示しめす「企業きぎょう物価ぶっか指数しすう」と、私わたしたちが買かうモノやサービスの値動ねうごきを示しめす「消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすう」の伸のび率りつの推移すいいです。

原材料げんざいりょう費ひの上昇じょうしょうのほか、急速きゅうそくに進すすんだ円えん安やすによる輸入ゆにゅうコストの上昇じょうしょうも指数しすうを押し上おしあげました。

これまでは原材料げんざいりょう費ひが高騰こうとうしても値上ねあげによる消費しょうひ者しゃ離ばなれを懸念けねんして身近みぢかな商品しょうひんの価格かかくに転嫁てんかできず、企業きぎょう物価ぶっか指数しすうと消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの上昇じょうしょう率りつには大おおきな開ひらきがありました。

しかし、仕入しいれコストの高騰こうとうに耐たえきれず、企業きぎょうの間まで商品しょうひんを値上ねあげする動うごきが相次あいついでいて、企業きぎょう物価ぶっかを追おいかける形かたちで消費しょうひ者しゃ物価ぶっかも上あがり始はじめています。

「生鮮せいせん食品しょくひん」も大おおきく値上ねあがりしました。

まん延まんえん防止ぼうし等とう重点じゅうてん措置そちが解除かいじょされ外食がいしょく需要じゅようが増ふえたことや原油げんゆ高だかで輸送ゆそうコストが高騰こうとうしていることなどを背景はいけいに、まぐろは17.2％、さけは13％上昇じょうしょうしました。

このうち、さけは、ウクライナ情勢じょうせいの緊迫きんぱく化かでノルウェーからの輸入ゆにゅう品ひんがロシア上空じょうくうをう回うかいして空輸くうゆせざるを得えなくなり、輸送ゆそうコストがかさんだことも値上ねあがりにつながりました。

さらに、「エネルギー」の上昇じょうしょうも指数しすうを押し上おしあげました。

「エネルギー」の上昇じょうしょう幅はばは、3月つきと比くらべると政府せいふの補助ほじょ金きんなどでガソリン価格かかくが抑おさえられた影響えいきょうでわずかに縮小しゅくしょうしたものの、引き続ひきつづき消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうを押し上おしあげる最大さいだいの要因よういんとなっています。

生活せいかつに欠かかせない食品しょくひんやエネルギーが中心ちゅうしんの値上ねあがりで、家計かけいの負担ふたんが重おもくなっていることがうかがえます。

増田ますださんは今いま、夫おっとと2人にん暮くらしで、1日にち3食しょくのおかず代だいを1200円えんまでに抑おさえようとしていますが、相次あいつぐ食料しょくりょう品ひんの値上ねあげで予算よさんを守まもれなくなっているといいます。増田ますださんの夫おっとはあと少すこしで定年ていねんを迎むかえるため、老後ろうごに向むけてできるだけ貯蓄ちょちくしたいと考かんがえています。

このため支出ししゅつを少すこしでも抑おさえようと、野菜やさいはへたの取とり方かたや切きり方かたを工夫くふうして使い切つかいきることを徹底てっていしたり、生なまゴミは肥料ひりょうにして庭にわでインゲン豆まめや小松菜こまつなを栽培さいばいしたりしているほか、車くるまを使つかう頻度ひんどを少すくなくするなどの工夫くふうを重かさねています。

増田ますださんは「毎日まいにち使つかうモノの価格かかくが上あがるのは、家計かけいを預あずかる身みとしては非常ひじょうに厳きびしい。削けずれるものを削けずって細こまかく工夫くふうをいろいろして家計かけいを守まもっていきたいが、輸送ゆそう費ひや円えん安やすによる原材料げんざいりょうの輸入ゆにゅう価格かかくの上昇じょうしょうなどさまざまな要素ようそが相あいまって今いまの値段ねだんになっているので、物価ぶっかが高たかい状況じょうきょうがいつまで続つづくのか不安ふあんだ」と話はなしていました。

それによりますと、食品しょくひんやエネルギーの値上ねあがりによる年間ねんかんの負担ふたん額がくは、年収ねんしゅうによって6万まん4468円えんから9万まん8697円えん、増ふえることが分わかります。

この負担ふたんの増加ぞうか額がくを、年収ねんしゅうに占しめる割合わりあいで見みてみます。

値上ねあがりによる負担ふたん率りつは年収ねんしゅうが1193万まん円えんの世帯せたいのおよそ3倍ばいとなっていて、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを中心ちゅうしんとした物価ぶっか上昇じょうしょうは所得しょとくが低ひくい世帯せたいほど影響えいきょうが大おおきくなることを示しめしています。

そのうえで「今いまの物価ぶっか上昇じょうしょうは輸入ゆにゅう品ひんの値段ねだんが上あがっているということにほぼ尽つきるわけで、日本にっぽんから海外かいがいに所得しょとくが移転いてんしていることと同おなじ意味いみを持もち、日本にっぽん経済けいざいにとってみれば明あきらかにマイナスだ。家計かけいにとってみても毎日まいにち使つかう電気でんき代だいやガソリン代だい、それに食料しょくりょう品ひんと、身近みぢかに実感じっかんしやすい品目ひんもくが上あがってきているので、長年ながねんデフレに慣なれてきた日本にっぽんからすれば戸惑とまどっているところがある」と分析ぶんせきしています。

そして物価ぶっかの先行さきゆきについては「原油げんゆ高だかと円えん安やすのピークはことしの夏なつごろだと思おもっているが、企業きぎょうが価格かかくに転嫁てんかしたり、物価ぶっかに波及はきゅうしたりするのは少すこし遅おくれるので、2％台だいの物価ぶっか上昇じょうしょうは年内ねんないいっぱい続つづくだろう。景気けいきが失速しっそくしないようにするため貯蓄ちょちくを引き出ひきだして消費しょうひに回まわすような国内こくないの需要じゅようの喚起かんき策さくを進すすめるとともに、企業きぎょう側がわには物価ぶっかの上昇じょうしょう分ぶんを賃金ちんぎんに反映はんえいさせるように求もとめていくことも必要ひつようになる」と話はなしています。

このため、値上ねあげに踏み切ふみきる牛ぎゅうタン専門せんもん店てんが相次あいつぎ、このうち弁当べんとうを中心ちゅうしんに展開てんかいする仙台せんだい市内しないの会社かいしゃもことし3月つきに弁当べんとうを2割わりほど値上ねあげしたほか、持ち帰もちかえり用ようの牛ぎゅうタンの販売はんばいを取とりやめました。

ことしに入はいって2400円えんほどで推移すいいしてきた牛ぎゅうタンの仕入しいれ価格かかくは急速きゅうそくに進すすんだ円えん安やすによって先月せんげつから2700円えんほどに上昇じょうしょうしていますが、3月つきに弁当べんとうを値上ねあげしてから客足きゃくあしが1割わりほど落おちているということで、再度さいどの商品しょうひんの値上ねあげには慎重しんちょうになっています。

会社かいしゃでは円えん安やすに対応たいおうするためアメリカ産さんの牛ぎゅうタンに代かわる国産こくさんの食材しょくざいの取り扱とりあつかいを広ひろげています。1年ねん前まえに始はじめた国産こくさんの豚ぶたのタンを使つかった弁当べんとうの販売はんばいを今後こんごも継続けいぞくするほか、この夏なつからはイノシシやエゾシカなど野生やせい動物どうぶつの肉にく「ジビエ」を低温ていおん熟成じゅくせいの技術ぎじゅつで加工かこうして販売はんばいし、リスクの分散ぶんさん化かと経営けいえいの多角たかく化かを図はかろうとしています。

「陣中じんちゅう」の福山ふくやま良りょう爾なんじ社長しゃちょうは「輸入ゆにゅうの食材しょくざいに頼たよるのはリスクが大おおきく、牛ぎゅうタン1本ほんで会社かいしゃを存続そんぞくできるのか疑問ぎもんを感かんじるようになった。円えん安やすが強つよみになる輸出ゆしゅつを手てがけることも視野しやに入いれて事業じぎょうを展開てんかいし生き残いきのこりを目指めざしたい」と話はなしていました。

さらに燃料ねんりょう価格かかくの上昇じょうしょうで配送はいそうコストも大おおきな負担ふたんになっています。このため、製せいめん所しょでは、少すこしでもコストを抑おさえようと、配送はいそうルートを見直みなおして、トラック1台だいあたりに積み込つみこむ商品しょうひんの量りょうを増ふやす工夫くふうをしてきました。しかし、こうした工夫くふうだけでは仕入しいれ価格かかくの上昇じょうしょう分ぶんを吸収きゅうしゅうできず、先月せんげつめんの販売はんばい価格かかくを値上ねあげしました。

うどん1袋ふくろあたりの値上ねあげ幅はばは2円えんから3円えんほどですが、価格かかく競争きょうそうの激はげしい商品しょうひんだけに、取引とりひき先さきの一部いちぶでは値上ねあげをきっかけに、販売はんばい量りょうが減へったところもあるということです。

「マルバヤシ」の林はやし本もと正也まさや社長しゃちょうは「生産せいさんにかかわるもので、コストが現状げんじょう維持いじなのは水道すいどう代だいくらいしか見当みあたりません。お客おきゃくさんに身近みぢかな商品しょうひんなので値上ねあげの幅はばはなるべく抑おさえたいですが、多少たしょうなりとも値上ねあげするところはさせてもらって、適正てきせいな価格かかくで販売はんばいしていきたいというのが正直しょうじきな気持きもちです」と話はなしていました。